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保険屋が陥る「自己満足セミナー」とは?-事前準備編-

保険屋が陥る「自己満足セミナー」とは? ー事前準備編ー

多くの保険営業の方が「自信を持って企画したセミナーなのに成果が伴わない」といった悩みを抱えています。参加者の興味を引けなかったり、売り込み色が強すぎると思われて警戒されたりすることが原因のひとつです。前回までの記事で触れたように、成果につながらないセミナーに陥りがちな要因のひとつが、「自己満足セミナー」になっていることです。

今回の記事では、セミナーを「自己満足」に終わらせないために、事前準備で重要となる「相手が知りたいと思う内容」と「自然に興味を引き出すためのテーマ作り」について掘り下げます。


① 相手が「知りたい!」と思う内容に的を絞ったテーマ設定

セミナーが「自己満足」に終わる理由のひとつが、テーマ設定が広すぎて参加者にとって「本当に知りたい内容」になっていないことです。例えば、「ママさん向けマネーセミナー」や「老後資産形成」といった、漠然としたテーマでは参加者にとっての具体的なメリットがわかりづらく、むしろ「売り込み目的では?」と警戒されることが多くなります。日本ではこの手のセミナーに対する警戒心が年々強まっており、特に「マネーセミナー」や「資産形成」という表現は金融詐欺や悪徳業者と関連付けられやすいため、注意が必要です。

そこで、セミナーのテーマはさらに絞り込み、ターゲットが本当に必要としている具体的な情報にフォーカスしましょう。たとえば、子育て世代に向けたセミナーであれば、「子供に伝えたいお金の話」というタイトルにして、「お金の成り立ち」「教育資金の準備」「日本の生活設計」といった内容を4回シリーズに分けて提供するなど、段階を踏むことで安心感を与えることができます。このシリーズの中で自然に「学資保険」の話を盛り込み、売り込み色を薄めつつも本当に必要な情報を伝えるのです。


② 自然に興味を引き出すためのキャッチコピーがカギ

良いテーマができたとしても、参加者の興味を引く「キャッチコピー」がなければその内容が伝わりにくくなってしまいます。セミナーの告知段階で参加者が「これは自分に役立つかも?」と感じられるようなキャッチコピーが必要です。

「将来の不安を解消!50代からの家計スリム化術」「教育資金を賢く準備するコツ」「本当に必要?教育資金」「こっそり知りたい、世間の金銭事情」など、具体的なメリットをシンプルに表現することで、参加者が思わず「知りたい」と思ってもらいやすくなります。また、「マネー」「資産形成」といった言葉は避け、代わりに「家計」「生活費」など日常的なキーワードを使用することで、親しみやすさを感じてもらえます。キャッチコピーは「知りたい」を引き出すための第一関門として、慎重に設定しましょう。


③ 安心感を高めるためのシリーズ化と、複数回の接触機会の確保

セミナーのテーマが決まったら、それを1回で完結させるのではなく、「全3回」「全4回」などのシリーズに分けて、参加者に複数回会える機会を作りましょう。これは、日本人が一度の出会いで契約に至ることを警戒する傾向があるため、段階的な接触が安心感につながるからです。また、セミナーの中で「保険会社所属の○○です」と、最初から正直に名乗っておくことも重要です。後から「実は保険の売り込みだったんだ…」と感じさせてしまうと、一気に信頼を損なうリスクがあります。むしろ、「保険会社だからこそ伝えられることもあるんです」と伝え、正々堂々と役立つ情報提供をしていく姿勢が信頼感の構築に役立ちます。

また、シリーズ化によって参加者との距離を縮めることができ、段階的に関係性を構築できるため、セミナーでの最終的な提案もスムーズになります。


④ セミナーのゴールを明確にし、内容を練り込む

テーマ設定とキャッチコピーが固まったら、次はセミナーのゴールを設定し、そのゴールに向けて内容を練り込んでいきます。例えば、「教育資金の準備」をテーマにしているのであれば、シリーズ全4回だと3回目あたりで学資保険について詳しく説明する段取りにして、事前にお金の基本や家計見直しについて情報提供しておくと効果的です。

また、内容によっては専門家とタッグを組む必要もあります。例えば相続や贈与に関しては税理士。介護の話だとケアマネージャー、住宅資金だと住宅メーカーなどの専門家と提携することで、参加者にとってより有益なセミナー内容が作れるかもしれません。特に「介護」や「相続」のテーマを扱う際には、実務の専門家との連携によって信頼性の高い情報が提供でき、参加者の納得感も大きく向上します。自分が伝えたいメッセージと、参加者が本当に知りたいことをしっかりマッチさせるため、テーマに応じた内容の検討を怠らないことが重要です。


次回予告:成果に結びつける「資料内容とパワポの使い方」

事前準備で効果的なテーマ設定と内容の骨組みができたら、次はそれを効果的に伝えるための「資料内容とパワポの使い方」がポイントになります。次回の記事では、伝えたいメッセージが参加者にわかりやすく伝わる資料の作成方法や、効果的なスライドの作り方について詳しく解説します。