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パッシブデザインを実践的に学ぼう。

こんにちは。事務局の松尾です。

Forward to 1985 energy lifeでは、パッシブデザインを実践的に学ぶ勉強会を定期的に開催しています。

以前、事務局の服部より、「温熱カレッジ」のカリキュラム紹介がありましたが、今回は、Forward to 1985 energy lifeが行っている住宅建築実務者の方向けの実践的な勉強会として、もうひとつの軸となっている「パッシブデザインワークショップ」についてご紹介します。

「パッシブデザインワークショップ」は、4回のカリキュラムを通じて、”目標となる室温・省エネ性能を達成できる”パッシブデザインの知識と手順を、参加者それぞれの計画図面を基に学べる勉強会です。

テキストは、「パッシブデザイン講義」(野池政宏著・Forward to 1985 energy life発行)を使用。この本は、パッシブデザイン住宅をつくるための具体的な手法を網羅した実務書で、この1冊でパッシブデザインに必要な情報が手に入ります。初版は2014年に発行され2018年に改訂を行ったこちらは、パッシブデザインの手法、手順、効果を定量的にまとめた初めての書籍だったのではないでしょうか。これまで各々が解釈し実行してきたパッシブデザインを定義づけし、定量的な設計手法とフローを確立しているので、パッシブデザインスキルの普及・平準化に大きく役立っています。

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「パッシブデザイン講義」の購入はこちら→ https://pdtf.jp/tool/


「この本を読むだけで理解できるし、実践できる!」という方もいらっしゃるのですが、

・様々な事例と共にかみ砕きながら理解したい
・解説と共に情報を整理して理解を深めたい
・自身の計画で実践したときに正しいのかを確認したい

という方にお勧めなのが、このワークショップです。

さて前置きが長くなりましたが、
次に4回に渡るカリキュラムについて簡単にご紹介します。


第1回:パッシブデザインの全体像と具体を掴む

ここでは、テキスト「パッシブデザイン講義」の内容を解説しながら、パッシブデザインに必要となる知識を身につけます。

パッシブデザインの設計項目は、

①断熱 ②日射遮蔽 ③自然風利用 ④昼光利用 ⑤日射熱利用暖房

の5項目です。
このカリキュラムでは、
それぞれの手法、役割、もたらすメリットを正しく理解できます。

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写真:講義中のスライドより

例えば②の日射遮蔽について。外壁や屋根の断熱性能をアップさせることと、窓の外側に付属部材をつけることとで、どれくらい日射取得量が減らせるのか?ということがわかります。

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写真:講義中のスライドより

パッシブデザイン設計項目③の自然風利用の解説では、様々な手法を知ることができます。講師がテキストの内容を再編して資料をつくり、話をしながら書き込みを加えていくので、わかりやすい!また、日々様々なつくり手さんからのアイディアも仕入れているので、テキストにはない補足情報も得ることができます。

第1回ではこのようにして、この後のカリキュラムでご自身の計画図面をパッシブデザインの視点で見直すための知識を身につけていきます。


第2回:日照シミュレーションを身につける

窓から入る熱量が建物全体から入る熱量の約7割を占めるため、季節や時間に合わせて窓にどのように陽が当たるかは、パッシブデザインで快適性を得るには重要なこと。日照シミュレーションなしでは、”効く”パッシブデザインはできません。

第2回では、日照シミュレーションソフトを使って、敷地や建物の日照検討ができることを目指します。基本操作から実践的な内容まで、参加者の方々のペースに合わせてお伝えしていくので、シミュレーションソフトに触れたことがない方でも、半日の演習で、3Dでモデルを立ち上げ、日照シミュレーションができるようになります。

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写真:演習中の様子

周辺環境が描けると、敷地の日照シミュレーションができます。例えば土地探しのお客様からのご相談に、具体的な日照シミュレーションを基にしたアドバイスをすることで付加価値になったり、根拠のあるゾーニングができるようになったりします。

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写真:演習中の様子

はじめて操作したかたでも、約4時間でこのモデルが描けるようになるので、早速プレゼンテーションにも使えます。

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写真:演習中の様子

開口部への軒・庇が与える日照の影響を示すことができたり、ガレージなど周辺の建築物が与える影響もわかるので、根拠のあるデザインをプレゼンテーションできるようになります。


第3回・4回:いよいよパッシブデザインを実践!

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さて、パッシブデザインに必要な知識を学び、必須スキルとなる日照シミュレーションを身につけ、いよいよ実践!

テキスト「パッシブデザイン講義」では、出戻りのない効率よいパッシブデザイン設計フローを提案しています。このフローに基づいて、各々の計画図面を”パッシブデザイン”の側面から見直していきます。

まずは、室温と年間暖冷房負荷(※)の目標から、目指す断熱性能を求め、その値を達成するための断熱仕様や窓の大きさ・配置の検討を実施。
断熱性能から逆算していくので、
「基本設計後に断熱性能を計算したら、思っていた値よりも悪くなってしまった!」という出戻りが回避できます。

また、外皮計算では窓の方位に言及しませんが、実際は方位による窓配置(大きさ・場所含む)によって室内温度が変わります。
例えば、太陽熱で温めたいお部屋の広さに対して、十分な南側の窓面積を確保することで、省エネかつ暖かい室内空間が出来上がります。
その手順を踏んだ建物と、そうでない建物とでは、同じ断熱性能でも室温と省エネ性能が変わってくるのです。

※パッシブデザインは建物への設計行為なので、エネルギー消費量ではなく年間暖冷房負荷を目標としています。

第3回・4回を通じて
ご自身が計画した建物は、

・パッシブデザインの側面から見ると十分な効果が得られるのか?

・不十分であれば、具体的にどこをどれくらい修正すればよいのか?

が、その場でわかります。

この手順を踏むと、次からずいぶん安定したパッシブデザインの計画ができるはず。現在計画中の図面を題材にあげ、パッシブデザインチェックと修正を行ったあとで、お客様に提案されるかたもみえます。

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写真:フローに基づき図面を見直しているところ
(現在はオンラインで実施しております。)


最後に。

Forward to 1985 energy lifeは、家庭のエネルギー消費量を減らすことを目的とした運動団体です。エネルギー消費量を減らすために、まず、建物と自然エネルギーを活かして、エネルギーを使わず快適性をつくりたい。そのうえで、効率のよい設備で足りない分を補う順番が好ましいと考えています。
そうした時に、パッシブデザインの設計力のあるつくり手が増えることは、私たちの目標達成に大きく繋がります。そのため、パッシブデザインワークショップは、外皮計算や設備の選定のシミュレーションなどを行う温熱カレッジと併せて、ぜひとも参加していただきたい重要な講座です。

2021年に省エネ性能説明義務制度が始まりました。2025年には適合義務制度が始まろうとしており、つくり手は、住宅における省エネ性能の正しい理解はもちろんのこと、基準以上の性能が必要とされるようになります。適応できるつくり手のレベルは必然的に高くなり、省エネ性能の「性能値」だけでは差別化ができません。

どの組みあわせをもって、省エネ性能を高めるのか。
省エネ性能を高めるために、なぜその断熱性能にしたのか。

省エネ性能への理解だけでなく、会社としてのアイデンティティを求められるようになります。

これをお読みいただいているつくり手の皆様には、パッシブデザインを活かした、省エネルギーで快適な住まいづくりにぜひ取り組んでいただきたいと考えています。このワークショップで共に学び、スキルアップしていきましょう。


Forward to 1985 energy life 勉強会・イベント情報:https://to1985.net/event/





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