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今年、創立50周年を迎えた国内初の雑誌の図書館「大宅壮一文庫」ってどんなとこ?

テレビ番組のリサーチ会社、フォーミュレーションnote編集部です。
実は京王線の八幡山駅を降りて10分ほど歩くと”雑誌の図書館”があることをご存知ですか? その名も「大宅壮一文庫」。
今回は雑誌の掲載内容をリサーチするのに欠かせない「大宅壮一文庫」について書いていこうと思います!!

大宅トップ画像

■大宅壮一文庫とは?

ざっくり説明すると、調べたい項目が載っている雑誌や記事をキーワードで検索して探し出し閲覧できます。雑誌の館外への貸出は行っていませんが、持ち帰って読みたい記事があればコピーの申し込みも可能です。

大宅壮一顔写真

評論家・大宅壮一(オオヤ ソウイチ)

もっと詳しく説明すると…【大宅壮一文庫HPより】

 公益財団法人大宅壮一文庫は日本で初めての雑誌図書館です。評論家・大宅壮一(1900-1970)の雑誌コレクションを引き継いで、明治時代以降130年余りの雑誌を所蔵しています。
 大宅壮一文庫では雑誌記事索引データベースを作成しており、主な所蔵雑誌の記事を検索することができます。また、雑誌原本の閲覧や複写もできます。
 生前、大宅壮一はことあるごとに古書市や古書店に通い、約20万冊の蔵書を遺しました。そのコレクションのほとんどは雑誌で占められており、自ら“雑草文庫”と称して、知人に惜しみなく開放していました。
 大宅壮一没後の1971年、大宅壮一文庫はマスコミはじめ各界の援助により設立されました。「蔵書は多くの人が共有して利用できるものにしたい」という故人の遺志により、雑誌図書館として一般に開放され、現在では年間約10万人の利用者を数え、多くの皆さまに活用されています。

■アクセス~八幡山駅から徒歩約10分~

アクセスマップ

大宅文庫のHPには八幡山駅から徒歩8分と掲載されていますが、初めて行く時の体感はもっと長く感じます。

八幡山駅の改札を出てからまっすぐ一本道で迷いようがないのですが、とにかくまっすぐ進むので曲がりくねった道よりも長く感じ、あれっ?もう過ぎてしまったかな?と不安になった頃に建物が見えてきます。

意外とこじんまりとした建物なので、油断すると本当に通り過ぎそう。初めて訪れる方は気をつけてください。ちょうどカーブに差し掛かる手前に建物があります!

■所蔵雑誌は約80万冊!!開館時間やサービス料は?

大宅文庫では明治時代から現在まで、なんと”1万2700種類 80万冊”の雑誌を所蔵しています。(2021年4月現在)

大宅文庫のHPによると、現在刊行されている雑誌では、週刊誌、女性誌、総合月刊誌を中心におよそ1000種類のバックナンバーを所蔵しています。
どんな雑誌を所蔵しているのか主要雑誌の一覧はHPよりチェックできます。

≪開館時間≫

来館営業時間

≪入館料・記事コピー代≫

利用料金

一般の方は入館料500円で資料を15冊まで閲覧できます。16冊以上の閲覧には10冊ごとに100円の追加閲覧料を支払うと1日最大105冊まで閲覧できます。
弊社は法人会員で年間費を支払っているため、追加閲覧料を支払うことなく1日最大150冊まで閲覧可能です。後で触れますがこの閲覧冊数の上限がリサーチャーにとっては結構重要になってきます。

■今年で創立50年周年!大宅文庫独自のデータベースがすごい!!

2021年5月17日に「大宅壮一文庫」が創立50年周年を迎えました。

簡単検索画面

大宅文庫の最大の特長は「索引」づくりです。主要な雑誌記事を「大宅式分類法」と称する独自の手法で1つ1つ丁寧に索引化しているそうです。現在は約350種の主要雑誌を軸に採録を行っており、これまでに蓄積された人物や事件ごとの索引は実に700万件。さらに毎月1万件のペースで新規の索引をつくり続けているとか。(大宅壮一文庫HPより)

索引入力

掲載記事をデータベースに登録するスタッフ

この索引づくりは専門のスタッフが、月・週ごとなどに次々と発行される雑誌を丁寧に読み込みながら作成していて、ものすごい労力を要しているそうです。

この索引がすごいのです!雑誌のタイトルや記事の見出しで検索できるシステムは他にあるかもしれませんが、大宅文庫の場合は検索したキーワードが見出しになくても検索に引っかかることがあります。それはスタッフがどんな内容の記事なのかきちんと分類してつけた「索引」がキーワードに該当するからです。

スタッフの方々の苦労の甲斐があって、私たちは求めている雑誌を探し出すことができます。(本当にありがたい!!)

■記事の検索⇒閲覧⇒複写(コピー)の流れ

①まず入館すると1階にズラッと並んでいるパソコンで「雑誌記事索引検索Web版」を使って調べたい項目を検索します。
                 ↓↓↓
②閲覧したい雑誌が見つかったら、「閲覧・複写申込書」に氏名・雑誌名・発行日・ページを記入します。
                 ↓↓↓
③検索が終了したら2階へ。「閲覧・複写申込書」を提出し閲覧を申込みます。利用者は書庫には入れないのでスタッフが希望の雑誌を取って来てくれます。
                 ↓↓↓
④名前を呼ばれたら受付まで雑誌を取りに行き、2階の資料閲覧室で申込んだ雑誌を閲覧します。
                 ↓↓↓
⑤誌面をコピーして持ち帰りたい時は机に置いてある「短冊」をコピーをしたいページの先頭に挟みます。「短冊」を挟んだ雑誌と「閲覧・複写申込書」を2階受付へ提出するとスタッフがコピーを取ってくれます。
                 ↓↓↓
⑥作業が終了したら、閲覧した雑誌を2階受付にすべて返却し、1階受付でコピー内容を確認し、コピー料金を精算します。

■大宅文庫はとにかく​時間と閲覧冊数との闘い

◇まず時間との闘いとは…
雑誌閲覧申込は午後5時15分まで。コピーサービス申込は午後5時30分まで。というふうに大宅文庫で作業は時間との勝負です。
渋谷にある会社から大宅文庫のある八幡山まで行くには時間がかかります。そこで大概、何項目ものリサーチをまとめて行います。そのため、”時間配分”をきっちりしないと、最後、雑誌を閲覧する時間がなくなってしまいます。

◇次に閲覧冊数との闘いとは…
先に書いた一度にたくさんの項目の記事を持って帰らなければいけない時。何も考えずに片っ端から検索で出てきた雑誌を閲覧すると……後々、閲覧上限を超えてしまい記事を読みたいのに読めないという事態に陥ります。
そう、1日150冊まで閲覧できて余裕だろうと思っていたら意外と冊数が嵩んでいたということもよくあります。

■私が初めて大宅に行った時の悲劇…

リサーチ項目は『ここ2年のディズニーランド・ディズニーシーに関連する記事を持ってくる』でした。
コピー金額の目標が5,000円(でもたくさん出てくると思うから10,000円以内ならと言われていた)でした。

アトラクション、フード、グッズ、パレードなど該当する記事数が多すぎて絞れず、似た記事でも迷ったらコピーとしていたら……。何と驚き!最後精算で20,000円弱いってました!?
戦々恐々と会社に戻ったら先輩には笑われ、経理にはよく10,000円持ってたねと言われ救われたというのが今でも忘れられない思い出です。

■大変だったリサーチ項目は?

人気絶好調の福山雅治さんが某トーク番組に出演するので、その資料となる雑誌を集める作業でした。デビューしてから最新の話題まで均等に情報を集めるために、古い雑誌から新しい雑誌まで均等にインタビュー記事などをピックアップしていきます。

普段、タレントの名前で検索して200~300件くらいのヒットであれば、漏れがないように片っ端から見出しを見ていって、いい感じになるようにピックアップしながら記事をコピーしていました。しかし、福山さんの場合は何千件もヒットするなど何せ記事が多い……。

詳細検索画面

そんな時は、大宅文庫のスタッフが独自で割り振った「分類」を検索できるシステムが便利。インタビュー記事のみに絞って検索できたり、インタビュー記事の中でも、「趣味」「家族」などジャンルを絞って検索することができます。そういう便利な機能を使って検索しても数が多いので、まさに時間と冊数と闘いながら無我夢中に大量の雑誌を会社に持ち帰ったのがいい思い出です。

人名検索

大宅文庫の検索システムを使いこなすちょっとしたテクニックもあるのですが、長くなってしまうので今回は割愛します……。

■かつては多くの人が利用していたが、ネットの普及により利用者が激減…

マスメディアや研究者など、多い時は年間9万人以上が大宅文庫を利用していたそうですが、近年はインターネットの普及などで利用者が激減しています。

そこで、2017年にクラウドファンディングで寄付金を募り無事達成しました。また、2019年夏には支援組織「パトロネージュ」を発足させました。寄付をして会員になることで文庫文庫を支える組織で、2020年7月時点で会員は15法人、194人。集まった会費は1,000万円を超えたそうです。

■最後に

今回、noteで「大宅壮一文庫」について紹介するにあたり、HPの写真等の掲載を快諾していただき、たくさん使わせていただきました。
今はインターネットで何でも検索できる時代ですが、たまには少しの手間と時間を掛けて気になるニュースを調べてみたり、好きなタレントの見逃したインタビュー記事を探してみるなど、日常生活でも活用できます。
気になった方は雑誌の図書館に訪れてみてください!!



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