外貨預金は始めた方が良い?
外貨預金は、資産を日本と異なる通貨で保管する方法として、1つの選択肢となっています。
外貨資産を持つことで、円安・円高などの為替リスクのヘッジや通貨の多様化を図り、将来の不確実性に備えることができるというメリットがあります。
そういった点を考慮し、外貨預金を始めた方が良いだろうかと考える方もいるかと思いますが、結論から言えば原則として外貨預金はやらなくても良いと思っています。
以下、外貨預金をやらなくても良い理由について述べていきます。
金利と為替レートによる利益しかない
外貨預金のメリットで挙げられる点として、「高金利」であることや、「為替レートによる為替差益」、「資産の分散」があります。
資産の分散についてはそれ自体に意義があるので、それが目的であるならば十分なのですが、高金利・為替差益を狙うのであれば他にも同様の利益を得られる金融商品があります。MMFやFXですね。
預金保険の対象外金融商品
預金は預金保険機構によって預金者1人当たり元本1,000万円までとその利息等が保護されていますが、外貨預金はこの保険の対象外となっています。
万が一のことを考えると外貨預金を選ぶよりも、日本投資者保護基金による保護を受けられる外貨建て金融商品を選んだ方が安全だと言えます。
管理の手間があまりにも大きい
為替差益を得られるということは、逆に為替差損になってしまう可能性もあるのですが、そもそも外貨預金で得をしているのか損をしているのか、損益計算をする労力がとても大きいことが外貨預金をやらなくても良い理由として挙げられます。
証券会社の特定口座であれば損益計算は証券会社が行い損益計算書の発行もやってくれますが、銀行に預けている外貨預金の損益計算は銀行はやってくれませんし損益計算書の発行もやってもらえません。
そもそも利益が出ることを想定していない?
外貨預金について、「他にも金融商品がある」「保険の対象外」「管理が面倒」、以上のことから、個人的な意見になりますが外貨預金はそもそもそれを利用して儲けを出すことをあまり想定していないのだと思っています。
例えば、外貨による損益は雑所得に区分され課税されますが、雑所得になること自体が金融商品として重視されておらず、ただの通貨でしかないのだと感じさせます。
外貨による利益は、外貨を使った主たる取引による損益と共に発生する副次的なものであって、副次的な利益でしかないものに先述のデメリットを負うべきほどの理由を見つけ出すのは少し難しいように思います。
外貨預金が必要なケースは?
ここまで外貨預金をやらなくても良い理由を述べましたが、逆に外貨預金が必要になるケースについていくつか挙げてみます。
資産の分散それ自体が目的である
外貨を使った主たる取引を行うつもりである
他に雑所得があり、為替差損益と内部通算するつもりである
こういった場合には外貨預金が必要になると思いますが、1については外貨預金でなくても他にも方法が存在すること、2と3についてはあまり一般的なものではないため、原則として外貨預金はやらなくても良いという結論になります。
2と3に関してさらに述べると、身近であり取っ付きやすさから外貨預金を初めに選ぶのが簡単だとは思いますが、外貨建株式や外貨建のソーシャル・レンディングなど他の金融商品の取引を行うこと前提で外貨預金を選ぶべきだと思います。