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【授乳室探訪③】ついに発見「完全個室」授乳室。そこで初めて見たものは

 前回の記事で中国の「母嬰室」=授乳室について、育児中の中国人に色々と話を聞いた件を記したが、中国人の習慣や考えを実際に聞いて以来、私はますます授乳室に興味を持ち、外出先では必ず授乳室を使うようになった。

普段着を後悔…北京のおしゃれタウンで発見。

 そして、先日ついに「完全個室」タイプの授乳室を発見した!!
 オーバーだと思う。でも、これまで6カ所程度訪れた授乳室は全ていわゆる「半個室」タイプだったため、妙な達成感があった。

「三里屯 太古里」の外観。
平日だったが、大勢の若者が足を運んでいた。

 場所は「三里屯 太古里」という商業施設。CHANELやDiorが軒をつらねる商業施設で、売られているものの価格帯も高め、歩いている人々も若年層が多く、ファッショナブルだ。クローゼットの一番手前にあったTシャツとパンツ、スニーカーで来てしまったことを後悔する。
 夫によると、このエリアは「東京でいうと表参道みたいな感じ」とのこと。表参道なんて、1、2回、仕事のために歩いたことがあるだけだ。落ちつかないわけだ、と合点がいく。

いざ、「完全個室」タイプ授乳室の中へ…

 授乳室は建物の地下1階部分にある。
まず、入り口からして「完全個室」とわかるタイプ。もちろん施錠できる。「おお、ついに見つけた」と思わず声が出た。

授乳室の入り口に、利用中かどうかわかる表示も。

 明るく清潔感のある縦長の室内には、授乳ができるイスが2脚。以前も見かけたことがある「哺乳瓶温め機」がある。そして隣には、一瞬コーヒーメーカーのようにも見える道具が。持参した飲料水を入れて、これで温めることができるようだ。その隣には、おしりふきに、消毒用のウエットティッシュまである。サービス精神がすごい。

縦長の授乳室内。奥に授乳用のイスが2脚ある。手前がオムツ替え台。
哺乳瓶温め機と思われる機械(左)と、水を煮沸するポット様のもの(右)
おしりふき(右)にアルコールティッシュ(左)まで。至れり尽くせりだ。

ふと気づく。イスについてるあれ、なんだ!?

 次男のオムツを替え、もう一度イスを見て、、、二度見した。あのクッションと、横にぶらさがっている白いもの、何だ!?

授乳用のイスに備えつけられていたのは…小さいクッションと、ポンプだ。

 クッションは両手をいっぱいに広げてた上にのせられるサイズ感で、つまりさほど大きくない。同色のベルトのようなものもついている。イスに固定されておらず、好きな場所に動かすこともできる。そして、手動のポンプ付き。「ほお…」と、また、思わず声が出た。

 次男を抱えてイスに座り、クッションの位置をいろいろと変えてみたところ・・・授乳中の手を支えるクッションになりそうだ、とわかった。イスの側面とひじや腕の間にすべりこませて使うことができ、ちょうどいい大きさでもある。手動ポンプがついていることは驚きだったが、クッションの空気が減ってはひじや腕の支えにはならない、という配慮だろう。
 日本で、授乳クッションが設置されている授乳室を見たことはあったが、こうした小さなクッションと手動ポンプは、初めて見た。

早速検索。中国と日本の授乳クッションは同じなのだろうか。

 そもそも、中国でも授乳クッションが売られているのだろうか、と思って「哺乳枕」(中国語で授乳クッション)と検索してみると、日本で見る授乳クッションと似たようなものがたくさん出てきた。

中国のショッピングアプリで「哺乳枕」と検索すると、たくさん出てくる。
こちらは別のアプリ。やはりたくさんの種類がヒットした。

 やっぱりこういうものは便利だから中国にもあるんだな、と思いながらスマホをスクロールしていて、ふと気付く。中国の授乳クッションの商品写真、よくよく見ると、赤ちゃん用枕がついているのだ!!!

赤い丸をつけたものが、赤ちゃん用枕=宝宝枕だ。

 と、いうことは・・・私が自分の左腕を置くためだと信じ切って、左手を支えるのに最適だと思った小さなクッションは、授乳する人のためのクッションではなく、赤ちゃんの枕だった可能性があるのだ。
 日本でも、赤ちゃんの枕つき授乳クッションは存在しているようだが、圧倒的に、授乳クッションそのもののみで売られていることが多い。

Googleで「授乳クッション」と検索した結果がこちら。表示された範囲では、赤ちゃん用枕は、ついていない。

 たかが枕。それだけのこと、かもしれない。
 それでも、なんだかやっぱりおもしろい。日本と中国の育児をめぐる小さな違い、特にこんな本当に小さなことは、その場所にいないと気付かない。

 ところで、実際のところ、枕の寝心地はどうなのだろうか。授乳やミルクを飲む時期が終わってしまう前に試して、次男の反応を見てみなければ。
 これはまた、「三里屯 太古里」に行かなければならない。そしてその時は、前回よりもうちょっとマシな格好をしていこう、と思った。