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これまででもっとも怒られた話を読んでください

トランプ元大統領の暗殺未遂事件が起きました。原稿執筆時点ではトランプさんの右耳が銃弾で貫通し、20歳の容疑者が、その場で射殺されました。

トランプさんは拳を振り上げ、その写真が報じられています。

聴衆の方が流れ弾でお亡くなりになっており、重体の方もいます。まずは民主主義の敵として狙撃者を非難するべきでしょう。ただし失礼ながら、あの写真が選挙戦に影響を与えると誰もが感じたはずですよね。

ところで、これから共和党が有利だとか、中国との貿易に大関税がかかるとか、メキシコがどうだとか、ロシアがどうだ、脱炭素関連は中止になるとかなんたら……メディアでは、さまざまな憶測が語られるはずです。

しかし、メディアで何かが語られるとき、語る人の思惑や利害関係やポジショントークから離れられないと覚えておきましょう。私も離れられないかもしれません。

ここで、私が配信したメールマガジンのうち、反応がもっとも多くさらに批判が多かった文章を再送させてください。

<2021年3月の文章です>

書くのをためらっています。ファーウェイと10年前の東日本大震災のことです。私は米国と中国のどちらにも肩入れしていませんので、政治的な思想を抜きにお読みください。

それは、ファーウェイのCFO孟晩舟さんのことです。報道で知られる通り、彼女は2018年に対イラン経済制裁に違反したとして米国当局の要請を受け、乗り継ぎ途中のカナダで逮捕されました。GPSで場所を監視され、軟禁状態にあり、現在でも法廷闘争を続けています。

それ、東日本大震災と関係あるか、と思った方もいるでしょう。日本企業の調達リスクマネジメントに見直しを迫った東日本大震災とファーウェイを結びつけたかった理由があります。

あまり知られていませんが、孟晩舟さんは東日本大震災の直後、真っ先に日本に飛び、被災した通信基地局の復旧にあたりました。被曝の可能性があったにもかかわらず、ファーウェイの技術者たちは防護服に身をまといながら必死に復旧作業に尽力してくれました。それは表現できないほどの困難がつきまとったようです。彼女は、その復旧作業の陣頭指揮を執りました。

2018年、孟晩舟さん逮捕の直後、彼女の弁護団は一通の手紙を受け取っています。それは日本人の不動産業者の男性からでした。そこには東日本大震災時に危険を顧みずに復旧をしてくれたことの感謝が綴られていました。彼女がその手紙を読めるようになるのは後日だったようですが、彼女は読んだ瞬間に涙が溢れてとまらなかったと記しています。号泣してしまった、と。

もちろん復旧にあたったのはファーウェイだけではありません。この手紙を懐疑的に報じている日本メディアも知っています。真偽はわかりません。また、手紙と逮捕は別物であり、彼女を批判的に論じた記事も読みました。

そのうえで、怒られるかもしれませんが、私は物事を単純に善悪に分類する危険さを感じます。実際の社会は、ウルトラマンとバルタン星人が闘っているわけではありません。善悪の境界線は微妙。

誰にも正しい面と、そうではない面が共生しています。

<2021年3月の文章は終わりです>

なぜ今回、この文章を再送したか。お伝えしたいことがあったためです。私は上記に私の価値観を挟んではいません。良し悪しでなく善し悪しを書いてはいません。

ただ、あの国のことが嫌いな方から「こんな話は信じない」という感想をいただきました。つまり、ご自身の思いや考えがすべての先にあるのです。

かくも物事をフラットに見るのは難しい。

台湾有事だって、食糧危機だって自身の利益につながるからと煽りに煽っている方々がいます。冷静に考えて、すぐに台湾有事が発生するとは考えにくく、さらに輸出超過の国から調達している食料がただちに枯渇するというのは「言い過ぎ」です。

しかし、極論を述べている本人でも気づいておらず、盲信している場合があるからややこしい。これは自省を込めていうのであれば、やはり右も左もさまざまな情報を摂取して冷静に考え抜くしかないように思います。

また、私はできるだけ客観的に中立的に話を伝えようと思います。ただ、ぜひ私の意見も一つの意見にすぎないと考えてください。

私は個人的に極右、極左のメディアに加えて
・アルジャジーラ
・ニューヨーク・タイムズ
などを読むように意識しています。他にも多様な意見のメディアがあったら、みなさん教えてください。

ぜひ、これ以降、極端な言説に気をつけましょう。とくに調達部門は冷静に世界を分析して実務に反映する必要があるのですから。

また未来調達研究所としては、できるだけ多様な観点から客観的な情報をお伝えしたいと考えています。

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