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長生きランキングに異変?「長寿大国」日本の明るくない未来とは

日本は言わずと知れた長寿国です。
平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳。(厚生労働省・令和3年簡易生命表)
男性はスイスに次いで世界2位。女性は30年間ほど1位を独走しています。男女平均では世界1位です。(WHO・2022年世界保健統計)
理由としては、医療皆保険制度によって高レベルの医療サービスを安価に受けられることや、健康的な食文化が根付いていることなどが挙げられます。

都道府県別では?

さて世界で見ると独走状態の日本ですが、日本国内での都道府県ランキングは、意外と激しく入れ替わっていることをご存じでしょうか。
現在、日本一の長寿県は滋賀県。男性82.73歳で1位、女性は岡山県の88.29歳に次いで、2位の88.26歳です。
一方、ワースト1位は男女とも青森県。男性79.27歳、女性86.33歳となっており、1位と比べると男性▲3.46歳、女性▲1.96歳となります。(令和2年簡易生命表)
同じ国内なのに、トップと比較してこれだけの差があるんですね。

長寿の秘訣は当然、身体が健康であることが最重要ですが、心の健康も大きく影響しているようです。
様々な都道府県ランキングから、身体と心の健康に関わっていそうな項目をいくつかピックアップしてみました。
また参考値として、ランキング中位の東京都も載せています。


長生きの秘訣は身体だけでなく、心の健康の維持も大切

健康面では、青森県の飲酒や喫煙習慣が目立ちます。
意外に感じたのは睡眠時間。多ければ多いほど健康かと思っていたのですが、真逆の結果です。
適度な睡眠は良いが、寝過ぎは身体に悪いということでしょうか。

またボランティア活動、勉強する習慣など、メンタルにも良い影響がありそうな項目で、滋賀県と青森県の差がはっきり表れています。
中高齢者の単身世帯が少ないことも、滋賀県の長寿の秘密と言えそうです。

どうした沖縄県

さてこの記事を書いていて、まず最初に感じたのは「あれ?最長寿の都道府県って、沖縄じゃなかったっけ」ということでした。
そう、一昔前の長寿県といえば、まず沖縄県のイメージでした。
調べてみると、驚くべき事実を知ることになりました。たしかに男性は1990年頃まで、女性は2010年頃までは全国トップレベルの長寿県だったのですが、坂道を転げ落ちるように順位を落とし、令和2年には男性最下位、女性16位となっていたのです。

これは急速に「食事習慣の欧米化」が進んだことが、最大の原因だと考えられます。
米軍の駐留地であることから、国内でも早い段階でアメリカのファストフード店が広まっていました。
もともと「適度な塩分」「豊富な野菜」「大豆や豚肉などの豊富なたんぱく質」を特徴とした沖縄の食習慣が、たった20年程度で危機的状況に変化したのです。

今後の課題

この現象は「将来の日本」を表しているとも考えられます。沖縄県が早かっただけで、食の欧米化は、今や全都道府県に広がっています。
このままいけば、全国的に平均寿命が短くなることも考えられます。

冒頭にも書いた通り日本の長寿の秘訣は、「充実した健康保険制度」と「健康的な食文化」です。
現在の財政では、前者を充実させることはかなり厳しくなってきています。
残された道は、子どもたちへの食育などを通して、日本が誇る食文化をいかに残していくか。そして、国民の心の健康をどう作っていくか。

将来的にも我が国が長寿国でいられるかどうか、いまが正に瀬戸際なのかもしれません。

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