能登の美しさ
先ずは、今回訪れた深見地区についての動画リンクを貼らせていただきます。
前回「能登の現状」として粗末な記事を書かせていただきましたが、それだけでは伝わらないと思ったんです。
リンクを貼った動画に写っている地区へ伺い、動画に写っている住民の皆さんにコーヒーをふるまってきました。
動画を見るたびに、涙が出てしまう。
大変な試練を与えられた土地。
でも、信じられないほどに美しい土地。
今回は、もう一つの現状として、その美しさを少し書きたいと思っています。
【能登はやさしや土までも】
そう言われるのが心から頷けるほど、やさしい人と、景色と。
昨年3月から何度か通わせていただいて、顔を覚えてくださる方も増えてきました。
今回初めて訪れた集落の人達へ、
「このコーヒー屋の兄ちゃん、俺の集落に何回も来てくれてる。このコーヒー、うまい。」
そう紹介してくれたのは、通っていた集落の中でも、強面で、口調がキツくて、にこりともしなかったゲンさん。
最初、怖い人なのかな、と思っていたけれど、本当に優しい人で、自身も被災者なのに、他地区のボランティアにも熱心に動いています。
「避難所にいると、炭水化物は沢山届く。でもやっぱこれ(コーヒーを指差す)よ。嗜好品ってやつが、本当に嬉しかった。兄ちゃんのは、とびきりうまいしな。」
今回、そう言ってくれたんです。
にこりともしなかった。ごちそうさまも言わなかった。でも、実はそんな風に思ってくれていたんだ。
小学5年生の子が、ボランティア活動に参加していました。親御さんではなく、違う大人に引率されて。(親同士が友達らしいです。)
最初は親に言われて嫌々参加したボランティアだったけれど、この経験は今後の人生の糧になると断言する小学5年生。自衛隊員になりたいんだって。
集落のおばあちゃんが、取り壊しが決まった家屋の前で、岩海苔を洗っていました。
この地区の岩海苔が、一番美味しいんだって。
僕達の掌に、洗ったばかりの生の海苔を載せてくれました。シャキシャキとして、驚くほど美味しかったです。
そしたら、ビニル袋に、どっさりとその海苔をお土産に持たせてくれた。
「お味噌汁に入れるとおいしいよ」
冷凍保存の方法も丁寧に教えてくださいました。
隣では、無口なおじいちゃんが、ひたすらに土を小さなふるいにかけて、石を取り除いていました。(同じく、後ろには傾いた家屋)
きっと、畑を再開したいんだと思います。
喫茶・雪割草の会場を貸してくれたおばあちゃんも、お墓の隣にあった畑を、なんとかしたいそうです。全部の土を川の氾濫に持って行かれてしまったけど。
他の集落でも皆、口を揃えて、「畑をやりたい」って言っていた。
家を、家財を失っても、
それでも何かを作り出したいんだ。
身体に、心に、刻み込まれているのかな。
なんて逞しいんだろう。
なんて尊いんだろう。
輪島は、能登半島の西側。
沈む夕日を長く見送る土地。
能登はやさしや土までも
能登はうつくしや風までも
これからも、能登に行き続けたいです。