窪田先生から『タートルズの全貌』の書評をいただきました。
証券アナリストの窪田先生が、『伝説のトレーダー集団 タートルズの全貌』について、さっそく書評を寄稿してくださいました♪
〜書評ここから〜
米国流、プロ投資家を養成する世界が垣間見れる書籍、『伝説のトレーダー集団 タートルズの全貌』がおもしろい。株式投資に興味がある方なら間違いなくお勧めです。
少し長くなりますが、大切なことなので丁寧に説明させていただきます。
私は「宇宙戦艦ヤマト」が大好きです。中学生の頃、神戸の新開地の聚楽館で観た映画「さらば宇宙戦艦ヤマト」は、良い意味でショッキングで、沢田研二さんの“ヤマトより愛をこめて”が流れるエンディング前には、すでに涙ボロボロ状態でした。(笑)
最新作のリメイク版「宇宙戦艦ヤマト2202」(第6章)では、コスモファルコン(オリジナル版ではコスモタイガー)の名パイロット、ヤマト航空隊隊長の加藤三郎が、死が間近に迫った病気の息子を救える薬(地球では作る技術がない)をやるといわれ、敵であるガトランティス帝国から、ヤマトの航行を不能にする装置を波動エンジンに仕込むようそそのかされます。
加藤三郎は敵を倒し地球を守る使命を全うすべきか、息子を救うべきか、葛藤するわけですが、最後には死を覚悟しつつ、(地球を裏切って)息子を救う方を選び装置を仕込んでしまいます。
そして、まさに波動砲を発射しようとする瞬間、その装置が作動したことで動かなくなってしまったヤマトがガトランティス帝国に飲み込まれてしまうというシーンが描かれています。
この一連のシーンを通して、加藤はどっちを選ぶのかと、私はその行動をハラハラしながら追いつつ、感情的には同情するのですが、地球が無くなったら目の前で救った息子も結局死んでしまうので、「加藤、その判断はアカンのと違う?」と思って観ていました。
でも、もし私が加藤の立場だったなら、きっと同じように(大きな時間軸で見ると)正しくない判断をしてしまうかもしれません。
日々、株式投資と向き合っていくなかで、このシーンのような生死の分かれ目ではありませんが、どちらを優先するか選択を迫られることがよくあります。
例えば、景気の悪化から株価が急落する場面があったとします。ジッと堪えるか、損切りするかの判断を下さないといけません。
景気の悪化がいつ止まるかなんて誰にもわからないなか、株価がどんどん下落するのを目の当たりにすると、株を保有している多くの投資家は、かなり下がり過ぎていると感じていても、とりあえず全部売って現金化しようとします。
しかし、大きな時間軸で相場を見ることができていれば、これは被らずに済んだ損失だったかもしれません。なぜなら、暴落や急落するときは、一時的に本来の価値を下回って、過剰なまでに株価が下がることがありますがそんな割安な状態が長く続くことはなく、そのうち買い戻されて反発するからです。
もちろん、早目の損切りが正しい判断であることも大いにあります。ただし、手放した後に新たに投資することもなく、嵐が過ぎ去るのを待つかのように様子見してしまいます。
ここでもまた大きな時間軸を見ることができずに稼ぐタイミングを逃している、いわゆる機会損失というわけです。
ウォーレン・バフェット氏は、景気が悪化している最中にあらかじめ準備しておいた資金で割安になった優良企業の株式を大量に買い込みます。
そして、のちに景気回復と同時に株価が上昇することで、大きな利益を手にするパターンを繰り返し、巨額の富を築いてきました。
バフェット氏は、目先はまだ下がるかもしれないが、5年や10年先には適正な株価に戻るに違いないと見ているわけです。つまり、バフェット氏の見ている時間軸は、多くの投資家が重視している目先の時間軸とは違います。
日本でよく売れている投資本を手にとってみると、こういった大きな分かれ目になる事象の判断については、あまり触れられていないように思います。
10年あるいは20年単位の時間軸を前提に、リーマンショックのような世界的な景気後退が起き、理論価格を大きく割り込むような、いわゆる株式市場の世界的な大バーゲン時にこそ、多くの資金で株を買うタイミングです。
反対に世界的に景気が良く株価も高い時期には、利益を確定するタイミングという認識を持つべきでしょう。
NHKで放映されてヒットしたドラマ「ハゲタカ」は、ワクワクするような興味深いストーリーでした。
1990年代のバブル崩壊による不況で、暴落した日本の不動産を割安だと判断し、どんどん買って利益を上げていく米国ファンドの一面が描かれ、ヘッジファンドから派遣された主人公の名セリフ、「腐った日本を買いたたく!」は、核心をつかれた感じがしました。
日本と違って米国の投資本には、具体例を挙げて、適正価格を求める基準となる計算式や考え方など充実したものがあります。
理論価格なので絶対ではありませんが、そういった基準があることで、日本では買い手がつかないような時期であっても、米国の投資家は割安、割高の判断をして、行動を起こしているんだなーということが、わかります。
さて、そこで『伝説のトレーダー集団 タートルズの全貌』の話です。
この本には1年以内のような短期間では、めったに起きないけれども、起きた場合にここに書かれているような投資行動をとることで、負ける回数が多いとしても、勝つ時の利益が大きいというひとつの投資ルールが紹介されています。
どっちを優先して判断すべきかルールをあらかじめ設定し、そのルールに忠実に沿った投資判断ができるかが試された投資教育、“タートルズ”養成の全貌が書かれた名著です。
この投資教育の主催者であるリチャード・デニス氏が「トレーダーとして成功するために必要なのは、才能なのか、教育なのか」を実験するために、投資素人を公募し、トレード手法、ルールを伝授するだけでなく、運用資金までも渡して多くの優秀なトレーダーを生み出したストーリーが綴られています。
また、うまく行かなかった人たちの特徴についても書かれているので、株を購入した後、売却するまでに味わうことになる感情をはじめ、相場との向き合い方や相場に立ち向かう勇気の作り方など追体験していただけます。
これから株式投資をはじめたい、あるいは伸び悩みを感じている方は、まずこの本を読んで資産運用者の物語を味わってほしいと思うのです。
そうすることで、自分でできること、できないことの整理、時間軸という考え方、記録をつけて検証すると成功確率を高められるという、投資の基本スタンスのポイントが分かります。
『伝説のトレーダー集団 タートルズの全貌』は、投資家、トレーダーとして気づきの多い素晴らしい良書です。
~ここまで~
窪田先生、書評ありがとうございます!!あなたもメンバーの1人になったとイメージしながら、読み進めてみて下さい。
ズブの投資素人の寄せ集めが、たった2週間の訓練で世界最高水準のトレーダーとして養成された?!
PS.
監訳者の遠坂淳一氏が代表をつとめるJK WILTON & COMPANYの掲示板でも発売のお知らせを告知いただきました♪
2019.03.15 JKWからのお知らせ
出所:(株)ジェイ・ケイ・ウィルトン・インベストメンツ運営サイトより
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?