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イギリス旅行記① 到着まで
私は少し寂しかった。
パスポート持ってる日本人17%しかいないんだって、とボストンでカレーを食べながらつぶやいた友人の言葉が頭の中をぐるぐるしていた。つまり8割の人は現時点で日本を出ないつもりなんだって。
もちろん私も日本の好きなところは沢山あるし、本当に現状に満足しているのならわざわざ外の世界なんて見なくてもいいと私は思っている。
ただ、なんだか寂しかった。
日本に帰ったら、海外にいた私の日々には蓋をしてしばらく生きることになるのだろうか。
それぞれが今の生活でいっぱいいっぱいで、今みたいに新しいことに目を向ける余裕なんてなくなってしまうのだろうか。
そんなことを一人でぽやぽや考えながら渡英前最後のシャワーを浴びていたら、目に洗顔料が入ってクソ痛かった。
ボストンの空港まで
いつもは1/3くらいの確率で乗れない電車が2連続でout of serviceだったので今日の路面電車ガチャは外れだった。
ボストンの路面電車は迎えに来てくれる恋人と同じで、来てくれることを当たり前だと思わずに乗れることに感謝するくらいがちょうどよい。しかも後ろから乗ればお金を払わないで乗れrおっと誰かが来たようだ。
せっかくイギリスに行くので、電車に揺られながら優雅にメンデルスゾーンの交響曲第3番Scotlandを聴きながら過去の思い出に浸ろうとしたら一楽章序奏のミー!ミー!ミー!のタッチが思ったより強くて、出かけた涙が引っ込んだ。
空港に行く時はいつもワンダーランド行きの電車に乗る。
前の中年カップルはキスをしてからこれからの予定を話し合っていたし、右のカップルは抱きついている。運転手はさっきどっか行った。
今回はどんな不思議の国に連れて行ってくれるんだろうか。
出発
荷物チェックインのお姉さんはゆっくりとイギリス英語を話した。真顔だったが、くしゃみをする時だけ笑顔になったので私も笑顔になった。
空港にグランドピアノがあったから久石譲のSummerの一節を弾いたら、若めのにいちゃんが立ち止まって聴いてくれていた。一瞬目が合った時にニコッと笑いかけてくれた。すてきじゃね?
こういう時に圧倒的音楽の技術かコミュニケーション力か端麗な容姿があればなにかが始まるのかもしれないな、と思ったが、私は現在どれも持ち合わせていないので私のSummerは短くして終わった。
この後食べたスーパーのミニドライバナナは毛虫みたいな味がした。
British Airways
機内に乗ると、客室乗務員さんたちが笑顔でイギリス英語でウェルカムしてくれた。
心なしかお客さんたちも皆高貴な感じがした。
飲み物を頼む時に張り切ってブリティッシュアクセントでCan I have water pleaseと言ったらバリバリのアメリカ英語で返された。なんか悔しい。
2回目は思いっきり舌を巻いて発音した。
全身に模様がついた布を被った隣の女性が、わた(=water)、わた、と通り過ぎたカートを指さして必死に私にアピールしてくるので、仕方ないから眠かったけど彼女のために水をとりに行ってあげた。この女性はさっき狭くなるから座席を倒さないで!と前のお姉さんの席をドンドンと揺らしていて無視されていた。
英語が今よりできなかった時の私も、そういうふうに必死で無愛想に見えていたのかもしれない。私の携帯が落ちそうな位置にあった時にyour phone(携帯気をつけてね)、と教えてくれたので、根は悪い人ではないのだと思う。
つづき: