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イギリスの建物のさまざまな様式
イギリスを初めて訪れた時、街並みの美しさにびっくりしたことを覚えている。住み始めてしばらくしてから、それらの建物にも違いがあるということがなんとなく分かってきて、イギリス人に聞いてみると「あれはビクトリアンスタイル」とか、種類があることを知った。それはイギリス人なら一般的な知識のようで、それにも驚いた。
イギリスだけではなくヨーロッパの街では、「洗濯物を外に干しちゃダメ」とか「勝手に壁の色を変えたらダメ」とか、通りによってルールがあることも多い。そうやって住人の努力や日々の習慣によって、街の景観は守られているんだなあ、と思った。
今日は私がイギリスでよく見たイギリスの建物の様式をご紹介。「この様式が好み」というのが誰でもあると思うので、見つけてみてほしい。
イギリスで見ることができる建築様式
イギリスにはさまざまな建築様式があり、歴史的な背景や地域によってさまざまな建物が存在する。
1. ビクトリア様式 (Victorian)
1837年から1901年までのビクトリア女王の治世に建てられた建物で、装飾的な要素や多様なスタイルのミックスが特徴。タイル張りのファサード、尖塔、バルコニーなどが見られる。
装飾が多く、ちょっぴり派手な感じが特徴で、きらびやかな印象。
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ロンドンのセント・パンクラス駅
ロンドンにあるこの駅から、ユーロスターに乗ってパリやブリュッセルに行くことができる。
とても大きく荘厳な外観であるとともに、よく見ると細かい装飾が施されており、じっくり見ていても飽きない素晴らしい建物!
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2. ジョージアン様式 (Georgian)
1714年から1830年頃にかけて流行したスタイルで、シンメトリーなデザインや古典的な要素が特徴。赤レンガの家や、白い柱が使われることが多い。
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スコットランドの首都エディンバラの、ジョージアン・ニュータウン (Georgian New Town)
エディンバラの中心部に広がる地区で、ジョージアン様式の家屋が整然と並んでいる。
古くて美しい建築の存在感に圧倒される。この地域はユネスコの世界遺産にも登録されている。これからも人々の努力によって守られていく景観なのだろう。
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3. エドワーディアン様式 (Edwardian)
1901年から1910年までのエドワード7世の時代に建てられたスタイルで、ビクトリア様式よりもシンプルで洗練されたデザインが特徴。広い窓や、庭を重視した設計が見られる。
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私がイギリスのブライントンに留学していた時に住んでいたフラット(イギリスで言うアパート)がこの様式だった。
今回記事を書くのに当時の写真を探しても、外観がきちんと写っているものがなかったので、住所からGoogleストリートビューで探してみた。
懐かしい!
この最上階の左上の一部屋に住んでいた。シャワーとトイレは同じ階の住人と共同だった。左上のちょっと窓が開いているところに当時住んでいて、その隣の真ん中の窓の部屋がシャワーとトイレの部屋だ。
爽やかな外観にいつも癒されていた。
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4. ゴシック様式 (Gothic)
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12世紀から16世紀にかけて流行したスタイルで、尖塔や大きなステンドグラスの窓、細かい彫刻が特徴。多くの大聖堂や教会に見られる。
目の前に立つと圧倒されるような迫力があり、細かい装飾を見るのも楽しい。
ウェストミンスター寺院
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ロンドンのウェストミンスター寺院は、よく王室の行事が行われる教会。
ウィリアム1世以来、エドワード5世、エドワード8世を除くすべてのイギリスの歴代王が、「エドワード懺悔王の礼拝室」で戴冠式を行っており、王室の結婚式も行われる。
とにかく美しい外観の寺院で、花のような丸い装飾がとても特徴的。
5、テューダー様式(Tudor)
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テューダー朝(1485年 - 1603年)は、イギリスの歴史において重要な時代であり、この時期に建てられた建物には特有の特徴がある。
テューダー建築の最も特徴的な要素の一つは、木組みのフレーム。古いお伽話に出てくるような、黒っぽい木が風情を出している。外壁に木材が露出しているスタイルが一般的で、黒と白のコントラストが印象的だ。
テューダー様式の家には、しばしば大きな煙突もついている。これらの煙突は装飾的で、多くの場合複数の煙突が組み合わさっている。また、屋根は急勾配であることが多いのも特徴だ。
リバティ百貨店
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リバティ百貨店(Liberty)は、ロンドンにある有名な百貨店で、特にその独特な建築スタイルと商品ラインで知られている。
1875年にアーサー・リバティ(Arthur Liberty)によって設立され、最初は繊維や装飾品の販売を中心にしていたが、徐々に多様な商品を扱うようになった。
ロンドンのウエスト・エンド、オックスフォードストリートとリージェントストリートの近くに位置しており、いつも観光客で賑わっている。
私も足を踏み入れたことがあり、内装も豪華でエレガント、とても贅沢な空間だった。置いている商品もお高くて上質なものばかり。
リバティ百貨店の建物は、チューダー復興様式(Tudor Revival Style)で設計されており、特徴的な木組みの外観が印象的。
実はこのテューダーリバイバル、昔の木組みの雰囲気を維持しながら、モダンに設計されたもので、日本でもたまに見かけることもある。木組みと白い壁の組み合わせや、急勾配の屋根、それに煙突が可愛い。
お気に入りの様式は?
イギリスの街を歩く時、これらの様式の種類を少し知っておくだけでも、楽しさが全然違う。「これはエドワーディアンかな?それともビクトリアン?」とか考えながら建物を見て歩くだけでも、かなり面白い。
私のお気に入りの様式はテューダー様式だ。昔のイギリスの様式なのでそんなにしょっちゅう見られないということもあるし、木組みで少しいびつなところも憎めない。可愛らしい雰囲気がストーリーの中から飛び出してきたようでとても惹かれる。
見ていると、「昔昔あるところに...」というお話が始まりそうで、ワクワクしてしまうのだ。
目の前に立つと圧倒されるような大きな建築も迫力があって良いし、歴史を感じる古いレンガ作りの家も素敵だと思う。
街並みには人々の暮らしを見ることができ、また人の努力なしには伝統的な建物を守っていくことはできない。
色々な背景を想像しながら、違った様式を見て楽しんでいきたい。