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漫画で描いたココアを作ってみた話

 これは拙宅の漫画『宇宙人とペット(仮題)』について書いた、内輪でローカルなnoteとなります。とはいえ5話ほど読めば余裕で理解できるので、興味があれば↓から読んでみてください。既に読んでいただいている方はそのままどうぞ。

・漫画のリンク


書き出し

皆様ごきげんよう、citrusです。
以下、作文の効率上、不躾な文章となりますがお許しいただきたく。

 『宇宙人とペット(仮題)』の5話には、「宇宙人が地球人にココアを淹れて渡すシーン」がある。題記の通り、このココアを実際に再現して味見することができたので、ここに残しておく。

(右から読む)


どんなココアなのか?

 「ココアなんていつでもココアやろがい」とお思いかもしれないが、ちょっと事情がある。

 まず、宇宙人・ウェリオライト氏はココアを飲んだことが無い。ウェリオ氏は頭部のタンクから栄養を補給しており、食事を取らない。よって味見も(ほぼ)できないし、"味"という概念自体、ぜんぜん身近ではない。
 それから、ウェリオ氏の宇宙船には牛乳が無い。地球の食料品は備蓄されているが、基本保存食である。牛乳のような生鮮食品は、よっぽどの用事が無い限り取り寄せることはない。(例:twitterで蘇が流行る など) 日持ちのするものに限り、嗜好品もある程度備蓄されている。ペットボトルのジュース、インスタントの珈琲、板チョコレート……といった汎用的な代物は、しっかりとストックがあるだろう。

 さて、これらの前提を踏まえて、5話のウェリオ氏の思考をトレースしてみよう。

 はじまりは真夜中(※1)、宇宙船の警報で目覚めた(※2)ウェリオ氏は、操縦室に地球人・千夏が侵入したことを知る。セキュリティ的には気にならないが、操縦室は窓と機械の都合で寒いので、そこは若干気になる。しかしすぐさま声をかけに行っていいものだろうか? 「監視されている」「警戒されている」と感じるのでは? とはいえ遅くに行っても冷えてしまうし……
 とりあえず、なにか暖かいものを用意しよう。敵意を感じさせない、地球人の喜ぶなにか。こういうとき地球の映画では、ホットミルクか、ココアか……
 ミルクは無い。ココアなら、チョコレートを溶かせば作れそうだ。ようはカカオを溶かした液体だろう(※3)。砂糖はチョコレートに入っているし、コーヒー用の粉末ミルク?があるからそれとチョコレートをお湯で溶けば、ココアになるんじゃないだろうか。
 ……分量がよくわからないな。まあ底が透けなければいいだろう(※3)。うん。これで定義上はココアだ。Wikipediaにもそう書いてある。

(※1) 宇宙に夜は来ないので「眠るべき時間の真っ只中」という意味である
(※2) 夜更かしなので起きていた可能性も高い。無駄に徹夜する大学生みたいな生活してないで、普通に寝た方が良いと思う
(※3) 勝手な決めつけ、希望的観測。こういう所の詰めが甘い

ココアと言い張る宇宙人

――おおよそこんな感じだろう。
はたしてこの「ウェリオ君の当て推量ココア」は美味しいのだろうか?
たぶん水っぽくてあんまり美味しくないんじゃないかな……と思いながら描いていたが、実際に飲んでみないことにはわからないので、今日、作ってみた。


実証:ウェリオ君の当て推量ココア

<材料>
 ・お湯
 ・適当なチョコ
 ・コーヒーミルク(粉末タイプ)

作り方は単純。これらの材料を混ぜるだけである。
地球人感覚での調整や味見はせず、なんとなくでココアっぽい色の液体を作る。当て推量もとい、当て水量である。

思ったよりミニマルな構成

 今回私が用意したのはこちら。コーヒーミルクというものを初めて買ったが、砂糖のないミルクキャンディの様な味がした。製品の分類としては"クリーミングパウダー"というらしい。板チョコは手元に無かったので、個包装の無骨なミルクチョコを使用する。透明な包みものがそれだ。金色の方は生クリームチョコと書かれており、普通のチョコの中にミルクっぽくて柔らかい部分があるチョコのようだ。ココアづくりとしては油っぽくて地雷な気がするが、ウェリオ君は恐らくそこには気付かないので、あえて用意してみた。このチョコ2種類を使って、2杯、何があっても飲み切れる量ずつココアを作ってみる。

1.ミルクチョコレート

かわいそうなミルクチョコ。こんなことのために生まれたわけではない

 ミルクチョコを一粒マグカップに入れて、お湯を注ぐ。湯煎とかテンパリングとかいった概念を踏みにじりながら、スプーンでチョコを溶かしていく。若干溶けにくいが、目を覆いたくなるほど分離するようなことは無かった。コーヒーミルクを入れる前のミルクチョコ水を舐めると、「非常に薄いココア」の味がした。下手なことをせずに、ここに追加で大量のチョコを投入する方がココアに近づく気がする。
 が、そんなことをウェリオ君が知るはずはないので、コーヒーミルクを投入する。目分量。薄っすら色が変わったぐらいで止める。コーヒーミルク君は、本職だけあってするするとお湯に溶ける。

ミルクチョコ+コーヒーミルク+お湯

 これで完成。スプーンで掬ってみると、溶けたと見せかけて水中を舞っているチョコの破片が見える。
 飲んでみると、薄い。ココアではあるが、水っぽくて安っぽい。喫茶店で出されたら二度と頼まないが、駄菓子屋で60円くらいで売られていたら買うかもしれない。さほど抵抗なく飲める味だが、うるさい人は"マズい"と言いそうだ。


2.生クリームチョコレート

いじらしい生クリームチョコレート。もっと他の未来を期待していただろうに……

 2番打者、生クリームチョコレート君。こちらもマグカップに入れてお湯を注ぐ。カップ麺のような処遇に驚きながらも、すっと素直に溶けてくれた。きっと沢山の愛に囲まれて育ってきたのだろう。コーヒーミルクを入れる前の生クリームチョコ水を舐めたが、かなり甘かった。チョコの香りが薄く、この時点でもはやココアではない。しかし、ミルクチョコ水よりは飲み物として完成度が高いように思える。いずれにせよ、盲目的にコーヒーミルクを加える。

生クリームチョコ+コーヒーミルク+お湯

 こちらも完成。スプーンで掬ってみると、やはり細かいチョコの破片が水中を舞っている。そして透明な油の玉も見える。植物油脂だろうか?生クリーム風味を出すための成分が、若干主張をしているらしい。
 飲んでみる。やはりココアではない。甘い。水っぽさはあるが、別の飲み物として90円以下で売られていたら買うかもしれない。喫茶店のメニューにはできない。薄い。浮いている油は気にならない。

 ちょっとコーヒーミルクが多かったかもしれないが、そこの怪しさもレシピのうちである。むしろお湯の量を良心的にしすぎたかもしれない。飲み残しにお湯を足してみる。そう、これだ。この残飯感。飲めはするが、どこか虚しさを感じる。このギャンブル性も含めて、"当て推量ココア"なのだ。

結論

Q.「ウェリオ君の当て推量ココア」は美味しいのか?

A.想定通り水っぽいが、飲むのがつらいほどまずくはない
 
・配分とチョコの種類によりけり
   ・多めにチョコを使わないと水っぽくなる
   ・雑なチョコで作ると雑な味になる
 ・チョコは意外とお湯に溶ける。そんなにダマにはならない
 ・来客時に出せる代物ではない
 ・溶け残るとコップが洗いにくい


あとがき

 以前から気になっていたことを実際に試せてよかったです。物語には全然影響ないですが、描く時のテンションが上がるので。
 ちなみにウェリオ君が作った蘇は、千夏が嫌な顔をしながら食べました。

以上です。



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