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私の世界ふれあい街歩き〜ロンドン編〜

私が海外旅行に興味を持ったきっかけになったテレビ番組がある。NHKの世界ふれあい街歩きという番組だ。

海外の特定の街を訪れ、なんでもない通りを歩いたり、地元の人と言葉を交わしたりする。撮っているのはカメラマンとディレクターだけなのか、画面に登場するのは地元の人や景色だけ。けれど彼らはカメラに向かって気軽に話しかけてくるのだ。こちら側の声の吹き替えは有名な俳優がやっていたりする。永作博美さんとか、印象に残っている。

「この番組みたいに、海外の街をぶらぶら歩きたい!」と若い頃からずっと夢見ていて、いざ旅が叶った時、頭の中ではいつも自分がこの番組に出演しているつもりで歩いているのだった。

この番組の特徴として、有名な世界遺産とか観光スポットに行くのではなく、あえて普通の通りを通って「こっちは何があるんだろう?」とか言いながら、ノープランで進んでいくというものがある。

その方がリアルだし、テレビを観ながらまるで自分も旅をしているような、楽しい気分になってくるから好きだ。

今回私は、ロンドンの街をぶらぶら街歩きした。季節は真冬。クリスマスが終わって年末の、2024年12月30日だ。

ビッグベン周辺に行ってみたら、ものすごい人の量。これは一歩前に進むのも大変だ!ということで、ずんずん人並みに押されるように、ウェストミンスター寺院の方へ。

観光客でいっぱい!みんな写真を上手く撮れるスポットを探し中。



ウェストミンスター寺院のような古い建物は、今日みたいな曇り空になんとも映える。晴れの日も良いのだろうが、ロンドンといえばグレーの空と霧。それが伝統というもので。それにこのおどろおどろしい木はなんなのだろう。

ウェストミンスター寺院の中へ入るための列。私は今回は素通りした。
外から見るだけでも荘厳な風景。


この場所は、さまざまな歴史の目撃者でもある。改めてそれを思い出させてくれるような色合いと、すごいオーラだ。

ウェストミンスター寺院を通り過ぎると、ここにも厳かな感じの建物があった。
これはなんだろう?

なかなか素敵な建物。

ここにもたくさんの観光客が。ビッグベン前とは違ってみんな「ここで写真撮っとくべき?」と迷っているようにも見える。かくいう私も…


ロンドンバスでも移動した私達だったが、やはり地下鉄の移動が分かりやすいので、サクッと地下鉄でこの激混みの場所から移動した。

ロンドンチューブの座席の柄はかわいい。
ロンドン土産のバッグなどの生地に使われることもある。


今日は夕方にロンドンから、イギリス人の夫の実家があるレスターに帰る予定になっている。ロンドンからレスターまでは電車で1時間。そのため電車の時間まで、スーツケースを預けているLondon Blackfriars station(ブラックフライアーズ駅)の周りをうろうろすることにした。時間ギリギリまで、スーツケースは預かっていてもらいたい。

ちなみに駅など公式のところに預けると12ポンドと高くつくが、ネットで探せばもっと安い方法がある。


Radical Storageというアプリを使って、荷物を預けたい駅の近くで検索すると、5ポンドで預かってくれる場所を見つけた。よくあるロンドンのお土産屋さんの店の奥に、スーツケースがたくさん置かれているのだ。

ネットで予約してから行ってみると、無愛想な店員が頷いて、スーツケースを預かってくれた。「いつ取りに来る?」と聞くので、少し遅めの時間を伝えておいた。(万が一遅れて追加料金をチャージされることはないだろうが一応...)

ロンドンには何度も来ているが、このあたりを散歩するのは初めてだ。

比較的きれいでモダンな通り。良さそうなパブを発見。


くねくねした上り坂。地味に疲れるけれど、歩道がちゃんとあって歩きやすい。人気のスポットというわけでもないし車の通りも少ないので、上を見上げたりキョロキョロしながら、写真を撮りながら歩いていく。

ここで、あのトム・クルーズも入っているという宗教団体『サイエントロジー』の建物を発見。こんなロンドンの一等地に、こんなに大きな自前のビル!?

きっとトム・クルーズも多大な寄付をしているだろう


こんなにきれいな学校(?)も、道路の向かいに。イギリスらしい茶色と白の組み合わせが、なんともオシャレに感じる。

ここでちょっと歩き疲れたし、「座ってビールでも飲もうか」ということになった。(実はそれが一番の目的)

Doggett's Coat and Badgeというテムズ川に面したパブに入った。こぎれいで、割と大きなパブ。チェーン店っぽい。

ビールの種類を目線でさっとチェックして、以前からお気に入りのエールDoombarを見つけたので、夫に買ってきてもらう。イギリスのパブは前払い制。カウンターに行って注文して支払いをしたら、ビールは自分で持ってくるのが一般的だ。

「あれ?Doombarは?」

夫が持ってきたビールを見ると、London Prideではないか。

「そのはずだよ。なんか違うグラスに注がれたけど」

あ、なるほどね。グラスとビールがマッチしていないことは、たまにあるのである。ちょっと残念。私はロンドンプライドみたいなミーハーなビールではなく、通なDoombarを飲んでいるのだが。

まあ、小さいことは気にしないようにしよう。別に誰も見ていないし。

プレミアムモルツを一番搾りのグラスで出される感じ?一番搾りは大好きだけど。
クラブハウスサンドを注文。量は多め。それにchipsがサクサクで美味しかった。ビールがすすむ。
お釣りにチャールズ国王のお札をもらった。まだまだエリザベス女王のお札もあって、こうして現在徐々にチャールズが増えているのである。イギリスのお札はプラスチックでできているので、万が一濡れてもOK。

ビールとチップスでエネルギーをチャージしたら、再度歩き始める。テムズ川に沿ってゆっくり歩くのは、ロンドンで私が一番好きなことかもしれない。

ここはテート・モダン。サウス・バンク地区にある国立の近現代美術館である。

この妙な見た目の建物は、以前はバンクサイドという発電所だったからなのである。エントツが遠くからでも目立っている。

テートモダンの前にはミレニアムブリッジがある。

「なんだこりゃ?」と思うのは建物だけでなく、中はもっとわけの分からないアートで溢れているのだから、なかなかハイセンスな選択だ。

バンクサイド発電所(英: Bankside Power Station)は、テムズ川南岸のロンドン・サザーク区バンクサイド(英語版)に存在した発電所である。1891年から1981年まで発電所として操業を行い、2000年からは博物館・美術館のテート・モダンとして再利用されている。

出典:Wikipedia

中に入ると早速大きなアートがお出迎え。チェーンが「キーッ」と時々音を立てる。よく分からないけれど、私達人間による環境汚染がテーマのような気がする。(もちろん全然違うかもしれない)

錆びた水のような、泥のようなものがたえず滴り落ちている。


全く予期せず、突然前から見たかったアートを発見。

ここにあったとは!私の好きな印象派の画家エドガー・ドガの、幻の彫刻『14歳の小さな踊り子』ではないか。

山田五郎先生のYouTubeで観て、大笑いしていたのだが、まさかここテートモダンにあったとは!かなり嬉しい驚き...!

(仏語: La Petite Danseuse de Quatorze Ans)
後ろ姿もじっくり見ることができる。

実際に見てみると、ドガの彫刻家としての素晴らしい才能を感じる。

バレリーナの絵をたくさん描いているので、その少女特有の体型を表現するのも流石という気がする。

山田先生の言う通り、スカートとか作ったんだ、と思うと確かに気持ち悪くはあるのだが(笑)、それでもやっぱりすごい。どこから見ても高いクオリティーの作品だった!



そして別室へと進むと、これまたうるさい、謎の青い部屋。一つ一つのラジカセやらCDプレーヤーやらが、それぞれ音を鳴らしているのである。

私が小さい頃よく使っていたラジカセに似たものがあった。そうそう、こんなやつで音楽を聞いていたっけ、懐かしいなあ。

次々と変化するテクノロジーへの、古いガジェットたちからの抗議?

色々と考えさせられながら、「こういう考える時間こそが、モダンアートの真髄なのではないか?」と思ったりする。

周りを見てみると、老若男女、実に色々な人でいっぱい。私達のような家族連れも。
それぞれが好きなことを喋りながら、「何これ?」とか時に笑いながら、その空気感を楽しんでいるのである。

カエルのジーザス?

当然わけの分からないアートもあるのだが、それに対して私達が考えを巡らせること、そこに新しい意見を持つことによって、これらのアートはようやく完成するのではないだろうか?

そんなことを思った。


和気あいあいとテートモダンで現代美術を楽しんだ後、私達はレスターへ向かうため移動。レスターへはセント・パンクラス駅(St Pancras station)から電車に乗る、ということで再び地下鉄、チューブに乗った。

セント・パンクラス駅はとても大きな駅。ユーロスターでフランスへ行く人達もたくさんいた。

エスカレーターに乗る時、今とても人気のミュージカル&映画Wicked (ウィキッド)のオブジェに気がついた。とてもかわいい。品の良い緑色が、絵本から出てきた建物みたい。


新作映画ウィキッドはイギリスでも大人気。

この後、当然のように電車は遅れに遅れ、1時間立ちっぱなしで待たされ(電光掲示板の前に立って時間をチェックしながら待つのがロンドンでは一般的)、やっと乗り込んでレスターへと出発した。それも含めて「イギリスだったなあ」としみじみ思う今日この頃。

私なりの世界ふれあい街歩き、今回もなかなか面白かった。地元の人と話ができなかったのは残念だったが、無事旅を終えられたので良しとしよう。


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