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外反母趾の最新知見と治療選択
はじめに
このnoteは、誰にでもお役に立てるわけではありません。
ですが、以下に一つでも当てはまるセラピストの方は、読んでみてください。
✅外反母趾について基礎から学びたい
✅外反母趾に関する最新の知見(2024年現在)を学びたい
✅外反母趾に対する治療選択を学びたい
✅外反母趾に対するリハビリを学びたい
臨床力を高めるいちきっかけとなれば幸いです。
Rui
自己紹介
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外反母趾の歴史
外反母趾(hallux valgus)は、1871年ドイツの外科医Hueter Cによって考え出されたラテン語であり、母趾中足趾節(母趾MTP)関節にて母趾が外側偏位した状態と定義されています¹⁾²⁾(図1)。
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図1 外反母趾
1951年、解剖学科のHardyとClaphamの報告は外反母趾のX線学的研究の中で最も有名な古典的論文¹⁾とされています。その報告では、今日、国際的にも広く用いられている外反母趾角(degree of hallux valgus)、中足骨間角または第1-第2中足骨間角(first intermetatarsal angle)および種子骨偏位(sesamoid displace-ment)の計測法が考案されています。
1954年、解剖学科のHainesと整形外科のMcDougalは、外反母趾における母趾MTP関節では母趾は外側に転位し、骨頭に対して一般に回内位にあり、母趾とともに種子骨も転位して内側の靱帯は伸長している¹⁾⁴⁾と述べています(図2)。
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図2 外反母趾における背側の靱帯
4)より画像引用
1950年頃まで行われていた第1中足骨骨切り術は、1950年以降、遠位軟部組織処置を併用した術式に取って替わり、外反母趾矯正術として単独で用いられることはほとんどなくなった¹⁾とされています。術術式は200種類以上ある⁵⁾と言われています。
2000年代以降は、さまざまな領域で新たな機器や機材の開発が進み、それに伴って外反母趾の基礎および臨床的研究も急速に進み論文も年々増え続けています¹⁾。
外反母趾の疫学
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外反母趾の有病率は一般に非常に高い⁵⁾⁶⁾と言われています。
2010年のシステマティックレビュー⁷⁾(2009年までの50 万人が含まれる76の研究データ)では、発生率は年齢とともに増加し、その推定値は18~65 歳で23%、65 歳以上で35.7%、全体では男性は13%、女性は30%であり、女性で有病率が有意に高かったと報告されています。
2010年以降では、米国⁸⁾、中国⁹⁾、スペイン¹⁰⁾や日本国内における地域住民に対する調査¹¹⁾¹²⁾が行われています(図3)。
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図3 世界各国の外反母趾有病率
6)より画像引用
2023年のシステマティックレビュー¹³⁾(2022年までの45の研究データ)では、外反母趾の有病率はそれぞれ、アジアで21.96%、アフリカで3%、ヨーロッパで18.35%、オセアニアで29.26%、北米で16.1%であった。性別では、女性は23.74%、男性は11.43%であった。有病率は、20歳未満で11%、20~60歳の成人で12.22%、60歳以上の高齢者で22.7%であったと報告されています(図4)。
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図4 世界各国の外反母趾有病率
13)より画像引用
ただし、外反母趾の頻度は評価法や定義によって異なり、海外では外反母趾角(Hallux vaigus angle;以下HVA)15°をカットオフとする報告が多い一方で、日本ではガイドラインに準じて20°をカットオフとする報告が多い¹⁴⁾とされています。
HV角15°以上を外反母趾とした場合、15~20°であるものの占める割合は大きく、
この定義の違いは有病率に関して影響が大きいと考えられています⁵⁾⁶⁾。
外反母趾のX線学的角度計測法
外反母趾では、荷重位足部正面像で以下のような項目を計測します。
外反母趾角(Hallux vaigus angle;HVAまたはHV角)
HVAは、第1基節骨と第1中足骨の骨軸のなす角度です(図5)。日本整形外科学会診療ガイドラインでは、正常は20°以下⁵⁾¹⁴⁾とされています。健常群の平均は15.7°³⁾と報告されています。
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図5 HVA
第1-2中足骨間角(inter metatarsal angle;M1-M2角またはIMA)
第1および第2中足骨の骨軸のなす角度です(図6)。Meterarsus primus varus(第1中足骨内反)の評価に使用します。正常は10°以下¹⁴⁾とされています。平均は9.93±2.97°¹⁵⁾と報告されています。
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図6 M1-M2角
第1-5中足骨間角(M1-M5角)
第1および第5中足骨の骨軸のなす角度です(図7)。正常は30°以下¹⁴⁾とされています。
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図7 M1-M5角
種子骨偏位の分類
外反母趾の変形が進行すると、第1中足骨頭が内側へ移動することで種子骨が外側へ脱臼します。Hardyの分類³⁾が広く用いられ、第1中足骨骨軸と内側種子骨の位置関係により7段階に分類されています⁵⁾¹⁴⁾(図8)。
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図8 種子骨偏位の分類(Hardyの分類)
3)より画像引用(右図)
外反母趾の診断基準
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外反母趾の診断は、一般に第1MTP関節での母趾外反の程度によってなされます。荷重位の足部背底単純X線像を用いて、HVAを測定するのが一般的⁵⁾⁶⁾とされています。
重症度に統一された見解はないものの、日本整形外科学会診療ガイドラインではHVAが20〜30°を軽度、30〜40°を中等度、40°以上は重度⁵⁾¹⁴⁾と判定されます。
HV角以外に共通して用いられているのは、M1-M2角⁶⁾が挙げられています。
外反母趾の臨床評価指標
日本では、外反母趾に対する臨床評価法として医療者側からの評価基準JSSFスケール(Japanese Society for Surgery of the Foot standard rating system;日本足の外科学会 足部・足関節疾患治療成績判定基準)の中からJSSF hallux scale(母趾判定基準)¹⁶⁾(図9)およびJSSF lesser scale(2~5 趾判定基準)¹⁷⁾(図10)と、患者立脚側の評価質問表SAFE-Q(Self-Administered Foot Evaluation Question- naire:自己記入式足部足関節評価質問票)¹⁸⁾が挙げられています。
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図9 JSSF hallux scale(母趾判定基準)
16)より画像引用
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図10 JSSF lesser scale(2~5 趾判定基準)
17より画像引用
これらの評価法の有用性については、厳密に検証されて英文で公表されており英文誌への投稿にも対応できる⁶⁾とされています。
外反母趾の手術
外反母趾の手術療法では、第1中足骨の骨切り術が最も多く行われています¹⁾⁵⁾。
日本整形外科学会診療ガイドライン⁵⁾では、骨切り部位によって、遠位骨切り術(骨切りを第1中足骨頚部で行うもの)、近位骨切り術(第1TMT関節から1~2cm 付近で骨切りするもの)、骨幹部骨切り術(骨幹部で骨切りを行うもの)に分けられています。
遠位骨切り術
遠位骨切り術は、外反母趾に対する標準的な術式のひとつであり、その適応は軽度から中等度の外反母趾が一般的である⁵⁾とされています。
代表的な術式としては、V 字型に骨切りするchevron法、鉤形に骨切りするMitchell法、斜めに骨切りするWilson法、骨頭を基節骨と一緒に外反させるように骨切りするHohmann法などが挙げられています⁵⁾(図11)。
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図11 各種の遠位骨切り術
5)より画像引用
【chevron法】
chevron法は、骨頭中央から頚部にかけて矢状面でV 型骨切りを行う術式です(図12)。
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図12 chevron法
(65歳女性、術前と術後6週間)
19)より画像引用
1984年以降、chevron法による骨頭壊死の発生が問題とされてきましたが、Malal ら²⁰⁾が、中足骨頭の栄養血管の詳細を報告しchevron法の骨切りではこの部を損傷しないように警鐘を鳴らしました(図13)。これ以降、骨頭壊死の報告は非常に少なくなり、今日では遠位骨切り術の中で最もよく用いられている¹⁾とされています。
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図13 chevron cutと第1背側および底側中足動脈の位置関係
20)より画像引用
【Mitchell法】
Mitchell法は、第 1 中足骨頭頚部での階段状骨切りと縫合糸による内固定、内側骨 隆起の切除、そして内側関節包の縫縮からなる¹⁾術式です(図14)。
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図14 Mitchell法
21)より画像引用
【Wilson法】
Wilson法は、第1中足骨遠位1/3での内側遠位から外側近位に向けての斜めの骨切り(内固定なし)、内側骨隆起の切除、そして関節包の縫縮からなる矯正術¹⁾です(図15)。
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図15 Wilson法
22)より画像引用
近位骨切り術
近位骨切り術は、外反母趾に対してよく行われる術式のひとつであり、M1-M2 角を矯正することにより外反母趾を改善する方法です。中等度から重度の外反母趾に対して主に行われることが多い⁵⁾とされています。
代表的なものとして、Mann法に代表される骨切りを三日月状で行う近位三日月状骨切り術、骨切りを楔状に行う近位閉じ合わせ楔状骨切り術と近位楔開き骨切り術、近位でchevron骨切りを行う近位chevron骨切り術が挙げられています²³⁾(図16)。
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図 16 各種の近位骨切り術
5)より画像引用
骨幹部骨切り術
骨幹部骨切り術は、一般的に中等度から重度の外反母趾症例に行われている⁵⁾²⁴⁾とされています。
術式には、scarf骨切り術、Ludloff法、Extended-chevron骨切り術、第1中足骨回転骨切り術が挙げられています⁵⁾¹⁴⁾²⁴⁾。
【scarf骨切り術】
scarf骨切り術は、第1中足骨をZ字状に骨切りし、骨頭骨片を外側に移動させる術式¹⁴⁾です(図17)。
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図17 scarf骨切り術
5)より画像引用
【Ludloff法】
Ludloff法は、第1中足骨基部から骨幹部において、近位背側から遠位底側にかけて骨切りを行い、遠位骨片を回転させるように整復する術式¹⁴⁾です(図18)。
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図18 Ludloff法
25)より画像引用
第1中足骨骨切り術以外の術式には、中足楔状骨関節固定術(Lapidus法)(図19)やMTP関節固定術などが挙げられています⁵⁾¹⁴⁾。
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図19 修正Lapidus法
26)より画像引用
外反母趾におけるアライメントの特徴
外反母趾の発生、増悪に関わる要因として母趾列のhypermobilityが注目されています¹⁴⁾。
健常群と外反母趾群の比較によって、非荷重位から荷重位への近位骨に対する末梢骨の変位について報告が様々なされています(図20)。
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