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トラップだらけ、「中国味」あふれる水族館の魅力

 このnoteを始める時、私は「子どもがいて外出できる場所も限られる」ため、「グルメ記事も観光記事も書けない」と記していた。実際のところ、ここまで約20本書いてきたが、どれも「グルメ」にも「観光」にも程遠くて、自分の半径1,2メートル以内で起きたことばかり…。 
 ただ、先日家族で訪れた「北京海洋館」が、想像していたよりはるかに「中国味」にあふれていて、本当に面白かった。子どもたちを連れて外出した記録として、残しておきたい。

マンネリ脱出!家族で「北京海洋館」へ

 「海洋館なかなか面白かったよ」という話を友人から聞いたのは、昨年12月のこと。大型ショッピングモールか自宅近くの公園…と、家族での外出先のマンネリ化に頭を悩ませていた頃だったこともあり、話を聞いたすぐ次の週末、チケットを予約した。

 料金は大人1人170元(日本円で3400円程度)。やや高く感じるが、隣接する動物園と海洋館両方に入ることができるため、この値段設定のようだ。子どもは「身長1.2メートルより大きい、もしくは7歳以上ならば有料」のため、我が家の子どもは無料で入場できる。
 余談だが、以前東京に住んでいた時に、しばしばしながわ水族館を訪れていた。しながわ水族館はこじんまりとしているがイルカショーは迫力があり、展示もおもしろい。水族館を訪れるのは、2022年12月にしながわ水族館に行って以来だ。

北京海洋館の入り口。右に見える巨大な壁画は本記事トップに載せたもの。

 前述のように、北京海洋館は、動物園と隣接した立地で、チケットもその両方への入場料を兼ねたものになっている。ただ、私たちが訪れた時は、冷たい北風が吹きつける12月。屋外展示の多い動物園に向かう人はとても少なかった。

いざ水族館!各所にあふれる「中国らしさ」に、見入ってしまう

 水族館の展示にそう詳しくはないので、たいそうなことは言えないが、生き物たちを展示している様子は、日本のそれと変わらないように感じる。

大きなエイとマンタが同じ水槽で泳いでいた。

 ただ、いたるところに、クジラや魚など海の生き物たちの大きな絵が描かれている。(本記事後半の2枚の写真にも、巨大な壁画が写っている)
 時には「壁から飛び出すように見える絵」のように見えて、本当に飛び出しているかなり立体的なクジラまであった。天井の高さ、壁の広さなどとっても、なかなかスケールが大きい。

クジラやイルカが展示されているコーナーの向かいの壁に、立体的な巨大クジラ。
肝心の展示はというと、改修中で見ることができなかった。残念。

 最初は「ふーん…水族館は日本と同じような感じなんだな」と思っていたが、しばらく歩いていると…やはり。「中国っぽさ」を見つけてしまった。
 日本の水族館に慣れている方からすると笑えないかもしれないが、私は中国での生活に慣れてきたせいか、こんな展示にもひたすら笑ってしまう。

ヒトデ?のオブジェたちと共存している魚たち。オブジェの表情との対比もあいまってシュール。

 きっと、このオブジェと魚を共存させた方が、水槽が華やかに見えると思ったんだろうな…でも魚の方からしたらどんな感じなんだろう、もう慣れっこなんだろうか…などと一人で心の中で突っ込んでいる時間も楽しい。

 そして、夫と2人で立ち止まって見入ってしまったのはこちら。

全く同じ魚についての説明が、こうして2枚ずつ掲示されていた。なぜ…。

 目の前の水槽で泳いでいる魚の種類を表示したパネルだが、まったく同じものが複数掲示されているのはなぜだろう…。魚の数だけ掲示されているにしてはパネルが少なすぎる。強調のため?いやいや、特に意味はない?結局答えは出ないままだった。

巨大プールのイルカショー、思っていたより…

 
 「まもなくイルカショーが始まります」というアナウンスがあり、早速その会場へ向かう。たくさんの親子連れに混ざって足早に階段を上がると、巨大なプールとたくさんの客席。「しながわ水族園の何倍の大きさだろう」とここでも考えた。

イルカショーが開かれた巨大プール。プールをぐるりと囲むように観客席も設けられている。

 ショーが始まる前に、水族館のスタッフが観客に熱心に呼びかけている。ショー観覧時の注意事項を伝えているのかと思いきや、おもちゃを売っているだけだった。キラキラした球体のものや、くるくると回る魚のようなものまである。この短時間も逃さないという商魂のたくましさ、嫌いじゃない。

開演前におもちゃを売る海洋館のスタッフ。ビールの売り子さんのように、何人もいた。

 売れるのだろうか??と注意深く見ていたが、意外にも、けっこう売れている。子どもが大好き、子どもを大切にする中国人だからこそ、子どもにねだられると買ってしまうのだろうか…。長男が「あれ買ってよ」と言ってきたが、「さすがに買わないよ」と諭した。

 ショーが始まると、ピエロ姿のスタッフが出てきて観客とやりとりをしながら盛り上げる。

イルカショーの前座のような時間も意外と長かった。

 続いて、アシカがボールを回したり、フラフープの中をくぐったりするショーがあり、次に期待していたイルカショー。天井からつるしたボールにイルカがタッチすると、会場から大きな歓声が上がった。

イルカショーの一場面。イルカの姿をぶれずに撮影するのは本当に難しい…。

 ただ、イルカがそうした「空中技」を見せたのは3回くらいで、すぐにバックヤードに下がってしまった。
 その後再びアシカショーとなり、長男と「またイルカは出てくるのかな?」「次はたくさん出てくるのかも?」と話していたのだが…イルカが再び出てくることはなく、あっさり終わってしまったのだ。

 正味30分ほどのショーだったのだが、まさに「尻切れトンボ」状態。私も長男も夫も、文字どおりポカーンとして、いそいそと会場を後にする観客を眺めていた。
 しながわ水族館推しの私としては、勝手にここで伝えておきたい。しながわ水族館の方がプールは小さい。客席も少ない。観客席の場所によっては直射日光がまぶしくて暑いし、そもそも座れなかった場合は子連れにはハード。でも、しながわ水族館のイルカショーの方が迫力があって見ごたえがあって、本当に楽しい!!!!

想像していたより楽しめた。でも、ひとつだけやめてほしいことが。

 イルカショーは想像とは違ったけれど、大きな水槽を悠々と泳ぐ魚たちを見ることができたし、子どもたちが満足そうにしていたので、「これはこれで悪くなかったな」とほっとした。何より私が楽しめた。

 ただ、最後にひとつ文句を言うとすれば…中国の水族館、トラップが多すぎるのだ。
 日本の水族館なら、入口・出口付近に設けられていることが多い「お土産物店」が、ありとあらゆるところ、本当に、いたるところにある。
 深海の生き物の展示コーナーを出たらそこにおもちゃ屋、トイレの前にもお土産の売店が並び、避けて通ることは不可能だ。
 店に並ぶのは海の生き物のおもちゃやぬいぐるみ、カップやキーホルダーのほかに、海洋館とはまったく関係ないレゴのようなおもちゃまである。

こうしたお土産物店、売店がありとあらゆるところにある。

 本当に商魂たくましくて、それはそれで嫌いじゃないのだけれど、ここまで多いと、売店を見つける度に長男はそちらに気をとられ、「これ買う」「買わない」「どれなら買ってくれる?」「どれも買わない」で毎回押し問答になった。

出口近くにあった売店。ガチャガチャもあり、長男はここからなかなか離れてくれなかった。
トイレのすぐ横にあったゲームセンタースペース。
17時になった途端、スタッフが目の前で電源を落として真っ暗になり、私と夫は大爆笑。

 もう少し温かくなってきたら、水族館に併設されている動物園にも行ってみたいと思っている。長男だけでなく、次男も楽しめるようになっているかもしれない。
 でも、このトラップが動物園にもあるとしたら…どんな様子なのか興味もありつつ、また長男と「買う」「買わない」の押し問答をすると思うと、頭が痛くなった。