オヤジギャルがオヤジを叱る
小学校の同級生男子が経営する貿易会社の中に、○○文庫と称する個人出版部門がある。
彼が書いた論文などを書籍として出版するためだという。
ここは幼なじみの強みを生かし
「なになに!出版してんの?じゃあさ!私も還暦に本出すからそっから出してよ!」
と持ち前の前向きな図々しさで頼んだのがおよそ10年前の同級会。
「『WAKUWAKU伝説』!ノンフィクションだから。オール手書きすっから!」と声高らかに宣伝してみた。
「おー!いいねえ!絶対面白いじゃん!是非是非!」と快諾してもらった。
半分本気で半分冗談だったのが、あと8年足らずでその日が来るでは無いか!とさっき思った。
あれ、note書いてるじゃん。これ、纏めてったら本になるんじゃね?ちょうど8年後くらいには1冊になるくらいになってるんじゃね?
私ぐらいになるとシリーズ(電車編)
まだまだ勧誘系でスカッとジャパン系の話は尽きないけれど、今回は別のお話を。
かれこれ26年前。ちょうど今の半分の歳頃の独身▪一人暮らしのオヤジギャル時代。
3店舗目の美容室はオープニングスタッフとして入り、かなり大繁盛していた。
大繁盛と言えば聞こえはいいが、スタッフは早番▪中番▪遅番としながらも、その時間にあがれる事はほとんどない。独身は遅番で、っていうルールがあり、私はほぼ遅番だった。10人のスタッフが順番に昼食。私は18:30(夕食やん)。休憩なし。全員クタクタだった。
仕事帰りの電車で
冬のある日、クタクタの体で、更にオーナーとのやり取りでムカッときたんだったか(忘れたけど)虫の居所が悪い日だった。
仕事が終わったのが21:00。駅まで同僚に送ってもらい、駅前のパチンコ屋にちょこっと顔を出す。かるーく打って、コンビニで黒ラベルとツマミを買う。
最終の23:25の電車に乗り込んだ。
2人がけの、席が向かい合わせの形(4人1組みたいな形)の古い車両。
最終便で、土曜日だったので混むことは間違いない。
始発駅のため、早めに乗って窓側に座っていた。すると向かい側に50歳くらいと思われるおっちゃんが座った。
このおっちゃん、2人がけの席のど真ん中に座り、香典返しと思われる袋を席に置きドカンとひとりで座った。ビールを飲みながら。
「はっ?」と思ったけど、まだ言うタイミングではない、と様子を伺う。
今はまだ座る場所が空いている。まだだ、WAKU。
発車時刻が迫ってくると、どんどん乗客が増えてくる。そろそろ行きますか。
「あの、席寄ってください。ここ2人がけなんで」と、控えめに。
「はぁ?別にいいだろ」はい、カチーン!
「混んできたので。ここひとり座れるんで」
おっちゃん当たりを見回し
「混んでないだろ、、、」と小さめの声
「混んでますよ。立ってる人いるでしょ。荷物も膝の上か棚に。」
自分の娘くらいの女に言われてムカついているだろう顔をしていたが、普段は電車に乗らないおっちゃんにマナーを教えていただけだ。
わたしの隣に座ってきた同世代と見られる若い女性は、私と同じ匂いがした。スンッとした顔でいたけれどしっかり聞いているのがわかった。
おっちゃんは渋々窓側に寄り、私の前に座った。香典返しは膝の上に。ここまではよろしい。よく出来ました。
ところが。残念なことに、傘も持っていた。
冬は当たり前のように雪が降るので傘は必須。おっちゃんは傘を隣の席側に斜めにして置いていた。
おっちゃんの隣に座ったのもまた、私と同世代であろう若い女性だったが、こちらは私とは違う匂いがする。
可愛らしい服装で、おっちゃんの傘を避けて端っこに、足を横に出して座っている。
「傘!邪魔ですよ」と教えてあげたら
「邪魔じゃないだろう」とおっちゃん。あ〜、残念。WAKUちゃん怒らせちゃった。
「邪魔でしょ。隣の人、横向いて座ってんだから。寄せて。」はい、冷静なタメ口。声を荒らげるよりも怖い。
グーの音も出ず大人しく傘を寄せるおっちゃん。よく出来ました。
おっちゃん、この4人の中で一番最初の駅で降りた。席を立つ時に「すいません、すいません」とペコペコしながら降りていった。
だって、私の隣のスンッてお姉さん、おっちゃんが降りる時、足退けてあげないんだもんwww
このおっちゃん、きっと家族から相手にされてないんだろうなぁ。それで会社とかで部下や女子に対して威張って、上司にはペコンリコなんだろうなぁ。可哀想に。
と勝手にこのおっちゃんの生活を想像しながら一人暮らしのアパートに帰宅。
翌日は休み。
さて、ビールを飲みながら『テレビデオ』で録画したドラマをゆっくり見よう。とツマミを開けた。
コンビニのツマミと黒ラベルが入った袋を片手に電車に乗っている私の事を、スンッのお姉さんは「そりゃあんた、彼氏できねーわ」と思ったかもしれない(笑)
武勇伝武勇伝。ぶゆうデンデンデデンデンデデン、レッツゴー!