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【30DSC】#1 曲名に色の名前がついた好きな曲

Green Eyes / Arlo Parks




10代にしてデビューを果たしたArlo Parksの1作品目のアルバムです。海外ではBillie Eilishがラジオで紹介したことで話題になりました。

リリース時、このアルバムの完成度の高さに多くの音楽ファンがざわつきましたね。個人的にはThe Internet好きには必ず刺さる作品だと思います。

さてそんなアルバムの中のGreen Eyesという曲、私がこちらを好きな理由はなんと言ってもストーリー性です!

Arlo Parksはアルバムについて下記のように語っています。

「デビュー・アルバムは、私の思春期とそれを形作った人々を取り巻く一連のヴィネットで、個人的なポートレイトなの。」

この言葉から、どの曲も自身の実体験に基づいたものであることが分かります。

私はこの曲を「肌の色が違う女性同士が付き合った2ヶ月間の物語」だと捉えました。

今回はこちらの歌詞の和訳、そしてMVの考察をしながらご紹介していきたいと思います。

Arlo Parksをご存知でない方も興味を持っていただけると嬉しいです。


そして今回の考察にあたり、英語と文学と哲学に精通した私の親友ばっつが訳をしてくれました。ありがとう!!

ばっつと私は映画の趣味がとても近いですね〜。
特に彼はノーラン信者で、私も大好きなインセプションやダークナイト、テネットに関連した記事も書いてます。よろしければ覗いてください。




【1.主要人物と設定】

【主人公】Arlo Parks
・歌っている女性本人
・black
・Kaiaという女の子と恋に落ちる
・が、Kaiaが様々な葛藤に耐えきれなくなり、交際2ヶ月で終わりを迎える
【ヒロイン】Kaia
・女性
・white
・主人公Arlo Parksと恋に落ちる
・Arloとの2か月の交際の末別れる
【他】Kaiaの両親
 ・二人の恋愛を良く思っていない

以上です。



【2.物語概要】

大まかな設定と起承転結を5つに分けてお話しします。

①主人公Arloはバイセクシュアル

本曲Green Eyesが収録されているアルバムは以下のように解説されております。

17才になるまでに彼女は自分の頭を剃り、バイセクシャルであることを理解し、アルバムの為の素材を作り始めていた。

以上よりArloはバイセクシュアルであることがわかります。

②これは女性同士の恋愛の話

この曲は【ArloとKaia、二人の女性の恋の話】です。
なぜかというと…まずは歌い出しの歌詞をどうぞ。

Paintin’ Kaia’s bedroom, think she wanted green

いきなり登場するKaiaという人物、こちらがArloともう一人の主人公になるわけですが
Kaiaにsheが使われていることから、Kaiaは女性であるということが分かります。

またArloと一緒に写る相手(=Kaia)の距離感から、二人は恋人同士であることがなんとなく伺えます。


③更に2人は肌の色が違う

MVよりArloはBlack、Kaiaはwhiteであることな分かります。
また歌詞の随所からも見当がつがきます。詳しくはまた後ほど。


④なぜ2人の関係は2ヶ月で終わりを迎えた? 

こちらはサビの歌詞から予測することができます。

Of course I know why we lasted two months
もちろん私たちが2ヶ月しか続かなかったのは当然のこと

※last:「続く」。edが付いて過去形になっているので「続いていた」、つまりすでに終わっているということが分かります。

⑤よってこの曲は「肌の色が違う女性同士が付き合った2ヶ月間の物語」


違うでしょと思われる方、すみません。


次の目次ではこれらの根拠となる歌詞とMVを深掘りしていきます💃




【3.歌詞和訳と解説とMVに基づいた妄想】


まずはMVをご覧ください。

冒頭のシーンは超伏線です

緑の中一人ベンチに座るArlo...暇なのかな...?

彼女の目線の先には

何これ

最初は理解できませんでしたが最後までご覧いただくとわかるようになっているので、頭の片隅に置いておいてください。


Arloの回想シーン

ここで場面は暗転し、暗闇の中ベンチに座るArloが浮かび上がります。
この暗転以降は回想シーンが始まりますので
暗闇はArloの頭の中の世界=非現実世界と思って良いでしょう。

続いて歌詞を見てみましょう。

Summer in my eyelids, eatin’ rice and beans
瞼に映る一夏の景色 ライス&ビーンズ

瞼の裏に一夏を思い浮かべるArlo過去を回想していることが分かります。別れた後って楽しかった思い出とか思い出しちゃうよね〜分かる。

Paintin’ Kaia’s bedroom, think she wanted green
花が添えられたKaia(女性)のベッドルームが映し出される

But the weather puts you on my mind
私の心はあなたに支配されていく

Dragonfruit and peaches in the wine
ワインに揺れるドラゴンフルーツとピーチ

Kissin’ circles underneath your eyes
あなたの頬のほくろ(そばかす)にキスしたの

情景描写がなんともリアルで、Kaiaへの想いが生々しく伝わってくる気がします。

次に曲のタイトルについて考察します。


タイトル「Green Eyes」の由来はズバリ

この寝室にいるとKaiaの目が緑色に見えたから。(部屋の緑が彼女の目に反射して映り込んだため)

think she wanted greenの一文から、寝室に緑がある事が分かります。その為、二人がこの部屋(※寝室。エッチだ)で過ごした時の彼女の目はGreen Eyes
単純にKaiaの目の色が緑だったから。

⇛Blackで緑の目の方ってあまりいないですね。この曲自体、人種の違いが原因で葛藤する話ですので、(自分の目の色と異なる)彼女のGreen Eyes をタイトルにしたってワケ
※海外の方はよく目や髪の色を褒めて口説きますよね。目や髪の色に多様性があるので、外見はその人の個性を作る一つの要素です。あとなんとなく洋楽にはGreen Eyesというフレーズがよく使われている気がします。

このどちらかではないかと筆者は思います。
続いて次の歌詞へ参ります。サビです。

Of course I know why we lasted two months
もちろん私たちが2ヶ月しか続かなかったのは当然のこと

Could not hold my hand in public
人前で手は繋げなかったし

Felt their eyes judgin’ our love and beggin’ for blood
公衆の目は私達の愛を確かめ、血の在り処を求めてきた

I could never blame you darlin’ (Oh, oh, oh, oh)
私は一度もあなたを責めたことなんてないのにね

ここで二人が付き合っていたことと、生まれた国が違うということが明らかになりました。


男女のカップルに囲まれ、ベンチに一人ポツンと座るArlo。
この構図が、Arloはセクシャルマイノリティであることを象徴しているように思えました。


Some of these folks wanna make you cry
この街はあなたを傷つけたがるの
※罵詈雑言を浴びせられてた

But you gotta trust how you feel insi-i-i-ide And shi-i-ine, and shi-i-i-ne, yeah, yeah, yeah 
でもあなたは自分の本心を信じ続けてなきゃ
そして輝くの

ハーひどい話ではありませんか!!!😭

別に誰と付き合おうが自由ですやん…。

Kaiaはきっと、肌の色の違う女性Arloと付き合っていることが理由で周りから嫌がらせを受けていたのだと思われます。

Arloは「そんなやつらのことは無視しよう、大事なのは周りがどう思うかじゃなくてあなたが私を思う気持ちでしょう」と彼女を励ましていたのでしょうか。

破れた写真。二人の時間が過去であると伺えます。


重たい雰囲気の二人。別れ話でしょうか。


I wish that your parents had been kinder to you
ご両親のあなたへの態度が(私と付き合っていた頃よりは)優しくなってるといいな

made you hate what you were out of habit
彼らはあなたを憎んでは、気持ちを踏みにじったの

Remember when they caught us makin' out after school
放課後いちゃつく私たちを咎めに来た時のことを思い出して

Your dad said he'd felt like he lost you
お父さんはあなたにひどい言葉を投げかけた



はいうるせー!!!!!!

柔軟性無!!!!!!何????あなたたちみたいな団塊世代が凝り固まった常識を押し付けるから私たちは🖕な気持ちなの!!!!!!サビ残業を押し付けてくる上司ですか??????この恋愛が誰に迷惑だっていうの??????? 好きにさせてよ!!!!!!!!!!クソっ!!!!!!!!!!!



とはいえ、この恋があった当時はマイノリティな恋愛への理解がまだまだ浅かったのでしょう。

差別や風当たりに若い二人が耐えられるのか、親としては心配していた気持ちがあるのかもしれません。


Arloの左手を握っている白い手はもちろんKaiaでしょう。

少しづつその手は離れていきます。

そして最後に私の大好きなMVのラストシーンです。


こちらにご注目。

四角い窓のようなものから原っぱとベンチと人影が見えます




はい!
この景色は…


※冒頭シーンより
※冒頭シーンより



あのときの謎四角からKaiaを眺めているではありませんか!!!!!


ここでようやく最初のシーンの謎が解けました。
※伏線回収フェチの私大歓喜

冒頭では、森の中(現実)→暗闇のベンチ(回想)へと急に場面が変わりました。

このシーンのArloは、暗闇の中→森の方を眺めています。
つまり、Arloは非現実世界側から現実世界を眺めていることが分かります。

向こう側に広がるKaiaのいる世界線が、今まさにこの瞬間の現実世界なのか、過去の思い出なのか、Arloの生み出した妄想に過ぎないのか。
真相は謎です。考察好きの血が騒ぎます。

〜ちなみに〜
私は黒枠の向こう側に見えているKaiaは幻ではないか、、と思います。

そもそもこの曲はArloの回想から始まったので、本人はこちら(黒枠)の世界が妄想であることを自覚しています。つまりこちら側にKaiaがいたとしても、それは偽物のKaiaということ。

Arloが求めたのは妄想世界の幻のKaiaではく、現実世界の本物のKaia。
しかしもう二度と会うことはないと分かっているため、せめて妄想の中だけでも「現実世界のKaia」を見たかったのです。
Kaiaに歩み寄ろうとするArlo。



しかしArloが四角の外へ出ることはなく、場面は元の妄想の世界へと戻ります。

あのまま外に飛び出て彼女の元へ向かえたらどんなに良かったか。切ないです。



そしてラストシーンへ。

Arloにカメラが寄ります
ふと視線を上げる彼女



彼女が目線を上げた先に映ったのは


Arloのその視線の先には…




あーーーーんKaiaaaaaaaああああああ!!!!しかも視点が主観なのがいい…。

このやけにリアルな横顔が無音で数秒映し出された後、MVはプツリと途絶えます。





なんでしょうこのやるせない気持ちは…。

周りからの批判というどうしようもない現実を突き詰められた二人。

2ヶ月で終わりを迎えてしまったこの恋。短い期間でも燃え上がった鯉。
にも関わらず周りの大人たちの無配慮により二人は引き裂かれてしまいます。
性別と肌が違ったら恋愛しちゃいけないなんて、誰が決めたのでしょう…。

ちなみに最後の別れですが、私はKaiaが耐えきれなくなってArloに別れを告げた」と思います。
MVに映るKaiaの手が自ら離れていく様子や、別れ話?シーンの無機質な表情などからそう感じました。

KaiaがArloを愛していたのは事実ですが、両親からひどく叱られたり、他人から差別的な目で見られることはとても耐え難いこと。

はじめのうちはArloの「自分の気持ちを信じて」という言葉に励まされていたけれど、日々つらさは増していき、フラストレーションが溜まり、やがてすれ違ってしまったのではないでしょうか。



おわりに

Green Eyes意外にも、アルバムの1曲1曲に個性的なキャラクターが登場します。ぜひストーリーを想像しながら聴いてみてください。そしてそれぞれの強烈なフレーズにも耳を傾けてください。なんとも言えない気持ちになるはずです。私はなりました。曲聴き終わる度に映画一本観たんかってくらい感情ブン回されました。

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