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突然のフライトキャンセル

12月のクリスマス前に、夫の実家があるイギリスに行くことになっている。

フライトを予約したのは10月の終わりのこと。「このチケット安い!よし!買っちゃおう!」そんなノリが手伝って、急いで航空券を予約。

エアチャイナで、福岡から上海、上海からロンドンガトウィックの便なのだが、上海からガトウィックの便は深夜便。だから安い、というわけ。

エアチャイナでは6時間以上のトランジットで、無料のホテルが予約できる。なのでその権利を行使してホテルを予約した。これで夕方に上海に着いてから、一旦ホテルでゆっくりして、それから深夜便に乗ればOK!ということである。段取りをして、予定はバッチリ決まっていた。

はずだったのだが...


なんと先日、入れておいたエアチャイナのアプリから突然連絡が。私たちの乗るはずの上海-ガトウィック便が、突然キャンセルされたというのだ!

「え?どういうこと!?」

私は軽くパニックになりながら、慎重に情報を読み進めていく。すると、福岡-上海の便はそのまま、予定通り。上海-ガトウィックの便が、やはりキャンセルされており、その次の日に変更になっている。

『全額キャンセルして返金することも可能です。あるいは追加料金なく、次の日の便をそのまま予約できます』と、予約したサイトBooking.comからのメールに書いている。何度も読み返した英語の文章。間違いなく、そう書いてある。

「問題は、クリスマスイブの日にロンドンに到着すると、そこからレスターまでの道ってすごく混むんだよ。だから前日のうちに着いておきたかったのに。」

と夫。

夫はイギリスのレスター出身。ロンドンガトウィック空港までは、夫の両親が車で迎えに来てくれることになっているのだ。

問題は、上海でまる1日以上過ごすってこともあるけどね」

と私は言う。

私は以前香港に住んでいたことがあるが、そこから何度か中国本土に出かけたことがある。香港では英語がどこでも通じたが、中国ではほとんど通じなかった。トイレに入ったら本当にドアがなかったり、驚愕のことがたくさんあった。

もちろん、いろいろと準備して中国に旅行に行くことは楽しいと思う。けれど何しろ突然だから、とても戸惑う。今回は子連れだし...

「まず、エアチャイナに連絡してみよう!」

私は予約してすぐの頃、エアチャイナのコールセンターに電話をかけたことがあった。その時は日本語の話せる中国人のスタッフが対応してくれて、悪くはないのだが、無駄に待たされて電話料金が20秒ごとにかかっていたので、『特に良くもなかった』という印象だった。

そこでGoogleマップで探してみたら、エアチャイナの支店があったので、そこに営業時間内にかけた。すると日本人の女性が親切に対応してくれたのだった。

「また、あそこに電話しよう」

と思いついて、次の日になってから電話。ことの次第を全て話して、確認した。

「やはりフライトはキャンセルされていますね。理由ですか?さあ何とも...こちらにはまだ情報が来ていないので...」

日本人女性のスタッフが申し訳なさそうに言う。

「あの、予約していた無料のホテルはどうなりますか?」

「トランジットホテルですね。この場合は1日以上間が空きますので、トランジットの対象にならないんです。ですのでホテルも自動的にキャンセルになります。」

「それでは、福岡-上海の便も次の日に変更することはできますか?それで全部の予定が1日ズレるだけになるんですけど」

「調べてみますね。...  あるにはあるんですが、もう料金の高いお席しか残っていませんので、かなり金額が変わってしまいます」

私は一応、どれくらい金額が変わるのか聞いた。追加料金だけで、家族で台湾に2泊3日で旅行できそうな金額だった。

「そうですか...」

私はそんな追加料金は絶対支払いたくない。そもそも安い便だから行こう!と早々から予約していたのに、急遽1日ずらさなければならず、イギリスでクリスマスの渋滞に巻き込まれることになって、なぜ高い料金を支払うのか。

そもそも高い航空券のことは、私達ははなから考えていない。むしろ安いフライトに慣れてタフに移動したい。安い航空券のリスクは承知だと思っていたのではないのか。ここで高い金額を払うことは、私のオプションにはない。

払うとすれば、上海での新しい経験に対して。それのみだ。

「分かりました!それでは上海で1日泊まることにします!」

私は吹っ切れて軽やかにそう伝えた。その時にはもう「上海で1日楽しいことするか!」という気持ちになっていた。

私と夫の英会話教室の大人の生徒さんの中に、この夏、別の中国系エアラインでイギリスに行った人がいた。やはり福岡-上海、上海-ロンドンだった。私は早速、彼女にそのことを報告した。

「そんなこともあるんですね!そういえば、上海ではLINEが使えませんでしたよ」

そうか。中国の情報規制...話を聞いたことがある。急いで情報を収集しないと、当日困ることになるな。

そうは言っても不安だなあ。ホテルとか、どこにすれば良いんだろう?移動はタクシー?地下鉄?中国語もできないし。イギリス人の夫にとっては日本以外のアジアの国は初めてだ。彼も彼で、やっぱり不安そう。

何気なく母に相談していたら、母の弟、私の叔父の会社に上海支店があるから、聞いてみたら?ということになった。

その後まもなく叔父とのライン電話。相談の時間を設けてもらい、無事ホテルを紹介してもらった。さらに上海1日観光のプランの相談や、その他もろもろ現地の情報を教えてくれると言う。

上海の夜景

叔父に礼を言って電話を切り、「やれやれ」と一息ついた。そこで初めて「上海1日観光、楽しみかも」という前向きな感情が湧いてきた。

こんな風に、「思ったようにいかない」ことが海外旅行ではよくある。まあ今回みたいに、まだ海外にも行っていない時点でつまずくことも、たまにある。

その時のピリッとした緊張感、フライトやトレインキャンセルの時の絶望感。必死で英語のメッセージを読み解く時の、心臓バクバク感。

ただやっぱり、それも含めて海外旅行なんだよなあ、と実感する。人生だって、思った通りになることなんて、ほぼない。

むしろ日本に住んでいると、色々なことがうまくいきすぎているのだ。

今回のようにトラブルがあって、全く別の計画が突如として持ち上がった時こそ、楽しんだもん勝ちなんだ。

というわけで、少しは中国語を勉強しようかと思う今日このごろなのである。

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