3278枚の写真と振り返る『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』
『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』(以下、ティアキン)が発売されて5か月が経つ。多くの人を熱狂させた『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』(以下、ブレワイ)の待望の続編で、その圧倒的売上本数はすさまじく、経済効果がニュースになるほどの作品である。
私はブレワイ発売6年後におもむろにソフトを購入、その世界にどっぷり頭のてっぺんまで浸かり、情緒を狂わされながら3ヶ月間かけてプレイ、新作発売の3日前にクリアした人間である(クリア当時の狂った記事はこちらから)。前作からのタイムラグなしに続編をプレイした、大変幸運な人間であると思っている。
『ブレワイ』『ティアキン』と共に駆け抜けた7か月
結論から言うと、9月6日22時46分に約240時間をかけて本作、ティアキンをクリアした。前作のブレワイを購入した2023年2月10日から約7か月間、ノンストップでハイラルに入り浸ったことになる。
前作にも情緒を大変にめためたにされたが、本作ではそれ以上に情緒をめちょんめちょんにされた。
前作から数年後、地底に封印されていた魔王ガノンドロフが復活し、その復活の瞬間を目の当たりにしたリンクさん(私は一身上の都合で彼のことを「さん」付けで呼ぶ)とゼルダ。
リンクさんは魔王により右手を失い、空の上に浮かぶ島で目覚める。謎の人物ラウルの右手の力を借り、新たな能力とともに元の地に戻ると、そこでゼルダが行方不明になっていること、各地で異常現象が起こっていることを知る。
地底に封印されていた平和を脅かす圧倒的な悪と、国の平和と安寧のために立ち向かうハイラルの人々。旅をするなかでひとつずつ解き明かされる謎と、それぞれの決断。
そして、手に汗握る最後の戦い(手汗やばすぎてコントローラー落として死にかけた。回避ムーブは主人公の特権やろがい)と、これまでの物語をひとつの「手をとる」という行為に帰結させた美しいラスト。最高だった。
そして同時に思った。「終わってしまった」と。
心に空いた穴が埋まらない
走り抜けるように夢中になったコンテンツを、とうとうクリアしてしまった。いわゆる、「心にぽっかりと穴が空いてしまった」というやつである。7か月間、仕事と家事の合間にどうにか時間を捻出して、それでも時間を忘れるくらい夢中になった。
クリア後は、コンプリートしていない要素を拾い集めたり、他のゲームで守護聖様と恋したり聖地を育てたりしてみた。だがしかし、「ティアキンロス」がとまらない。「追加コンテンツの販売予定がない」という記事がさらに追い打ちをかけた。「販売がない」ということは、本作の完成度の高さゆえのものだから嘆くことではない。
でも、さみしい。
どうしていいか分からずに、Google先生で「心に穴が空いた」という文字列を検索してみたら、ヨルシカの楽曲がヒットした。
ヨルシカは「君」のせいで「だから心に穴が空いた」と歌っていた。一方、わたしは「ゼルダの伝説」で心に空いた穴が埋まらない。なんだが天と地ほど違いがあるような気がするが、まぁ、本質的には同じだろう。
そんな状態で2か月余りが経過した。ハマりすぎるあまりに購入したamiiboのリンクさん、ゼルダ、ガノンドロフを見ながら物思いに耽りつつ、なんとなくSwitchを起動した。そのままふと、「アルバム」を眺めてみる。
そこには、ティアキンのスクショがずらりと並んでいた。なんだか感慨深いなと思ってそのままアルバムをスクロールしてみると、どんだけ遡ってもティアキンの写真ばかりである。30秒くらいスクロールしてようやく、最初の1枚に辿りついた。調べてみたら3,278枚あった。
そういえば本作をプレイするにあたり、感極まると息をするようにスクショをとっていた自分がいた。それでも3,278枚という数字は、流石に引く。ブレワイのスクショが173枚、ポケモンスカーレットで343枚という事実を見ると、その圧倒的な差になおさらに引く。
「癖になってんだ 息をするようにスクショするの」。いや、そんなゾルディック家はいない。そんなんで暗殺稼業ができるわけがない。
3,278枚を1枚ずつ見てみたら、ドキドキしたり、楽しかったり、恐怖を感じたり、感動したり、情緒がめちょんめちょんにされた記憶がよみがえってきた。
ここはひとつ、写真とともに想い出を振り返ってみたい。
3278枚の写真と振り返るティアキン(一部抜粋)
流石に、3,278枚の写真全部をnote上で振り返るわけにはいかないので、個人的ベストショットをピックアップして掲載することにする。ストーリー本筋に関わるネタバレはないので、未プレイの方も安心して見ていただけます。
ネタバレ回避した結果、ほぼ「愉快なリンクさんとその珍道中」みたいなラインナップになってしまった。おかしい。そんな旅だったか。
「ありがとう」の旅
1枚ずつ3,278枚の写真を振り返ってみたら、あっという間に日が暮れた。ただ、そのうち3分の2はメインストーリーに絡むシーンで(それついてはここでは触れない、未プレイの方はぜひ体験してほしい)、おかげで今まで旅してきた様々な想い出をふりかえることができた。
美しい風景とともに、過去の文明が新たな挑戦に導いてくれる空島、圧倒的な闇の世界で、道を切り開く恐怖と楽しさを教えてくれた地底。前作を経て復興を目指しながらも、新たな敵の出現に力を合わせて抗おうとするハイラル王国。新たな能力と共に広大なフィールドを駆け回った。
(ちなみに、地底にいるときは余裕がなかったのか、ムービー以外の写真はほとんどなかった。だって怖いんだもん、地底。)
そういえば、写真を見ていて気になったことがある。リンクさん、前作以上にめちゃくちゃお礼を言われている気がする。
前作が「孤独な旅」だったのに対し、今作は「仲間と一緒の旅」だった。それは制作者インタビューでも語られているが、様々なイベントに参加するなかで、リンクさんも「ハイラルの一員」として土地の人々と一緒に生きていた気がする。
なんか村救ったり、なんか村長選に参加したり、なんか旅立ちを見送ったり、そのほかにも。前作では、あくまでも「旅人」というか、「流浪の人」みたいな。でも今作は、戻って来れる拠点があって、そして王国の一員として「参加」している感じ。
そうか、私も7か月間、リンクさんを通して、めちゃくちゃハイラル王国の一員になってしまっていたのか。そりゃ、終わってしまったらめちゃくちゃさみしいよな。
振り返った3278枚、完走した感想
私とリンクさんは、ハイラルを縦横無尽に旅しながら、様々な人と出会い、再開し、そして力を合わせて、ゼルダ姫を探し魔王に立ち向かった。そして3,
278枚の素敵な想い出とたくさんの「ありがとう」をもらった。
めっちゃいい冒険してるじゃん。私とリンクさん。心の穴が空いているというよりも、むしろ想い出で埋まってるのでは?それは3,728枚の写真が物語っているように思える。
今はさみしいけれど、きっと時間がたてば、また新たにハイラルで冒険がしたくなる気がする。そのときは、もしかしたらスクショの枚数がさらに増えるかもしれない。
ブレワイにハマるまでは、『ゼルダの伝説シリーズ』は、ポンコツなゲーム操作しかできない自分にとって、無縁のタイトルだと思って生きていた。
しかし、ひょんなことからブレワイをはじめ、あれよあれよと言う間に世界観のとりこになり、続編をクリアしたら「さみしい」と思えるほどの体験をさせてもらった。
むしろ私がお礼を言わなければいけない。ありがとう任天堂、ありがとう開発に携わってくれたみなさん、私にブレワイを教えてくれたSNSの誰かさん、そして一番の相棒リンクさん。
でもリンクさんにお礼言っても、きっとこんな感じだろうけれども。
※追伸:3,278枚を振り返るの、まじでめちゃくちゃ大変だったので、息するようにスクショするクセはちょっと控えたいと思う(止めるとは言わない)。