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国の財政(税金#2)

令和4年3月22日、令和4年度予算は、過去最大の107兆6,000億円という予算が成立いたしました。

令和4年度予算は、いわゆる「16か月予算」の考え方のもと、令和3年度補正予算と一体編成されています。

新型コロナウイルス対策に万全を期しつつ、「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」の実現を図るための予算になっています。

令和4年度予算は、社会保障関係費と防衛費が過去最大となったほか、新型コロナウイルスの感染再拡大に備えて5兆円の予備費を引き続き計上しました。

そこで本記事は、令和4年度予算に一体編成された令和3年度の予算について再度検証しつつ各歳出・歳入分野を簡単に分かりやすく説明していきます。

1.歳出と歳入の状況

国の収入・支出は4月から翌年3月までの期間(会計年度)で計算します。
1年間の収入を 「歳入」、支出を「歳出」といいます。

令和3年度の国の一般会計歳出・歳入額は、令和2年度より3.8%増(約4兆円増)の106兆6,097億円です。
 
前年度から予算が増額した原因を見ていきましょう。

1-1.歳出状況

引用:国税庁 国の一般会計歳出額 内訳(令和3年度当初予算)

歳出は大きく分けて、3つにわけられます。
一般歳出(62.8%)、地方交付税交付金等(15%)、国債費(22.3%)です。
 
全体の半分以上(62.8%)を占める「一般歳出」から見ていきます。
 
・社会保障費
全体の33.6%を占め、令和2年度の当初予算より0.4%増(約1,500億円増)で過去最大の35兆8,421億円となりました。
※年金、医療保険、介護保険、雇用保険、生活保護などの社会保障制度費用
 
・公共事業費
令和2年度より0.04%増(約26億円増)の6兆695億円です。
※道路や港湾、住宅や下水道、公園、ダムなど公共施設の整備費用
 
・文教及び科学振興費
令和2年度より0.1%増(約57億円増)の5兆3,969億円です。
※教育や、科学技術の発展のために使われる費用
 
・防衛費
令和2年度より1.1%増(約610億円増)で過去最大の5兆3,235億円です。
※国の防衛力を整備し維持するための費用

・予備費
新型コロナウイルスへの対応のため、国会の承認を得ずに機動的に使いみちを決められる「予備費」として5兆円が盛り込まれています。
※自然災害や急激な景気悪化といった不測の事態に、政府が柔軟に対応できるよう使い道をあらかじめ定めずに毎年度の予算に計上する費用
 
次は全体の15%を占める「地方交付税交付金等」です。

・地方交付税交付金等
令和2年度より0.9%増(約1,400億円増)の15兆9,489億円です。
※地方交付税交付金とは,「地方公共団体の間の収入の格差をなくすため」に、どの地域に住む住民にも一定の行政サービスができるよう財源を保障するため国から交付(お金)されることです。
 
産業が発達し、地方税など自主財源の収入が多い(例:東京)地方公共団体には、地方交付税交付金 は少なく配分(もしくは交付しない)し、地方公共団体の財政状況を考慮して配分されます。

最後に全体の22.3%を占める「国債費」です。

・国債費
令和2年度より1.7%増(約4,100億円増)の過去最大23兆3,515億円です。
※過去に発行した国債の償還や利払いに充てる諸費用

まとめ(歳出状況)

社会保障費、公共事業関係費、文教及び科学振興費、防衛関係費、地方交付税交付金等は、前年度当初比ほぼ同水準か、微増でした。
 
国債費の1.7%増もありますが、新型コロナ対策予備費に5兆円(4.7%)を計上したことが全体の歳出金額を押し上げました。

1-2.歳入状況

引用:国税庁 国の一般会計歳入額 内訳(令和3年度当初予算)

歳入は大きく分けて、2つに分けられます。
租税及び印紙収入(53.9%)、公債金(40.9%)です。
 
まずは、全体の半分以上を占める「租税及び印紙収入」(53.9%)です。
 
・租税及び印紙収入
令和2年度より▲9.5%(約6兆円減)の57兆4,480億円です。
租税などの国家の歳入金は現金で収納するのが原則であるが、例外的に法律によって認められたものは収入印紙を一定の書類に貼付(ちょうふ)することによって収納することができる
 
全体の40.9%を占める「公債金」です。
 
・公債金
令和2年度より34%増(約11兆円増)の43兆5,970億円です。
※国が税収の不足を補うために発行する、債券により借りられた金額のこと。

まとめ(歳入状況)

新型コロナの影響による企業業績の悪化による景気の落ち込みで税収が減りました。
 
歳入不足を補うために新規の国債の発行額は、特例公債(赤字国債)が37兆2,560億円、建設国債が6兆3,410億円、合算して43兆5,970億円です。

新規の国債発行額が前年度を上回るのは11年ぶりで、歳入全体に占める国債の割合は40.9%(前年度31.7%)となり財政収支は一層悪化しました。

以上が、「歳出と歳入の状況」の説明となります。

国に入ってくるお金の約54%は税金です。
不足分については国債を発行して集めた公債金(約41%)でまかなっています。

令和3年度は43兆5,970億円の国債が発行され、令和4年5月には公債残高は1,000兆円を超えました。

国債は国の借金なので元本を返済し、利子を支払わなければなりません。 
国債費は国の歳出の中で大きな割合を占めており、このままでは将来の世代に大きな負担を残します。

国債発行の抑制による財政の健全化にすることが緊急の課題となっています。

次回は、歳出・歳入の構成ついて詳しく解説していきます。


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