障害年金をざっくり説明します。
年金といえば、原則65歳から受給できる老齢年金のイメージが強いと思いますが、遺族年金や障害年金も定められた要件を満たせば、若い世代でも受給できます。
障害年金は、身体に重い障害が残ったときに支給されるので、できる限り受給しないに越したことはありませんが、不運にもそのような事態になったときに、国から年金として支給されます。
受給するには、病気やケガにより初めて医師の診察を受けた日から1年6か月経過した時点において、これ以上治療の効果が期待できない状態で、かつ、障害が残った場合に該当します。
初めて医師又は歯科医師の診察を受けた日のことを「初診日」といいますが、その初診日の前日に該当する月の前々月まで国民年金の被保険者であるなど、諸条件を満たす必要があります。
支給要件
障害年金を受給するには、以下の条件をクリアしなければなりません。
・保険料納付要件
・被保険者要件
・障害の程度要件
次に、この3つの要件を一つ一つ見ていきましょう。
保険料納付要件
保険料納付要件とは、保険料を納めていた期間の長さを指します。期間の長さとは、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、その被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が、その被保険者期間の3分の2以上であることが必要です。
分かりやすく説明しますと、ある病気やケガで初めて診察を受けた日が令和5年8月3日とします。初診日の属する月の前々月、令和5年の6月までの期間から遡って国民年金の被保険者期間が全体の3分の2以上あればよいわけです。
よって、国民年金に加入したのが平成30年1月であれば、保険料を納めていない月が22か月以下なら受給できます。
保険料未納期間分をまとめて納めることを追納といいますが、後日、3分の2に足りない期間分を追納しても認められません。
ちなみに、経過措置として令和8年4月1日前までの病気やケガによる障害については、初診日の前々月から遡って1年間未納期間がなければ受給可能です。(65歳以上は除く)
被保険者要件
・初診日において、被保険者であること
・被保険者であった者であって、初診日において日本国内に住所があり、かつ、60歳以上65歳未満であること
障害の程度要件
障害認定日において、ある障害等級(障害厚生年金は1級~3級、障害基礎年金は1級、2級)に該当すれば年金が受給できます。(障害等級の内容は、厚生労働省のHPをご覧ください。※下記にリンクあり)
障害認定日とは、初診日から数えて1年6か月経過しても治らない場合や、1年6か月までの間に治療の効果が期待できないと判断された日です。
受給額
会社員や公務員などは、障害基礎、障害厚生両方の年金を受給できますが、自営業者やフリーランス、専業主婦の方は障害基礎年金のみの受給となります。しくみは、原則65歳以上から支給される老齢厚生年金と同じです。
障害基礎年金
障害基礎年金は、障害等級1級または2級に該当する被保険者に支給されます。受給額は、1級2級それぞれ次のとおりです。
・1級 老齢基礎年金満額の1.25倍
・2級 老齢基礎年金満額
・18歳未満の子がいる場合は、第2子まで224,700円、第3子以降は74,900円が加算
配偶者に対する手当金はありません。
障害厚生年金
障害厚生年金は、障害等級1級~3級までと、障害手当金の4種類に分かれます。1級、2級には加給年金が加算されます。
・1級 老齢厚生年金額×1.25倍+加給年金
・2級 老齢厚生年金額+加給年金
・3級 老齢厚生年金
・障害手当金(一時金) 障害厚生年金額の2倍
ちなみに、障害手当金は最低保証として老齢基礎年金満額の1.5倍分が受給できます。
また、障害厚生年金(1級~3級)は、被保険者期間は最低でも300月として計算されるので、入社して1か月経たずにケガや病気になっても、300月加入しているものとして計算され、1年6か月後には障害厚生年金が支給されます。(老齢厚生年金の計算方法は割愛します。)
その他の障害年金
今回は、障害基礎年金と障害厚生年金の基本形を見てきましたが、それ以外にも種類があります。
・事後重症
・基準障害
・併合認定
・職権改定、改定請求
・20歳前傷病
などです。ここでまとめて説明すると複雑になりますし、内容が増え、読みづらくなると思いますので次回以降お届けします。
また、障害年金は、病気やケガ以外にも、精神疾患でも障害等級に該当すれば支給されます。
等級ごとの症状は、厚生労働省のホームページをご覧ください。
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※参考:労働厚生省HP