ゴールドランク限定の悩み?プロのおすすめ連携を見て自習しました

今回は,ストリートファイター6(SF6)のプロプレイヤーであるACQUAさんのJP講座を見て,トレーニングモードで動きを練習しつつ,関連の状況を自習してみたことをまとめていきます.この講座,とても簡潔にまとまっているのでおすすめです!

この記事で取り上げるのは,このJP講座の中で紹介されている連携の1つである,「ジャンプ強キックからの連携をガードされたときの動き」です.
自習のきっかけは,「この連携は途中で反撃されたりしないのかな?」という疑問を確かめるためでした.全体はかなり長くなってしまいますので,要点だけ先に書くと

  • 途中でドライブインパクトが割り込んでくるかもしれないけど,全部返せるからそこは気を付けておこう!

  • 密着(投げ間合い)で2F有利 の状況について詳しく知っておくとより効果的!

ということでした.さて,それではこの結論の前後で自習した内容を書いていきます.

この連携はなぜ反撃されないのか?

トレーニングモードでフレーム状況を見る

最初に,ACQUAさんの動画ではいくつかの連携・コンボが紹介されているので,今回のターゲットである連携だけ取り出しておきます.この連携のレシピは

  1. ジャンプ強キック(少し低い地点で当てる)

  2. 立ち強キック・立ち強パンチの連続攻撃を出す

  3. (ここまでの間に,攻撃がヒットしたかガードされたかを確認する.今回はガードされた場合)

  4. キャンセルでトルバラン(OD版)

  5. そのまま前ステップ

  6. 後ろ投げ

という順に進めます.

トレーニングモードで,ダミーの設定を「ガード」→「全てガード」にし,「情報表示」で「フレーム表示」をONにして,この連携を一つずつ分けて確認していきました.

ジャンプ攻撃は,相手に当てたタイミングによってフレーム差が変動します.最高地点で当てると【+7F】、いちばん低い地点で【+11F】です.ひとまずここでは低い地点で当たった場合を見ます.私の場合、そのように意識して攻撃を出すと【+10F】になることが多かったです。

次に立ち強キックと立ち強パンチ.これはまず立ち強キックが【発生12F】となっています.これをジャンプ強キックと繋げると,ジャンプ強キックで【+10F】となったところから出しますので,相手の硬直に【2F】の隙間が生まれます.ですから,このタイミング中に相手の反撃が成立するかどうか?となりますが,通常攻撃では一番速いものでも【4F】かかりますので,この隙間では反撃できません.立ち強キックと立ち強パンチ(これは特殊な連続攻撃です)の間はそもそも硬直の隙間がないので,相手はガードを継続することしかできません.次は強パンチからキャンセルでのトルバラン(OD)です.ここには【4F】の隙間があります.ですので,最速攻撃での反撃と相打ちの可能性があります.相打ちになった場合は【+9F】ですが,中央の場合距離が離れますので立ち回りに戻るという事になるかと思います.
また,ODトルバランではなく弱トルバランにしておくと,相打ちにはなりますが相手がダウンして距離を取れます.この状況はJPの得意とする遠距離での飛び道具攻撃に入れますので,相手がこの弱トルバラン連携を警戒して反撃を躊躇していれば,ODトルバランもガードさせて続きに進めるのかな?と思いました.他にもいい動きがあるかもしれませんが,今後の宿題という事にしておきます.

話を戻して,ODトルバランをガードさせると【+24F】となり,前ステップは【22F】の行動なので,引いて【+2F】になり,投げの間合いに入ることができました.投げは発生が【5F】ですから,相手は差し引き【3F】以内に何かしなければいけませんが,先ほど書いた通り通常攻撃は最速で【4F】なので,反撃できません.ということで,どのタイミングでも(少なくとも通常攻撃での)反撃は不成立となります.
ここまでの状況は、ダミー(今回はリュウ)に「反撃設定」→「ガードリバーサル」でしゃがみ小パンチ【4F】を設定してみると確認することができます.フレームの状況を確認したトレーニングの動画はこちらです.


ドライブインパクトは成立するか?

ところで,「通常攻撃」と書いたからには,通常以外の攻撃もあります.そのうちひとつがドライブインパクトです.ドライブインパクトは発生まで【26F】の遅い攻撃ですが,「2回までは攻撃を受けても止まらない」という特徴があります.ドライブインパクトで反撃してきた場合,こちらは対処できるのでしょうか?実際に試してみました.これを試すには,設定から「反撃設定」→「ガードリバーサル」の項目で「ドライブインパクト」を選択し,ONに切り替えます.

試した結果,強パンチの後に急いでドライブインパクト(以下,インパクトと省略して書く場合もあります)を出せば間に合う事がわかりました.ついでに,ジャンプ強キックを最高地点でガードさせてしまった場合は間に合わないこともわかりました.よくできていますね.

次は強パンチからトルバラン(OD)ですが,トルバランによるこちら側の硬直よりも,相手のインパクトの発生の方が遅いことがわかりました.ということで,これもインパクトを見たらインパクトを返すことで対処できます.

最後に前ステップ後の投げですが,インパクトで投げは止められないので,そのまま投げが成立します.ということで,ドライブインパクトによる割り込みは,こちらがしっかり気を付けていれば対処できることがわかりました.相手もこの事をわかっていれば,そもそもインパクトで割り込んでこないので,おそらく上位のリーグになればなるほどこの事態は起きないと思うのですが…ゴールドリーグでは時々あります.私は今回調べるまで,「割り込んでくること」に気を付けていなかったため,インパクトを食らってしまうことが良くありました.そこで…

ダミーの反撃設定で「ガードリバーサル」に「何もしない」と「ドライブインパクト」の2つを設定すると,この連携の練習中にダミーがランダムでドライブインパクトの割り込みをしてくるようになります.これを使って,インパクトをケアしながら連携を決める練習ができるようになりました!

もっと強力な反撃ならどうか?

ドライブインパクトは成立しないということはわかりました.では,もっと強力な,「完全無敵」の反撃ならどうでしょうか?この場合は反撃を食らってしまいます.OD昇竜拳でも成立するなら,さらに上の,無敵のあるSAで割り込まれたらもっと悲惨です.さて,これはどう扱えばいいでしょうか?ひとまずの答えとして,ダミーのような最速の反撃が実戦でプレイヤーに出せるか?という事を確かめてみました.JPをダミー側にして,この連携をレコードに記録します.そして,自分はリュウを使い,このJPに割り込めるかどうかを試してみました.結果は「たまには人力でもOD昇竜拳で割り込める」ということに…ですがこれは,この連携しかやってこないと決め打ちしているからこその反応です.完全に決め打ちでOD昇竜拳を出してしまうと,単に途中で連携をストップしてガードされただけで反撃失敗,パニッシュカウンターを食らうことになります.もっと言えば,「たまには成功する」では危険すぎます.それを考えると,決め打ちで無敵技を出すのはリスクが大きすぎるので,様子見でガードしておくのが正解かな?となります.
元に戻って,JP側としては,「この連携だけではなく,ほかの動きも時々見せておくことによって,そもそも無敵技を出させない」というのが対策になるでしょう.それでも出してきたら?相手を褒めましょう…

最後の投げに対する投げ抜け(グラップ)

垂直ジャンプが効かない?

ACQUAさんの動画では,この連携の締めになる後ろ投げについて,
『グラップしてくる相手には垂直ジャンプからの攻撃』という解説をしています.
グラップというのは,投げ抜けの事を指します(過去の格ゲーに由来するそうです).SF6のグラップは,相手の投げに対して一定時間内にこちらも投げを入力することで,投げを相殺して無効にし,距離を取ることができるものです.
「投げを入力する」という事は,相手が投げてこなかった場合には単にこちらが投げを出した,という結果になりますので,失敗すれば投げ失敗の硬直が発生します.垂直ジャンプは投げをかわしますから,これで投げ抜けを失敗させ,硬直を作り出してそこに攻撃を当てる(パニッシュカウンターになる)という仕組みです.ということで,これもトレーニングモードで「ガードリバーサル」に「通常投げ」を設定し,ODトルバランからスタートして練習すると…

ガードされてしまいます.あれ?ジャンプ攻撃のタイミングをできるだけ早く当てようとしても,やはりガードされます.どうしよう…

これに対してまず考えたのは,「ダミーの反応が良すぎるから」というものです.こちらが前ステップまでで【+2F】の有利を取ったとして,そこから垂直ジャンプ攻撃を出す.ジャンプ攻撃(ジャンプ大パンチ)は【37F】で届いていましたので,有利分を考えると【35F】です。これを投げ失敗の時間と比べると…【30F】.ということで,垂直ジャンプと投げをお互い最速で出した場合,もう硬直が解けているのでガードできます.これはわかりました.この計算でいうと,ダミーの投げが【5F】遅れれば,硬直中に攻撃が当たることになります.

投げもジャンプも防がれる

これを再現するのに,ダミーの反撃設定には「ディレイ」という項目があります.実際にこのディレイを【5F】に設定して垂直ジャンプ攻撃をしてみれば,しっかりとパニッシュカウンターを取ることができました.【4F】のディレイならガードです.めでたしめでたし…ではありませんでした.ここでまた疑問が出てきます.
『こんなに投げ抜けの反応が遅れることが前提なら,そもそも投げが成立するのでは?』
まあ,目の前にその状況があるのですから,すぐ試すことはできます.投げにディレイをかけたままで,前ステップから後投げを試すと…投げ抜けされる!?

さあどうしましょう.実際の反応がこれより【1F】でも速ければ,あるいは自分の前ステップやジャンプが遅れてしまえば,投げは抜けられ,垂直ジャンプ攻撃はガードされてしまうことになります.相手がこの連携を知っていれば,それは問題なくできそうです.ここにきて壁にぶつかり…これはギブアップ.ということで自習だけでの解決はやめて,おなじみ(?)上位リーグの友人にこの事を聞いてみました.

「遅れた」ではなく「遅らせた」だった

教えてもらった内容を一言でいうと,「遅らせグラップ」です.この言葉を知らなかったわけではありませんし,前の記事で書いたように,トレーニングモードの「簡単練習設定」には「投げ抜けの練習」としてこの遅らせグラップを練習する設定があります.まあ,私は投げ抜けせずにODアムネジアの練習をしていたのですが…
「遅らせグラップ」は,読んで字のごとくグラップ(投げ抜け)をわざと遅く入力することです.なんでそんなことをするのか?それは,「グラップが速すぎると打撃攻撃を受けるから」です.投げ抜けのディレイを外して,最速での投げに戻します.そしてとりあえず前ステップからのしゃがみ弱パンチを出してみたら…見事にヒット.ならばACQUAさんの動画にもある弱パンチからのコンボを決めれば良いことになります.

遅らせグラップをする側の視点では,まずガードをしておいて打撃を防ぎます.そして,たった今実感したばかりの投げ抜けまでの猶予を利用して,「あえて遅く」投げを入力します.この「あえて遅く」が【5F】以上になるなら,攻撃側の垂直ジャンプが決まるのですね.【5F】というのは0.1秒未満(5/60 = 1/12秒)ですから,たいていはこうなるかと思います.

これ自体は知っていた「つもり」でしたが,自分が攻める側に立ったとたんにこれが頭からすっかり抜けてしまったというわけです.
ということで,ACQUAさんの「グラップをしてくる相手」というのは,単に投げ抜けをするのではなく「遅らせグラップをしてくる相手」と解釈すればいいのかな?というのが今回の自習+αの結果でした.

ここに書いたような細かい話をいちいち動画にはさんでいてはテンポが悪くなりますし,込み入ってしまい実用まで遠くなってしまいますので,ACQUAさんの動画では初級者向けに実用性の高い部分を取り出していたわけですね.おかげで実際の練習もしっかりできて,自習もはかどりました.改めて,ACQUAさんの動画に感謝です!

発展(?)『密着○○F』

どこにでも出てくる【○○F】

今回の自習では,連携が反撃を受けない理由を考えたところから,最後の遅らせグラップの話まで,ずっと【○○F】という言葉が付いて回りました.フレームはSF6のゲームにおける時間の単位なのですから,それは当然ですね.そして,これくらい有利ならこの行動が安全に行える,という指標として使えるわけです.今回は最後の状況が【密着+2F】でした.もしほかの状況で同じく【密着+2F】が出現したらどうでしょうか?何かないか少し調べてみると,JPのしゃがみ小キックがヒットしたときにJP側【+2F】となるのを見つけました.接近戦でしゃがみ小キックだけが急にヒットする状況が実戦に出てくるか?はとりあえず脇に置いておくとして,仮にこの状況になったとすれば,この連携の最後のような「投げのチャンス,(遅らせ)グラップをしてくる相手には垂直ジャンプ攻撃」を狙える状況なんだ,と理解できます.

防御側から見たフレーム差

さて,JPを使っていると(いや,私が下手なためか),実戦でこの密着状態はJP側不利になっていることが多いです.相手がラッシュなどで近づいて攻撃してきたとき,格ゲーを始めたばかりの頃は小パンチや投げを連打して反撃しようとしていました.これが成功しないのは,相手がフレーム有利を活かして攻撃しているからであって,私の反応が遅いわけではない…ということも,理解するまでに結構時間がかかりました.そして今は,むしろガードばかりしていて,ずっと投げを食らい続けています…「投げのチャンス,グラップしてくるなら垂直ジャンプ」というのが相手の立場なわけですから,そうなるよね,という事をここで理解.やっと次のステップですね.JPの切り札であるODアムネジアも含めて,この不利状態を解消するための行動をリストアップしておき,相手の行動の傾向を見て,適切なものをリストから引っ張り出してくるようになりたいものです.

自習としては,ここから「このくらいの有利・不利があるときはこの選択肢」をリストアップして,練習への組み込みをする…という段階になるのでしょう.自習内容が貯まってきたら,記事にまとめたいと思います.今回はその手前までやったところでおしまい.お疲れ様でした!


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