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呪いは…解けるものだよ


桜を見ていると思い出す。

今から10年前の2011年春。
ボーっと桜を見ていた時に思い出した…これは記憶。

相変わらず、いつかは分からないけど、“雅”な時代。

私には年上の親友がいた。
その頃のお話です。

名前は“咲々羅(ささら)”
男性で、舞いの人。
面をつけて舞うが、その面を取った時はそれ以上に美しかった。

咲々羅には主がいる。
私の父もその主に遣えている。
若い私は父に連れられて宴に行く。
そこで舞っていたのが咲々羅であった。

桜の花びらが舞う中…
舞う姿が美しすぎて、口を開けたまま見入っていた。

その後、少し席を離れた時に咲々羅と会う。
面を付けていなかったので誰かは分からず。
しかし、顔立ちも美しかったのでそこでもしばらく見入っていた。

咲々羅が声をかけてきた。

ハッとして、真っ赤になって、天パって。
もちろん、立場上の挨拶だったが。
よく分からないまま立ち去ってしまった。

そしてまた…所用で赴いた際、咲々羅と顔を合わし…また声をかけてくれた。

話を聞いていると、あの宴の日…。

緊張していたのは最初だけ。
舞台からもボケーっと舞いに見入ってしまっていた私の姿が見えていたらしい。恥ずかしい話だ。

咲々羅は片手ほど年が上だった。

それから、一緒に酒を飲むようになった。
私は笛が出来たので、私が笛を吹くと少し酔った咲々羅は舞いを舞ってくれた。
面を付けずに舞う咲々羅は本当に美しかった。

そんな日々が続いた。


咲々羅には好いている娘がいた。

気に入らない主は、新たに屋敷を築く為にその娘を生け贄にした。

湖の上の舞の舞台の下に…娘を沈めた。

その舞台で咲々羅は舞うように言われる。


舞った。

私も見た。

月明かりと炎の中、繊細で儚い…

私は涙が止まらなかった。


夜、咲々羅に呼ばれて行くと、咲々羅は縁側で眠っていた。

側に座り、笛を吹くと…咲々羅は泣いていた。


しばらくして。

咲々羅は宮から出るとことを主に求める。

「許さない」

「出て行くなら…」


咲々羅は覚えのない罪で投獄された。

「撤回するなら忘れよう」

けど、咲々羅は…聞かなかった。


縛られたまま、雪の降る中外へ。

そして、殺された。


その亡骸は…。

二度と生まれ変われないように。
呪いをかけられ、バラバラに。


咲々羅の首を見た。

泣いて転げて、すべてを憎んだ。

何もできない。何一つできない。

自分は何の役にも立たない。

すべてを憎み、そして、何よりも自分を憎んだ。



~~~~~~~~


「その呪いも、もう解ける。」

「呪いは、解けるものだよ。」

思い出すことでそんな言葉を貰いました。

何年も前のやり取りですが、思い出したので記します。


~~~~~~~~~


私は2011年から数年、咲々羅と会話ができた。

よく分からない。頭の中で会話する感じかな?

いつの間にか、咲久羅はどこかへ行ってしまった。

今でも桜を見ると咲々羅を思い出す。




「呪いは…解けるものだよ」




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