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里親委託率の低い東京都。国の方針を無視した目標に愕然! ~その2~
前回に引き続き東京都の里親に対する姿勢などをみていきたいと思います。がタイトルにもあるように、愕然!驚きなのです。
では続きです。
なぜ? 許されるのか? 東京都の低い目標値
実は、東京都は、愛情ある家庭を子どもに保障する政府の義務について、単に実績が悪いだけではなく、東京都の「目標」自体が低いという問題があります。
既に書いた通りですが、2017年の厚生労働省の「社会的養育ビジョン」は、3歳未満の子どもに早急に家庭養育にすること(5年以内に里親委託率75%以上)、また就学前の子どもも乳幼児に次いで迅速に家庭養育とすることが必要であること(7年以内に里親委託率75%以上)、そして学童期以降は概ね10年以内に里親委託率50%以上を目指すと目標を示しました。
しかし、東京都は国の示した目標を無視しています。2020年(令和2年)4月に定めた「東京都社会的養育推進計画」で、東京都は、3歳未満の里親委託率の目標を75%ではなく50.5%と引き下げた上で、達成目標時期も5年後ではなく10年後の令和11年としてしまっています。
3歳から就学前の幼児の里親委託率についても同様で、目標を75%以上ではなく50.5%と引き下げた上で、達成時期の目標も、7年後ではなく10年後の令和11年としています。
学齢の子どもについては、国の示す里親委託率の目標である50%以上を33.6%に引き下げています。
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これでは、今、既に生まれて、生きている子どもたちを無視した政策であり、目標と言わざるを得ません。
目標値が低くかつ遅ければ、実績が悪いのも当然だといえます。東京都に住む乳幼児たちは、悪いガチャを引いているのです。東京都の政策は、すべての子どもに愛情ある温かい家庭で暮らす権利を定めた国連子どもの権利条約に違反した状況と言えるにではないでしょうか。
施設の子どもたち 1/4が家族との交流なし
これまで、子どもを新たに措置する場合に、特に乳幼児について施設ではなく、温かい家庭に措置することが重要であることを述べてきましたが、一旦乳児院や児童養護施設に措置されてしまったらもう仕方がないということであってはなりません。
全国データが示す通り、児童養護施設や乳児院に入所している子どものうち約25%が家族との交流が全くありません。こうした子どもたちから迅速に、里親家庭などの温かい家庭への迅速に移行することも必要です。
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また、今や47.1%、多くの里親家庭が共働きです。施設ではなく里親が育てるためには、里子が必ず保育園に通える制度的な保障も必要です。
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そして、未委託里親の活用は急務です。実際に里子を委託されている里親は登録里親の半分以下です。子どもを育てたいと何年も待っている未委託里親も少なくありません。
そして子どもは、どんな家庭でもいいのではなく、“温かく愛情のある家庭”で育つ権利があるのですから、良質の里親を選び、そして位置づけや支援を改善・充実して、里親養育の質を上げる政策は待ったなしです。
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東京都への政策提案
今年度は社会的教育推進計画の見直しの年。改訂必至!
今年2024年度は、2020年策定の東京都社会的教育推進計画の後半に入る前に、計画の見直し作業行う年になります。
そこで、東京都の乳幼児にも、温かく愛情のある家庭を保障し、特定の大人との愛着の絆を持てるようにするために、社会的養育推進計画見直しでは、以下のようなことを書き加えるべきではないでしょうか?
国の目標に沿った計画への改訂!
3歳未満の子どもの里親委託率75%以上
2027年3月までに(本来は2025年3月までに、
としたいところですがさすがに無理でしょうから)
就学前の子どもの里親委託率75%以上
2027年3月までに
学童期以降の子どもの里親委託率 50%以上
2030年3月までに
国の目標に乳幼児特化ストラテジーの6つのエッセンス
乳幼児(未就学児)の委託先はデフォルトで里親とする
乳幼児を預かれる里親のリストの作成(赤ちゃん里親リクルート)… 現在はどのように把握?
乳幼児緊急里親制度の導入(大分県、山梨県などを参考に)…24時間365日いつでも赤ちゃんを預かれる里親
親との交流のない又は乏しい幼い子どもから、迅速に里親委託(たとえば、1年以内目標など)
乳児院から児童養護施設への措置変更はゼロ
里親は必ず保育所に預かってもらえるように制度改正
子どもが愛情のある温かい家庭で育つことはすべての子どもの権利です。これを実現する事は、法律的には日本政府や東京都などの義務であるとは言え、私たち一般市民の大人もできることを主張し、行なっていくべきではないかと思います。
今回使用しておりますデータの多くは
東京都社会的養育推進計画(令和2年3月)から使用しました。