ペット保険とライフプランニング
FP相談の中で、ペット保険は必要か?と質問がでることがしばしばある。もちろん、年齢や体調、飼い主の価値観によって考え方が異なるが、長期にわたり治療が必要になることを考えると加入をお勧めしたいところである。一方で、病気にならない可能性も当然あり、その場合の保険料というコストはインパクトが大きい。
一般的には、ペットの保険にはどの程度加入しているものなのか?
株式会社矢野経済研究所の調査では、ペット保険の加入率は29.6%だった。
※犬または猫(犬と猫の両方も含む)を飼育する20代から70代の男女1,619名を対象に「ペット飼育者の消費行動に関するアンケート調査」(調査時期は2020年12月)(https://www.yano.co.jp/pressrelease/show/press_id/2664)
保険大国日本においては、ペット保険も同様に半数以上が加入していると筆者は考えたが予想より低い加入率といえる。ペット保険自体は歴史がまだ浅く、認知度も低いということが影響しているのではないだろうか。
では、実際医療費自体はどれくらいかかるのだろうか?
東京都福祉保健局の東京都における犬及び猫の飼育実態調査の概要(平成29年度)によると、ペットにかかる年間医療費は、犬でおよそ30,000~60,000円程度、猫で10,000~30,000円程度と回答した飼育者が3割である。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/aigo/horeishiryou/siryou.html
あくまでも平均値でみると、年間にかかる医療費は抑えられているようにみえる。故に、飼い主としては、その他のコスト(ペットフード、トリミング、ワクチン代など)を考慮すると、保険料まで負担することを避けた結果、現状の加入率にとどまっているという見方もできる。
ただし、ここで注意が必要なのが、年間の医療費の平均という言葉である。上記東京都福祉保健局の調査結果の詳細をみると(下図)、犬の場合、年間医療費が20万円~50万円かかることが全体の約10%を占めている。
※猫の場合は10万円以上というくくりで約8.5%
つまり、年間で20万円以上かかる可能性10%をどうみるか、が重要である。
犬も猫も平均寿命が14歳程度と考えると、約280万円(20万円×14年間=280万円)かかる可能性を含むことになる。この大きさのリスクを考えると、やはりペット保険を検討することの意味がある。
ここまでは、あくまでもペットにかかるリスク、という点のみでみて、加入をお勧めしてきた。しかし実はペット保険加入においても、ライフプランニングが重量であると提唱したい。ライフプランニングをすることで一家の収支、資産の推移が明確になる。資産推移が潤沢であれば、上記のような医療費がかかっても、保険の必要性は低い。(資産で医療費を支払うことができるため、かかるかわからない医療費に対して保険料をコストとする必要がない)ペット保険を検討の際にも、是非ともライフプランニングから検討をしてほしい、そう願いたいものだ。