お寺が最も諸行無常に抗おうとしている
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昨日は八月一日、八朔でした。
八朔といえば柑橘系の食べ物だなと思いますが、スーパーで見かけるのはいつも冬。
旧暦八月一日としても、大分時期がずれるな、と思っていました。
よくよく調べてみると、八朔の栽培を奨励したお寺の住職が「八朔には食べられる」と言ったから、この名前になったとのこと。
ただ実際は八朔の頃にはまだ果実が小さく固くて食べられないそうです。
12月から2月頃に収穫して、1から2か月冷暗所で熟成させて酸味を抑えて出荷しているそうです。
どうりで冬に見かけるはずだ。
八朔と言えば、京都祇園で芸妓さんや舞妓さんの挨拶回りも有名です。
今は新暦の八朔に行われているので、ニュースネタにもなっていました。
マンガ「課長島耕作」でも取り上げられていて、挨拶に来られた舞妓さんがお師匠さんへの挨拶より先に「水をいっぱいください」と言って呆れられるシーンなんかもありました。
テレビの映像を見ても陽炎が立っているような所を紋付きで移動するのは大変そうです。
旧暦八月一日なら、新暦のお盆より後ですし、田んぼの収穫期に入る頃なので、少し涼しくなり、黒の紋付きで挨拶に行っても自然でしょう。
伝統の行事とはいえ、状況が変わってきたことに対する変化が必要なのでは、と感じました。
昨日は、加賀聖城高校の方が蓮如上人御影道中を歩かれ、ウチの寺にも立ち寄られました。
コロナ前に参勤交代の道をたどって東京まで歩いた事業があり、それと同様に学校から西の方向にも歩いてみたい、と生徒の中から声が上がり企画となったそうです。
同じ人が全行程を歩くのでなく、リレー形式で多くの人がコースを分担しながら歩かれていました。
また熱中症アラートが発令するような日でしたので、無理をせず、コースの短縮などもされていました。
みんなで御影道中を歩くことが目的なので、自分たちなりにアレンジして実施されていると感じました。
NHKでは、八朔や御影道中と同じく伝統行事である南相馬市の「相馬野馬追」の時季変更検討が取り上げられていました。
毎年7月に行われていますが、人馬共に負担が大きいことが乗り手である騎馬武者からも声が上がっているそうです。
ニュースでは熱中症で救護所に次々に運ばれてくる様子や、救急車が複数の患者を搬送するために協力を求める様子が映っていました。
Twitterでは行事の途中で熱中症で倒れた馬のことが書かれていました。
ニュースの中でも、人馬共に暑さの中で倒れないように何とか対応しようと、周りの方々が努力されている様子がうかがえました。
実行委員長が「みんなの意見を聞いて時期の変更を考えたい」と毅然と発言されていたのが印象的でした。
7月に実施することの意味もあるのだと思いますが、それだけでなく、行事を残していく、名前を残していくために、変えていこうとする姿勢が見られました。
お寺の行事では何かと「昔からこうだったから」で変わらずやろうとする姿が見られます。
特に複数のお寺が関わる行事だと変更することにあからさまな嫌悪感を示す方がいて、なかなか話が進みません。
そして行事が維持できなくなって取りやめになると、「みんなが行事を大事に思わなくなった」と文句を言われます。
実際は多くの人が行事を残すために変化していこうとするのに、変化を拒む人がいるために維持できなくなっているのです。
「諸行無常」とはお寺の専売特許のような言葉ですが、一番変化を拒んでいるのがお寺である気がします。