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採算度外視の事業の狙いは何か

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11月17日の世界早産児デーにあたってのパンパースのX(旧Twitter)での投稿が話題となっています。

超早産で産まれると当然、市販のオムツサイズでは合わないわけで超小型で手のひらに載るようなサイズのものが必要になります。
パンパースとしても採算度外視で作っているようで、多くの共感を呼んでいました。

企業としての収益を上げるための活動をする一方で、収益に合わない採算度外視の事業をすることは美談として語られます。
しかし、戦略的に行われるものもあります。

例えばUNIQLOはフリース素材の一般衣料を非常に安価に提供し続けました。
その結果として、登山用品などを除けば一般衣料の分野でフリースを提供するのはUNIQLOだけとなり、その頃になると価格を上昇させました。
大企業として価格競争をしかけ、負けていったところが撤退してほぼライバルがいなくなったところで価格を希望価格にしたわけです。

ハンバーガーにおいても、単に安価であるという商品構成ではマクドナルドに勝てません。
マクドナルド以外のハンバーガーショップは手間や材料費がかかるなど独自路線を歩むことでマクドナルドとの競合を避けます。
一方で、独自路線を歩むところは、大企業に伍して行くのは難しくなり小規模のままになりがちという面もあります。

前述のパンパースにしても、純粋な使命感もあるでしょうが、このオムツをはいた子どもが大きくなっていくと、他の商品を使えるように成長しても心情的にパンパースばかりになる、という狙いがあるのでは、と考えてしまいます。

小規模事業者同士でも採算度外視の手法による販売で問題が生まれています。
ハンドメイド作品の販売などは、インターネットの普及によりメルカリやminneなどのサイトで気軽に販売できるようになりました。
趣味で作成した作品などを、みんなに手に取ってもらいやすい価格で設定するのはよくある話かと思いますし、値段と質のバランスという所も感じます。

しかし近年では、趣味レベルとは思えないデザイン性があったり、制作の技術がある人の作品であろう商品が並んでいるのを見かけます。
しかも、それも趣味で作成した作品並みの採算度外視の低価格となっているのです。

なぜそのようなことになっているのか少し調べると、もともとは企業や工場などで働いていた方が出産や育児などを機会に退職して、自作で時間がある時に作成して出品するようになったというのです。
それが商品の品質に見合ったそれなりの高い金額なら分かるのですが、こうした場合の作者は結婚などで配偶者の収入により生活が成り立つため、損こそ出しませんが非常に低価格としてしまいます。

芸能人が原価率が非常に高いアクセサリーを作って評判を呼んだ、という記事を見たこともありますが、それも他に主な収入源があるからこその内容かと思います。

このためアクセサリーや小物の事業は、しっかりとした事業として立ち上げることが非常に難しくなっているそうで、業界の識者も警鐘を鳴らしているとのことでした。
寡占を狙う大企業の戦略に対しては、路線を変えてスモールビジネスを展開するなどの方法がありますが、これはスモールビジネス同士で悪意無く首を絞め合う状況となってしまっています。

ハンドメイド作品の販売は趣味からスタートされる方が多いため、起業される方もよく見かけます。
事業展開や補助金のご相談を受けますが、この分野についてはなかなか良い知恵が浮かばず、提案も難しくなっています。
今は単に小規模事業者の経営が上手くいかない話になっていますが、これがいつか規模の大きな事業者や制作者にも波及するのではないかと、ボンヤリとした不安を感じています。

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