ストリートファイター6 アイアンからゴールドまで(2)
前回に引き続き,SF6のアイアンランクからゴールドランクまでの道のりで有効だったものについて書きたいと思います.今更ではありますが,前回のシルバー到達まで,あるいは今回のゴールド到達までにこれが有効でした!というのは,それだけしか練習しなかったという事ではありません.また,僕の(ある程度練習もするくらいの)本格的な格ゲー経験は,一応SF5の最後半年(ルークが追加されてから半年くらい後)と,ちょうど前後してギルティギアストライヴ(GGST)を結構頑張って練習,ランク戦もプレイしていた,といういくらかの下地があります.これは今回のような「始めて半月」の成長具合には大きく影響していると思います.この点については記事を改めて書きたいと思っています.
と,前置きを書いたところで,今回はSF6の『JP』でシルバーリーグからゴールドリーグに昇格したころに特に有効だったかな?とおもう3つの行動について,そして発展としておまけを解説したいと思います.(解説といってもゴールドリーグの自分が把握できている範囲です.いまも,その時全然知らなかったことを後から知ってびっくりしています).
シルバー→ゴールド
ここまでのリーグもそうですが,各リーグには5段階の区分けがあり,ランク戦では自分の区分けに近い相手がマッチングするようになっています.ですので,リーグの中でもより細かく同等の相手と対戦します.各キャラクターの技やシステムについて,個人差はあっても,総合的な理解の程度は大体同じくらいだと考えてよいでしょう.以下の行動も,そのくらいの感覚でとらえてもらえればと思います.
トレーニングモード・簡単設定3種
この時期は,トレーニングモードをコンボの練習以外にも使い始めたところでした.トレーニングモードでは,対戦相手役のダミーをどのように動かすか,いろいろと細かく設定ができます.といっても,それをしっかりやるのは結構手間がかかり,慣れるまでは少し戸惑うところがありました.
ですが,このSF6では,特定の状況に対する練習題材として,「簡単練習設定」という項目が付いています.これで,実際の対戦で起きやすい状況を一つ一つ切り出して,繰り返し練習することができます.この簡単練習のうち,3つの項目が特にこの時期で役立ちました.以下に紹介します.
対空は↓大P
一つ目は「対空練習」です.SF6や多くの格闘ゲームにおいて,「対空」という言葉は「ジャンプで近づいて攻撃してきた相手に反撃をする」という意味で使われます.この項目では,ジャンプキックで攻撃してくるリュウに対応する練習ができます.
JPで対空をする方法はいくつかありますが,主要なものはしゃがみ状態での大パンチ(↓大P)です.
この攻撃は,頭上で杖を振って相手を攻撃します.この攻撃は,大Pボタンを押してから実際に攻撃が出るまでに少し時間がかかります.画像の下部分にある,カラフルなバーの表示がそれを示しており,行動の「フレーム」という,行動タイミングの情報を表示しているのですが,今回の記事ではこのフレームについての説明は割愛します.フレームの情報は大量の数字の集まりで,ややこしく感じるのでとっつきにくいかもしれませんが,わかると練習が劇的に面白くなるので調べてみてください.
さて,↓大Pの対空をうまくあてるコツは,相手を引きつけ過ぎないことです.前述の通り,攻撃はボタンを押してから実際に攻撃の効果がでるまでに少しかかります.そして,攻撃の効果は,これまた少しの間持続してくれます.ですので,相手にピッタリ当てるというよりは,攻撃を出しておいて,相手が落ちてくるのを待つイメージです.慣れてきたら,対空攻撃が当たった後に追撃の技を出す練習をしてみるのもよいかと思います.
ドライブインパクトは使いどころがだいたい同じ
次に紹介する項目は,ドライブインパクトへの対応練習です.「ドライブインパクト」は,SF6の特徴的なルールのひとつです.通常では,相手の攻撃を受けたキャラクターは被ダメージで硬直になり,一定時間行動ができなくなります.仮に攻撃を出していた場合,その攻撃が外れて相手の攻撃が当たってしまうと「カウンター」という形になり.攻撃は中断されてしまいます.
ドライブインパクトは攻撃の1種で,モーションはとても大きく隙の多い攻撃なのですが,その間に相手の攻撃が当たったとしても,2回までは踏ん張って攻撃を続けることができます.ドライブインパクトによって相手の攻撃を受け止め,攻撃を命中させれば,逆にこちらがカウンターを取ることができます.特に,カウンターの中でも「パニッシュカウンター」と呼ばれる状態です.パニッシュカウンターになると,相手の行動不能時間(硬直時間)が長くなります.ですので,普段は間に合わないような大きなモーションからスタートする,強力なコンボ攻撃を当てることが可能になります.
ところで,「ドライブインパクトも攻撃の1種」なので,ドライブインパクトで受け止めることができます.これがドライブインパクト返しで,インパクトを後出ししたほうが勝つという構成になります.このドライブインパクト返しを決めることができるようになると,相手に与えるダメージが飛躍的に伸びます.
ドライブインパクトは「あとから出したほうが勝つ」という仕組みですから,相手のインパクトを見てからこちらがインパクトを出せばいい…とはいっても,実際の対戦の中で常に相手のインパクトを警戒し続けるのは大変ですし,自分から攻撃を仕掛けたり,対空で対応したりと,ほかに意識すべきことはたくさんあるので,インパクトへの警戒は薄れてしまいます.そこで,これは対戦相手によるのですが,「この相手はこの状況になるとドライブインパクトを良く使う」というのを観察するようにしたいです.
たとえば,
こちらのジャンプ攻撃に対して対空のために使う
自分の攻撃(特に連続攻撃)が止まったときに,相手の反撃を予想してインパクトで受け止める
などが多いです.これは人によるので毎回通用する正解はありませんが,「相手の動きを見てよい対応策を準備する」という習慣を身に付ける第一歩になると思いますので,練習が上達につながりやすいです.
オーバードライブ版(OD)アムネジアは切り札
トレーニングモードの3つ目は「投げ抜けの練習」です.これは,ダウン状態から起き上がったタイミングで相手が攻撃をしてくる,「起き攻め」という状況の話です.起き攻めをされた場合は,攻撃側がどんな攻撃を出してくるかを予測して,適切な対応を取ることが目的になります.前回の記事でも簡単に書きましたが,起き攻めの種類はほとんどが「投げ」「打撃」のどちらかです.投げはジャンプや投げ抜けでかわし,打撃はガードで隙を待つのですが,対応が逆になれば相手の攻めを食らってしまいます.
本来,この「投げ抜けの練習」モードでは,打撃と投げの両方に対応する練習,通称「遅らせグラップ」を学ぶことが想定されていて,解説文もそのようになっています.ですが,JPの場合,この状況に対してもう一つの対応策があります.それがコマンド技「アムネジア(オーバードライブ版)」です(以下,オーバードライブはODと表記します).
アムネジアは,一定時間「相手の攻撃がこちらに命中したとき,それを無効にする」という特殊な状態になります.通常のアムネジアは打撃に対して有効な技なのですが.ODアムネジアは打撃,投げのどちらにも対応して攻撃を無効にしてしまうことができます!また,この時に相手の体に,相手を追いかけて一定時間で破裂する誘導弾を取り付けます.この破裂は攻撃になるので,相手はガードをするなどの対応を強いられます.その間にJPの側は距離を取ったり,誘導弾との連携で反撃を仕掛けたりするのがセオリーです.
起き攻めをされている場合,起き上がって行動ができるようになった瞬間にODアムネジアが起動するようにタイミングを調整する必要があります.ダウンから起き上がりまでの時間は一定なので,このタイミングを何度も練習して身に付ける練習がこのトレーニングです.
補足ですが,アムネジアで攻撃を取れなかった場合は,その後に無防備な状態ができてしまいます(その状態で攻撃を食らうとパニッシュカウンターになります)ですので,それを承知している相手の場合はフェイントをかけてくるかもしれません.OD版ですからドライブゲージの消費もありますし,起き攻め対応の全てをODアムネジアに頼るのは無茶です.しかしそれでも,相手がほぼ一方的に有利な起き攻めの状態から抜け出す手段としてODアムネジアは強力な技なので,ぜひ練習しましょう.
ここまでの練習をトレーニングモードで少しずつこなしていき,ランクマッチでもちょっとずつ実行できるようになっていった結果,ゴールドリーグ昇格を果たすことができました.まだまだ知らないこと,できないことはたくさんあります.それでも,練習して本番で成功して,上達していく楽しみは十分に味わっています.JPに限らず,SF6を始めたみなさんが楽しいランクマッチを味わえるといいなと思います.
今後の発展:アムネジア直後の状況は複雑
最後におまけとして,ODアムネジアについてもう少し込み入った話を書きたいと思います.
上で書いた通り,ODアムネジアは相手の攻撃を無効にして,逆にこちらから仕掛けるタイミングを作る技です.打撃,投げ共に対応でき,SF6のプレイヤー間では相当に評価の高いものになっています.ですが,打撃にも投げにも対応できる返し技,という点だけをみると,例えばリュウやケンのOD昇竜拳のように,出した瞬間は無敵になるという技が他のキャラにもあります.それらの技とODアムネジアは何がそれほど違うのか?という事に対して,ゴールドまで来ても私はあいまいなままでした.そこで,この記事を書くことをきっかけにしようと,マスターリーグの友人にその理由を尋ねてみたり,ネットを検索してみたりしました.それで知ったのは,ODアムネジアは成立後の状況が特殊だという事でした.アムネジアは相手の技を無効にした後,何の技を取ったかによってその後のフレーム差が変わります.
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相手の技を取った後,相手はその技に応じた硬直時間をそのまま受けることになります.ですので,小パンチのような素早い技であれば相手が有利(ただしJP側は硬直中無敵),投げやドライブインパクトのような大技であればJPが有利になります.また,アムネジアの成立時にはJPが後にステップして距離を取るのですが,フィールドの端にいる場合は例外で,距離が離れません.このため,もしも投げのような硬直の長い技を取ったら,JPは誘導弾をからめた反撃を一方的に繰り出すことができます.これが大変強力で,しっかりとコンボを決めれば,半分以上体力を奪うほどの反撃になるようです.これを知っているかどうかで,端での駆け引きはまるで違うものになります.投げはアムネジアのリスクがあまりに大きいので打撃中心になり,という事はJP側もガードを固めるのが定石になり…ということです.たしかに強力な技でした!