経済指標とは
経済指標とは、政府機関や中央銀行、研究機関などが発表する、経済の状態や企業や家庭の活動状況を示す数字やデータのことです。
発表前に予想されたデータと実際に発表されたデータを照らし合わせて、
多くの投資家やトレーダーたちが、取引をするので、発表後は特に相場が、
大きく変動する可能性があります。
FXをする上で、避けては通れない重要な情報となるので、
特に重要な指標を対応通貨別にご紹介いたします!
アメリカ(USD)で重要な経済指標
雇用統計
非農業部門雇用者数変化
米国の雇用統計は、毎月第1金曜日に労働省から発表されます。
この統計の中核をなすのが「非農業部門雇用者数の前月比変化」です。
新規に雇用された労働者数が増えれば、個人消費も増える可能性が高まります。個人消費は米国経済を支える主要な原動力なので、この指標はFX市場に大きな影響を与えます。
予想を上回る雇用者数の増加は、経済が好調に拡大していることを示唆します。その場合、需要インフレ圧力が高まり、FRBは金融引き締め的な政策姿勢を取る公算が大きくなります。したがって、米ドル高が見込まれます。逆に予想を下回れば、景気減速の可能性が高まり、米ドル売り材料となる可能性があります。
失業率
雇用統計の中で発表される失業率も、極めて重要な指標です。
米国の就業可能人口に占める失業者の割合を示すこの数値が低下すれば、経済の好況が継続していることを意味します。逆に失業率が上昇すれば、不況入りのリスクが高まります。
一般的に、失業率が4%を下回ると完全雇用状態にあると見なされます。過度な人手不足は賃金上昇を招き、インフレ圧力が高まるためです。
FRBはこうした状況を警戒し、利上げパス路線に傾きやすくなります。
ADP雇用統計
民間雇用者数の変化
自動データ処理サービス機関ADPが毎月発表する雇用統計は、民間企業の新規雇用動向を速報で示す指標として注目されています。政府の雇用統計に2日先立って発表されるためプレビュー的な位置づけにあり、市場の過度な反応は避けるべきですが、動向を先取りできる点で価値があります。
ADPの雇用者数増減と、翌々日に発表される政府統計の内容が大きくかけ離れた場合、為替相場は調整される可能性があります。
ただし、ADP統計の方が企業の実態に即しているケースも少なくありません。そうした際は政府統計に修正が加えられ、再び市場は振れ回ることになります。
新規失業保険申請件数
週次の新規申請件数
米労働省が毎週木曜日に発表するこの指標は、失業の最新動向をいち早く把握できる指標として、FX市場で高い注目を集めています。前週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)を示すこの統計は、雇用情勢の現状に一番近い数字とも言えます。
申請件数が増えれば、企業の人員削減が進んでいる可能性が高まります。大幅な件数の増加が続けば、景気後退のリスクを反映して、通常は米ドル売り材料と解釈されます。逆に減少が続けば、雇用環境の改善が期待できるため、ドル高要因にもなり得ます。
ただし、この統計は週次で発表されるため、一時的な変動は避けられません。そのため、単発の結果だけでなく、トレンドを意識することが重要です。
また、他の雇用統計と方向性が異なる場合もあり、総合的に判断する必要があります。
消費者物価指数(CPI)
コア CPIとヘッドライン CPI
米労働省が毎月中旬に発表するCPIは、消費者が実際に支払う価格の変動を測る指標です。FX市場では、インフレ率の重要な尺度として熱い注目を浴びています。CPIにはコアCPIとヘッドラインCPIの2種類があり、それぞれ大きな意味合いが異なります。
ヘッドラインCPIはエネルギーと食品価格を含む総合CPI指数です。一方、コアCPIはエネルギーと食品を除いた指数であり、より基礎的なインフレ動向を示す指標と位置付けられています。
市場はコアCPIの方により注目しますが、ヘッドラインCPIも重要性を無視できません。なぜなら、エネルギーや食料価格の値上がりは、コア指数にも遅れて反映されるためです。つまり、ヘッドラインCPIの大幅な上昇は、将来のコアCPI上振れを示唆しているわけです。
また、CPIが市場予想を上回れば、FRBの利上げ期待が高まるため通常は米ドル買い材料と解釈されます。逆に予想を下回れば、ドル売り向きになると考えられています。
国内総生産(GDP)
実質GDP成長率
米商務省が四半期ごとに発表するGDPは、国内で生産されたすべての最終財・サービスの付加価値額の合計値です。実質GDP成長率は、インフレ調整済みの実質ベースでGDPがどれだけ拡大・縮小したかを示す最も重要な景気指標と言えます。
プラスの成長率は景気拡大を意味し、マイナスの成長率は景気後退の可能性を示唆します。市場予想と乖離が大きければ大きいほど、為替相場の変動は大きくなる傾向にあります。
成長率が市場予想を上回れば、経済が力強い拡大を続けていることを示すため、通常は米ドル高要因となります。その場合、金融引き締めを継続する必要性が高まるためです。反対に市場予想を下回れば、景気減速を意味するため、金融緩和期待からドル売り材料となる可能性があります。
ただし、一時的な変動か、足元の成長トレンドかを見極めることが重要です。単発の数値だけで判断を下すと、誤った見方をしてしまう恐れがあるためです。
続けてISM製造業景況指数とFOMCについて解説します。
ISM製造業景況指数
PMI指数
供給管理協会(ISM)が毎月発表するこの指標は、米国の製造業の活動水準を把握するための重要な指標と位置付けられています。新規受注、生産、雇用、納期などのサブ指標を含む総合的なPMI(購買担当者景況指数)が公表されます。
PMIが50を上回れば、製造業活動が前月比で拡大していることを意味します。逆に50を下回ると活動が収縮していることになります。特に新規受注と雇用の動きは、将来の生産活動を占う上で重視されます。
製造業は米国経済を牽引する主要な産業分野なので、PMIの内容は景気の行方を示す重要な情報源と言えます。PMIが市場予想を上回れば、経済が力強い拡大軌道にあることを示唆するため、通常はドル高要因と解釈されます。一方、予想を下回れば景気減速を意味し、ドル売り材料となる可能性があります。
FOMC
政策金利の変更
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の実質的な決定機関であるFOMC(連邦公開市場委員会)は、年8回の定例会合で討議を行い、重要な政策判断を示します。なかでも、政策金利の引き上げ・引き下げ、そして据え置きの決定は最も重要な関心事です。
金利引き上げ決定は、通常はインフレ抑制を意図するためドル高要因と解釈されますが、事前の市場予想との整合性が最も重要になります。予想以上の利上げ幅や、早期の利上げ開始時期が織り込まれた場合、ドル買いが優勢になると考えられています。
反対に、利下げや据え置きの決定は金融緩和的な側面が強いため、基本的にはドル売り材料ですが、こちらも事前の市場期待との比較が重要となります。
また、FOMCステートメントに盛り込まれる経済や金融情勢の見通し表現の読み解きも、為替市場の動向を占う上で欠かせません。
ユーロ圏で重要な経済指標
ユーロ圏失業率
失業率は、景気の行方を占う重要な指標です。
失業率が低下すれば、雇用環境が改善し個人消費が下支えされるため、ユーロ高期待が高まります。
さらに、インフレ期待から欧州中央銀行(ECB)による金融引き締め観測が強まり、ユーロ買い需要がプラスに働きます。
一方、失業率が上昇すれば、個人消費の落ち込みで景気後退が懸念されユーロ売り圧力となります。
また、インフレ懸念の和らぎから、ECBの金融緩和観測が高まることでユーロ安要因ともなります。
消費者物価指数(HICP)
物価動向を示すインフレ率(HICP)の動きも重要です。
インフレ率が上昇すれば、通貨の購買力低下からユーロ売り需給が強まりユーロ安傾向になります。
しかし同時に、ECBの金融引き締め観測の高まりからユーロ高期待も生まれます。
逆にインフレ率が低下すれば、物価安定でユーロの信認が高まりユーロ買い需要が働きます。
ただし、低インフレが続けばECBの金融緩和観測が意識され、一時的にユーロ安の要因となるリスクもあります。
ECB(欧州中央銀行)
ECBの金融政策スタンスの変化は、ユーロレートに直接的な影響があります。
ECBが金融引き締め姿勢を強めれば、政策金利の引き上げ観測から金利差でユーロ買い需給が増え、ユーロ高期待が高まります。
逆に金融緩和姿勢が強まれば、政策金利の引き下げ観測から金利差によりユーロ売り需給に回り、ユーロ安となる公算が高くなります。
ECBの経済見通しや金融政策の判断は常にFX市場で注目されており、特に理事会の決定は重視されます。
政策スタンスの転換期にはユーロレートの大きな変動も予想されます。
このように、ユーロ圏の主要経済指標は様々な経路でユーロの為替レートに影響を与えます。
FXトレーダーは指標の動向を無視できません。経済指標をしっかり分析し、ユーロ売買のタイミングを的確に捉えることが重要となるでしょう。
まとめ
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