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金ってどうでしょうか?
お客様から金(GOLD)投資について、ご質問をいただきました。
「友達で金を持っている人がいて、『相場が上がっているので、現金で保有しているよりも、金で持っていた方が良い』と勧められました。どう思いますか?」
という質問です。
この質問に対する、私なりの考えをお伝えしたいと思います。
◆資産分散の面からはあり
結論からいうと…
資産分散効果を高めるために投資資産の一部として金を保有する、という考え方は良いと思います。
ただ、あくまでも資産分散効果を高めるためです。
株式や債券、そして金はそれぞれ価格の動き方が異なります。
資産分散の効果とは、異なる値動きのものを合わせて持つことにより、それぞれの価格の上がり下がりが相殺され、資産全体のブレ幅を小さくする効果です。
資産運用の世界では、このブレ幅のことを「リスク」といいます。
投資の世界では、「元本割れすること」がリスクではなく、あくまでも「ブレ幅」のことをリスクといいます。
異なる値動きの資産を合わせて持つことにより、このブレ幅、つまり、リスクを小さくしてくれるのです。
ただ、金を持つ意味はあくまでも資産分散のためです。
単に「今価格が上がっているから」とか、「これからも上がるかもしれないから」という理由で金を購入することはお勧めしません。
それはなぜか?
それでは次に、金の特徴、金の価格について、お話ししたいと思います。
◆金は持っているだけでは増えない
金は「持っているだけでは増えない」という特徴があります。
株式や債券は保有しているだけでも増えていきます。
株式には配当があり、債券では利子が支払われます。
ただし、金は持っているだけでは増えません。配当もなければ利子もつきません。
では、どうやって金から利益を得るかと、「安く買って高く売る」。これだけです。
安いときに購入し、高いときに売却する、ということにより利益を得ていく必要があります。
では、今が安いのかというと…
今は安くはありません。
金の価格は、世界的な金融緩和によりすでに上昇しています。
そして、今後は米国をはじめ、世界各国では、金融の量的緩和を縮小していきます。
コロナ禍、米国、欧州、日本など世界各国では、中央銀行が国債などの資産を購入し、市場にお金を供給し、経済を支えてきました。
しかし、ワクチン接種が進み、経済は急回復し、世界各国ではインフレが起こっています。
そこで、今まさに欧米では、金融政策の方向転換をしようとしているのです。
今後、各国の中央銀行は、国債などの購入する量を少しずつ減らしていき、経済が過熱気味と判断すれば、金利も上げていくでしょう。
今、世界ではお金はジャブジャブ状態です。それを少しずつ正常化していこうとしているのです。
今後、世界のお金の量は減っていきます。
そうすると、普通に考えて、これからさらに金にお金が流れ、価格が上昇していくかというと、それは疑問ではないでしょうか?
もちろん、世界の物価は少しずつ上昇しているので、長期的にみれば、金の価格も少しずつ上がっていく可能性はあります。
ただし、短・中期的にみると、すでに金の価格は値上がりしており、今後しばらくは下落傾向にあると考えています。
出典:田中貴金属工業HPより筆者作成
◆金は、預貯金の代わりにはならない
資産分散をする上で、金を少し保有する、ということは、一つの投資戦略としては、ありだと思います。
ただ、資産分散効果を高めるために金を保有したいというのであれば、リスクとリターンの面からどのくらい持つべきかを試算し、投資の資産配分を検討する必要があります。
「有事の金」ともいわれるように、金は金自体に価値があります。
ただ、金は様々な経済状況により、価格が大きく変動します。
現預金とは全く異なる性格を持つ資産なので、現預金の代わりに持つということは、考え方としては正しくないと思っています。
【まとめ】
・資産分散のための金投資はあり
・今上がっているから、という理由での購入はNG
・金は持っているだけでは増えない
・金の価格は変動するため、預貯金の代わりにはならない
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