コロナ禍における生命保険営業
先日、あるメーカー(保険会社)の方とお話しすることがあり、「最近、セールスの皆さんの状況はどうですか?」と聞いてみました。
「ぼちぼちですね。端的にいうと、コロナ禍でお客様との面談ができなくなったことを『チャンス』ととらえている人『ピンチ』ととらえている人に分かれていますね」
要すれば、コロナ禍で急速に拡大したWeb面談をすぐに取り入れてセミナーや募集に活用している層と、「早く収まんないかな」とあくまでお客様との対面にこだわるあまり行動量が低下して売上減少にあえいでいる層。
かくいう私も、昨年の今頃はWeb会議システムの使い方さえ知りませんでしたので、参加するときはいつも誰かに接続してもらった状態に参加するだけのITオンチオヤジ。しかし、今では普通に自宅からZOOMを使ってセミナー講師をし、セミナー後にはFormsを使って瞬時に反応を確認・分析して次のセミナーに生かすくらいのスキルは身に付きました(-。-)y-゜゜゜
聞くところによれば、コロナ禍の環境に適応できているセールスは、コロナ前よりもはるかに募集効率が上がっているそうです。自宅で朝から夜まで5~6件のお客様との面談がびっしり入っていて、移動時間・移動コストゼロ。これまでならば、移動時間を考慮すれば1日に面談できるお客様の数はせいぜい3件。しかも距離があればコストも大きくかかってきます。基本的に活動費が自己負担であるセールスパーソンにとっては、効率と経費削減の双方でメリットが出ているようです。
オンラインでセミナーを実施し、個別相談希望者とはWebで希望時間に面談。個人のお客様だと夜の面談も多いところですが、自宅でWebで面談しますので、(極端なハナシ)上半身だけしっかりと身だしなみを整えておけば自宅で夜の面談もOK。終わった瞬間に業務終了できます。
この環境変化は、私が生命保険の仕事をしてきた中でも最大かもしれません。なぜならば、セールスパーソンに求められるスキルの転換期が来ているように思えるからです。
昔から、営業というのは、お客様と顔を合わせてナンボみたいなことが言われてきました。やり取りの中からお客様の感情を読み取り、臨機応変に対応する能力(反射神経)という、職人技のようなものが求められてきたと思います。押したり引いたりという駆け引きや、サプライズや、時には「沈黙」まで用いるという、様々な対人折衝スキルが求められてきました。
昭和時代から連綿と続く口伝えによるスキルの継承ですね・・・いうなれば、BC(Before Corona)時代と総称できるでしょう。あと10年もたてば、こういうスキルは昭和・平成時代の懐かしい「伝統芸能」といわれるかもしれませんけど(-。-)y-゜゜゜
コロナ禍の今、PCやスマホの画面を通じてお客様と対面するセールスパーソンには、BC時代のスキルはあまり必要ないように思います。そんなことよりも、画面越しに見せる表情、第一印象、わかりやす話し方、適時適切に資料を画面共有する操作スキルとセンス、押しつけがましくなく、お客様に安心感を与える商談の流れ。お客様はWeb商談を離脱したければいつでも自らの意思で面談から退出できますので、飽きさせずに最後まで面白く話を聞いてもらえる話術。
ここで求められるスキルはBC時代とは明らかに違います。仮にこのスキルをAD(After Death-Corona)時代のスキルとでも呼んでおきましょうか・・・
Web面談というのは、双方向でありながら、話し手は一方通行です。普段なら話の途中で口を挟むところであっても、一応、相手の話を聞いてからでなければ口を挟みにくいところがあります。例えていえば、トランシーバーのようなものです。相手が話し終わったのを確認して、「・・・オーバー!(Go ahead !)」と聞こえてから自分の発言を送信する。その点でいうと、自分が発言している際に相手に疑問や疑念が生じないようなシナリオの構築力が必要と思うのです。
BC時代は、相手の顔色を見て臨機応変な対応をする能力が求められてきましたが、AD時代は、お客様を引き付ける面白い話ができる能力が必要になると思うのです。
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