温熱カレッジ全カリキュラム紹介
こんにちは。事務局の服部です。
今日はForward to 1985 energy lifeが行っている住宅建築実務者の方向けセミナーで、もっとも実践的な内容の『温熱カレッジ』についてご紹介します!
2021年は省エネ性能説明義務制度が始まりましたが、2025年には適合義務制度が始まろうとしています(※1)。
・これからの省エネの時代に向けて、まずは外皮性能計算の内容を理解したい
・UAやηACという数値では建主に伝わらないので、「℃」や「円」で説明できるようになりたい
・住宅のエネルギーに関する確かな知識を得たい
という方は是非参考にされてください!
※1 脱炭素に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方(案)で住宅の省エネ基準適合義務化が2025年開始と明示されました
第1回 温熱・省エネ・パッシブデザインの必須理解力を身につける
まずは外皮性能計算を行う前に、熱移動の基本原理を学んで頂きます。計算の中で頻繁に出てくる「W(ワット)」「J(ジュール)」の意味から、UA値、ηAC値の算出方法の基礎をお伝えします。冬に建物から逃げる熱や、夏に入ってくる熱を「W」で理解できれば、「℃」や「円」に置き換えて建主に性能を説明することができますよ!
上記は実際の講義資料から抜粋したものです。
なんだか難しそうに思えますが、この講義を聞けばすぐにでも建主に説明できるようになります!
第2・3回 H28年省エネ基準の外皮性能計算をやっつける
基礎知識を得て頂いたら、次は図面に基づいて計算演習を行います。実際に手を動かして、建物1棟の外皮性能を計算します。温熱カレッジでは『Energy ZOO』というソフトを使用して演習を行います。
Energy ZOOの入力画面
慣れると30分~1時間程度で外皮性能が出せるので、これまで外注に出していた方も自社で計算することを検討してはいかがでしょうか。
外注でお願いしていると、設計内容の変更があった時に手間がかかったり、"実際値"が出せないというデメリットがありますよね。"申請用"では見ることができない、だけど実際は効果が大きい、換気方式による違いや、カーテン等の効果も、"実際値"を出せば建主に説明することができます。
第4回 暖冷房計画と結露
建主手配で設置されることの多いエアコン、実はあの帖数表示は無断熱住宅を想定したものだということをご存知ですか?
建主が「この部屋は10帖だから10帖用を買えばいいか」と選んでしまうと、ほとんどの場合オーバースペックになってしまいます。街では街乗り用、レースではレーシングカーを使うように、エアコンもしっかりその建物、部屋の性能に合わせて選ぶ必要があります。
エアコンは車と同じでトロトロ運転が苦手です。車に例えると、渋滞に巻き込まれてトロトロ運転になっているときは燃費が悪くなりますよね。
適切な容量のエアコンを選ぶ、適切な運転をさせる、そうすればエネルギー消費量が減り、光熱費が抑えられるのはもちろん、設置コストや、買い替えの際の購入費も抑えることができます。ここはしっかりプロとして計算し、アドバイスできるようになりましょう!
結露判定は、計算(入力)はごく簡単ですが、そのロジックの理解が難しいですよね。温熱カレッジではただ計算するだけではなく、そのロジックを理解していただくことに主眼を置いています。
第5回 蓄熱と室温シミュレーション
近年『パッシブデザイン』が注目され、建築士の試験でもパッシブデザインを導入した設計が出題されることがあります。このパッシブデザイン、ただ間取りや部材をプランに落とし込むだけではなく、その効果を定量的に判断することが不可欠です。
パッシブデザインを取り入れたプランと、そうでないプランを比較するためには、その空間が何℃になるのか、温度で評価する必要があります。
この回では、第2回・第3回で計算した外皮性能計算をもとに、その建物が何℃になるのかをシミュレーションします。
また、パッシブデザイン手法の一つである「日射熱利用暖房」に関わる「熱容量計算」も行い、それが室温にどのように影響するかを学びます。
第6回 一次エネルギー消費量算定プログラムを使っての光熱費シミュレーション
省エネ基準は「外皮性能計算」と「エネルギー消費性能計算」の2つがセットになっています。「外皮性能計算」では躯体や窓の性能を評価しますが、「エネルギー消費性能計算」では設備について評価します。
建築実務者の方でも、まだエネルギー消費性能計算プログラムは使ったことがない、使ったことはあるけど詳細な入力方法は知らないという方も多いようです。
実際の入力は難しくありません。温熱カレッジではすべての項目について、どのように情報を集め、入力するかを解説します。
簡易な入力と、詳細に入力した結果には大きな開きがあります。詳細な入力ができるようになれば、実際のエネルギー消費量に近い値を算出することができ、結果、そこから導き出される光熱費もリアルなものになります。
建築研究所 エネルギー消費性能計算プログラム入力画面
さいごに
「mm」や「㎡」、「円」を相手にしていた建築実務者の方にとって、「W」や「J」は少しハードルが高く感じるかもしれません。でも、実際手を動かしてその基本原理を学んでしまえば、設計力も高まり、結果建主に分かりやすい説明やプレゼンができるようになります。
これからの時代、エネルギーを語れることは最低限のスキルになります。今のうちから基礎知識を身につけて、「小さなエネルギーで豊かに暮らせる住まい」を実現してください。