彼には妻に言えない借金がある
これではマイホームは買えない
当社の仕事はお金に関する相談業務をしていますが主に住宅ローンに関しての相談が多いです。それは私がサラリーマン時代にクレジット会社に勤務していたからです。
元々は住宅ローン相談でFPをするつもりはなかったのですが住宅ローンの審査や手続きに関する情報がネットでなかったり、低レベルがだったのでそれをブログにしていたら多くなったという感じです。
住宅ローン業務というかFPに必要な住宅ローン知識は10年以上前から全て池上さんの本を読み漁ってできています。そこに自分ならではの審査や手続きを付加してより実務的にしたものです。
他のFPと比較して自分が差別化できる部分は何かと言えばそれは間違いなく『過去』です。同じ過去を持つ人はいないので自分の過去、ローン知識や審査、CICの使い方などの知識をお客様に提供しています。
さて今回のブログはその知識が全開に生きる相談事案に関してです。題して『彼はなぜマイホーム購入に難色を示していたのか』です。この手の相談は結構多いのですが特徴は夫1人で相談にくることです。当たり前ですが。
妻が家を買いたいと言い出しまして
とある男性より電話がありましてマイホーム購入を考えているのですが相談したいと。もう少し詳しく話を聞くと奥様の仲がいい方が家を建てたので自分たちもそろそろ建てたいとこぼし始めた。
そしてついに奥様から住宅展示場に行かないかと言われたとのこと。ここでピンときました。そう夫は購入に後ろ向きなのです。そうでなければまずは一緒に住宅展示場に行けばいいからです。
彼にはきっと家を買いたくない理由があるはずです。そこで話を切り出して行きました。
私『マイホーム欲しくないのですか?』
夫『欲しい』
と。そのあとはこんな言葉でした。
夫『欲しいのですがローンが通るかどうか心配で』
私『ローンが通らないような延滞をしたことをしたのですか?』
夫『支払いはちゃんとしています』
これでなぜ彼が自分もマイホームが欲しいにもかかわらず奥様の願いを叶えてあげられるか心配というのかがわかりました。そして次の質問をしました。
私『奥様に内緒の借入があるのですか?』
夫『・・・・』
私『ですよね』
夫『・・・はい』
CICを確認する
相談内容は把握できましたのでお時間のある時にオフィスに来てくださいというとその数時間後の夜に来店しました。すぐに来たところからもこの男性の気持ちが読み取れます。同じ男としてもね。
仕事は公務員と聞くと収入は安定しているはずなのに、と思う方もいるでしょう。実はお金の問題には勤務先や収入なんて全く関係なく発生するのです。銀行員、一部上場企業の従業員、教員、国家公務員などでも同じです。
まずは借入状況を確認すると確かにこれでは住宅ローンの審査は通らないでしょう。なぜなら大幅に返済比率オーバーです。公務員だからこその借入額になっています。
最も住宅ローンの場合に大事なのは借入額がいくらか、ではなく月の支払額です。これもまたここで相談に来なかったらもしかしたら雪だるま式に増えて行きK点超えだったかもしれません。
念のため2日後にCICを取得してもらい持参してもらいました。内容に吟味してローンが通せる見込みがあるのでお仕事を引き受けました。内容は成功報酬制にしました。やはり通らないこともあり得るので。
借入金をおまとめ
ちなみにCIC異動情報ありの案件を含めて審査が通るか厳しい住宅ローン相談を引き受けて通せなかったことは10年で1度だけです。それ以外は全て通しました。もちろん通ると勝算があるからこそ引き受けます。
今回の解決方法は公務員ということを最大限に利用することがポイントになります。手順としてはまず最初にすることは月の支払額の圧縮です。この場合に取る手段は3つ程度あります。
1、親から借りて精算
2、公務員の貸付業務
3、他の金融機関での借換
ヒアリングの結果3しか方法が取れませんでしたので今回は借入金を全て借り換えて月の支払いを大幅に圧縮しました。公務員共済の貸付はそのままです。そのままにする理由はもちろんありますがそれは別の機会に。
そてここで問題が1つ出てきます。それは住宅ローンを通すにはCICに残っている借入金を返済した証拠に完済証明書が必要なのですが自宅もしくは勤務先への郵送になります。
銀行やクレジット会社のものは勤務先でいいのですがやはり消費者金融系はちょっとね、となります。ここにも気をつけないと奥様に『これは何?』と言われると家どころではなくなります。これはこれで怖いですね。。。
奥様との連帯債務なので署名
熊本では地震のあと土地も建物も大幅に値段が上昇しました。これでは夫単独での住宅ローンは無理がありそうです。どう電卓を叩いても奥様との収入合算が必要です。
となると仮審査の用紙に奥様の署名が必要です。ええ、すんなり署名をもらえればいいのです。でもね、もし奥様が夫単独でと考えていて『何で私の署名が?』と言われたら、のことも考えておかなければならないです。
杞憂に終わることが多いのですがここまで綿密に考えておかないと何処かでこの計画が破綻して借入金が奥様に知れてしまうとこれまでの努力が全て水の泡と化すことになりかねません。
なので奥様の年収を把握して返済比率を計算してローン金額を設定。もちろんライフプランを作成して問題ない金額にすることも忘れずにできる限り高い金額にしました。
『金額が大きくなったので夫婦一緒のローンになるって』
これで仮審査の用紙にサインをしたようです。この後引き渡しが終わり一旦のお仕事は終わりました。問題はここからです。これ以上借入金が増えたらそれこそ人生設計に支障を来たします。
ところでこの公務員がなぜここまで大きな借金ができたと思いますか?この原因を治療することがもう1つの仕事になるのです。根本治療こそFPがすべき仕事だからです。