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逗子という街がもたらしてくれた経営者としてのモチベーションと「これから」~ファイナンシャルプランナー進化論⑧~
ファイナンシャルプランナー進化論②の記事で書いた、私が経営者としてリスタートのきっかけとなった幸運の一つを、もう少し掘り下げて書いてみたい。
東京で大失敗した起業から、自宅のある逗子に失意の中舞い戻ったのだが、この街に住んでいたことは本当に幸運だと思っている。
逗子市は神奈川県横浜市の南側に隣接し、鎌倉と葉山の間にある海と山に囲まれた人口5万人の街だ。
海と山に囲まれた豊かな自然。JR横須賀線の始発駅なので東京駅まで座って1時間で着けるというアクセスの良さ。街の地理的なサイズと人口が適切で、人と人の距離感がちょうど良い。逗子が好きで移住してくる子育て世代も多く、価値観が合う友人を持ちやすい、等々。我が街自慢になってしまうが、私たち家族にとっては最高の住環境だと思っている。
そして、失意の中から、創業経営者として欠かせない「モチベーション(動機)」と「事業欲」を持つきっかけを提供してくれた街と言ってもいい。
逗子には2010年に移住したが、会社員から独立1年目までの5年間は、住んでいた、と言えないぐらい、縁遠かった。
会社員時代は終電で帰ってきて、7時の電車に乗るという生活だったので、ほぼ寝るために帰るだけ。帰る時間がもったいないと、都内の職場の近くにアパートを借りていたことが2度ほどあった。
週1回の休みは家族サービスに充てていたが、家族の要望もあり市外に出ることの方が多かった。
なので、これは冗談ではなく、家から徒歩15分の逗子海岸も5年で2~3回しか行かなかったように思う。
当然、地域の友達もゼロ・・・。
自宅の子供部屋でリスタートしてからは、友達も作りたいし、仕事を立て直すきっかけになればという思いから、色々な地域団体に所属したり、パパ友作りにも積極的になった。
妻は活動的で逗子市内の交友関係も広く、毎週のように沢山の友人や子供たちが自宅で飲み会を開くほど地域に根差していた。
なので、妻繋がりでの友人が増えたこともありがたかった。
そこで感じたのは、起業前の自分が6年間熱中して頭の中の99%を占領していた、ビジネス(お金と数字)の世界観や価値観と、地域社会とそれとの大きな違いだ。
地域社会の友人や様々な団体(商店会・法人会・商工会・青年会議所・PTA・等々)、妻が所属していた地域での子育てに取り組む団体(一般社団法人そっかhttp://sokka.world/)の方たちと交友するようになり、今までにない価値観に触れることが出来るようになった。
それは「地域のため」「子供たちのため」「社会のため」という地域社会に生きる私たちにとっては当たり前に持たなければならないはずでもあった価値観であり、子育て・生活・仕事のモチベーションであった。
それまで、特に子育ては妻に任せっきりだったので、当時小学生の二人の子供たちが、いかに地域によって育てられているかも理解できるようになった。
そして、仕事やボランティアなど様々な活動を通して社会や地域や子供たちに素晴らしい影響を与えている市民と比べ、同じ市民でありながら、数字だけ追いかけてた自分が、とてもダサくも思えてきた。
同時に、もっと地域に、未来を担う子供たちに、そして社会の役に立てる自分でありたい、そんな会社を作りたい、という「事業欲」がフツフツと湧き上がってきた。
起業に失敗して、自信も資金も失い、ビジネスへのモチベーションを求めていた当時の自分にとって、この「欲」は大きな力となった。
創業経営者としての事業拡大のエネルギーの源に「なぜやるか?」という動機付けがとても重要だと思っている。
リスクも高く、多くの社員やクライアント、ステークホルダーを巻き込む「意味」や「意義」を自分自身腹落ちさせる必要がある。
FP Office (課題解決型ファイナンシャルプランナー)という事業モデルをこの逗子という街で作れたのは、まさにファイナンシャルプランナーとして自分が最も地域に貢献できることは何か?という視点であった。
そして、「この地域・社会に何かしらの良い影響を与える自分であり会社でありたい」という思いが、事業を拡大へ最初の一歩を踏み出す時に、大きな原動力になった。
一方で、経営者として「将来」地域や社会に還元できることはなにか。それは目標を立て事業拡大をしたという実績と、その中で磨かれ、進化した自分自身ではないかと。
そして、人生には終わりがあるが、会社(法人)はつぶれない限り永続する。1回しかない人生で、永続して社会に貢献できる仕組みや組織を作りたい、という思いも強くなった。
結果的に、その「動機」と元々あった「(決めたら強い)目標達成意欲」、そして良い人材が集まるというとてつもない幸運が良い形で相乗効果を生み、ここまで頑張れた。
だからこそ、チームとしての組織が出来つつある「ここから」がより重要なフェーズだと思っている。
私に経営者としての「動機」と社員やクライアントに対する「思い」があるのと同じように、社員にも様々な「動機」と「思い」がある。
このタイミングでのMVVC(Mission・Vision・Value・Culture)のブラッシュアップと、この記事が、そのエネルギーを集約するきっかけになればと思っている。
私に逗子という出発点があったように。