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離乳食@北京、最大の壁!?② ~探せばある、ある所には、ある~

 

白身魚の切り身、イメージしているものと微妙に違う問題

 前回記事のとおり、私は、初めて訪れるスーパーでは必ず真っ先に魚売り場をチェックするようにしていた。
 日本でいうところの、「刺身や冷蔵の魚」売り場はなく、冷凍の魚だけ置いているスーパーも少なくはない。冷凍のサンマやサバを見つけ「サバ好きの長男に食べさせられる!」と安心したが、白身魚はやはり、胴体を横断したタイプの切り身の鱈が多く、この他、結婚式でゲスト向けに出される食事にありそうな、手のひらサイズの舌平目も見かけた。いずれも、離乳食で使うには、サイズの面でも価格面でも、ハードルが高い。

日本の食品なども扱う魚屋へ。そしてついに発見。

 そんな時、夫から「日本の食品もおいている魚屋がある」と聞いた。その店は「魚精」といい、魚屋兼居酒屋。刺身のほかに、日本の調味料や乾物、お菓子なども売られているという。これは期待できそうだ。北京へ来て2週間がたつころ、家族で訪れた。

 店内は広くはないが、一番奥に大きな冷蔵庫がどんと置かれている。中を覗き込んで、思わず「うわあ」と歓声を上げてしまった。
 鮪にサーモン、トロ、鰤、たこ、海老などと一緒に、鯛が並んでいる。いずれも刺身用だ。
 これこれ、これが私の探していた切り身だ。これなら離乳食でも使える。

魚精の商品の一部。改めて写真を見ると、ヒラメもあった。

 値段は、高めではある。私の手の幅ぐらいの長さ、やや薄めの身で、55元(日本円で1100円相当)。日本のスーパーで見ていたら「ちょっと高いな」と思う値段だろう。
 でも、ここは北京。離乳食待ったなし。買わない選択肢は、ない。
 この日、サーモンや鯛、いくらを買い、鯛は半分ほどを次男の離乳食用に調理した(複数回分になった)。そして大人と長男の夕飯はちらし寿司に。刺身好きな長男は「今日はお寿司パーティーだねえ!」と大喜びしていた。

この日私が購入した刺身。
長男に作ったちらし寿司。子どもの日前後だったので、一応こいのぼりをイメージした。

「ある」とわかると欲が出る。もう少し手の届きやすいものはないだろうか!?

 「魚精」の刺身はおいしかった。鮮度がよく、臭みもない。野菜や魚が好きな次男は、この鯛を使った離乳食を勢いよく食べていた。
 
 探せばある、ということはわかった。でも、そうわかると、欲が出る。もうちょっと安いもの、ないだろうか…と。新鮮な「魚精」の魚を買いたいが、頻繁に手が出せる値段ではないのが現状だ。

友人と一緒に海鮮市場へ。卸売り店で出てくる冷凍の魚の数々…

 思い切って、北京に来て何度か名前を耳にした海鮮市場に行ってみることにした。できたばかりの友人を誘った。いや、ついてきてもらえるようにお願いした。
 中心部から車で30分ほどかかる「京深海鮮市場」は、たくさんの卸売り店が軒を連ねている。市場といっても、加工された冷凍食品を扱う店が多いため、購入のハードルは低そうだ。

 中国語が話せる友人に頼りっぱなしの状態で、魚を扱う店をのぞいていく。比較的大きな店に入り、友人が店員に尋ねると…冷凍庫の中をガサガサと探して…出てきたのがこれだ。

手ごろな値段の鯛を見つけたことがうれしくて、帰路のタクシーで写真を撮った。

 値段の詳細を忘れてしまったが、10元ちょっと(200数十円程度)だったと記憶している。店員によると、生食も可能とのことだった。

 購入した日の夜、早速調理してみた。解凍して生のまま食べてみると、少し、白身魚独特のにおいは感じる。でも、鯛のうまみや歯ごたえもしっかりある。悪くない。
 離乳食用にはお湯でしっかりと煮込み、大人と長男の食事用には酢醤油と胡麻で「漬け」にした。

探せば、ある。でも、探さなければ、出会えない。

 白身魚の切り身を確保できる場所は、知ることができた。
 魚屋の「魚精」は北京市中心部にあるが、価格設定は高め。「京深海鮮市場」の商品は手ごろだが、車で30分かけていかなければならないという手間がかかる。どちらにも、メリット、デメリットがある。それは仕方がない。

 そう思っていた時に、自宅から少し離れた場所にあるスーパー「盒馬鮮生」を訪れた。ネット購入もできるスーパーで、日本人の友人からしばしば「買い物はほとんどここでする」と名前が挙がる。
 ここでもたくさんの生け簀が並び、新鮮な魚が堂々たる泳ぎを見せているのだが、そのすぐ横あたりの、冷蔵品のコーナーに、鯛の切り身があった。

「盒馬鮮生」で見つけた冷蔵の鯛の切り身

 サイズ感は「京深海鮮市場」で購入したものと同じくらいで、価格は20元ほど(日本円で400円程度)。冷蔵品だが、刺身としては食べられないので加熱が必須。大人や長男が食べるという観点ではマイナスポイントだが、第一目標は次男の離乳食用なのであって、大きな問題ではない。

 「え…こんな近くに、というかインターネット購入できるスーパーに、わりと手ごろな鯛の切り身があるんじゃないか…」。
 私は拍子抜けした。それに、気が付けばもう、最初に考えていた「切り身」を追求していない。きちんと処理されていて安心して離乳食にも使え、手に入りやすければ、思っていたものと少々違っていてもいい。

 探せば、ある。探さなければ、ない。それがちょっとしたストレスでもあるけれど、おおむね満足がいくものを見つけた時には妙な達成感もある。
これが、海外で暮らすことの醍醐味かもしれない。
 これで、なんとか離乳食作っていけそうだな。ついでに私、北京でもやっていけそうだ。自己満足だが、そう思った。