見出し画像

【授乳室探訪①】中国の授乳室に、はまった

乳幼児連れには不可欠、外出先の授乳室。行ってみるとそこは…

日本に住んでいた時、私は、授乳やオムツ替えをするいわゆる「授乳室」が広くて使いやすいかどうか、という観点で、訪れるショッピングモールを選ぶ、ということもあった。
「ららぽーと」や「イオンモール」は広々として混雑も避けられ、使い勝手もよい。「エキュート」や「ルミネ」など駅ビル系は、室数は少ないが安心感がある。どこの授乳室を使っても、オムツ替えや授乳がスムーズに済むと、ほっとする。

東京都江東区の「アーバンドッグ ららぽーと豊洲」の授乳室・おむつ交換室。
(写真は同施設ホームページから)

授乳室があれば、乳児がいても、オムツ交換やミルクの時間を過度に気にせず出かけられる。
だから北京へ来てからも、ショッピングモールや観光施設に出かけるたびに、私は「母嬰室」(中国語で授乳室)の有無やその場所を確認するようにしている。

北京市内の大型商業施設の授乳室で…「ない」物に驚く

こちらへ来て1か月が経つ頃のことだ。
次男を連れて、北京市内にある大型商業施設へ出かけた。数百メートルおきに授乳室の表示を見つけることができ、施設内のメインストリートの頭上には最寄りの授乳室の空き状況を伝えるランプまで設置されている。

これは期待できそうだ。
そんなことを考えながら次男のオムツを替え、授乳をしようと「母嬰室 FEEDING AREA」に入ってみて、驚いた。

授乳室の内装。椅子やテーブルもおしゃれで清潔感がある。

授乳をできそうな椅子がある。テーブルもあるし、部屋にもなっている。でも、視線を遮るものがない。日本だと、施錠できるタイプとできないタイプはあるが、扉やアコーディオンカーテンなどで外からの視線を遮った「個室」スペースが常設されていることが多い。
でも、ここではそれがない。

上の写真を引きで写したのがこちら。開口部に戸はなく、カーテンなどもない。

飲食店でいう「半個室」といったところだろうか。
もちろん、授乳の様子を覆い隠すことができる授乳ケープは持ってきてはいた。ただ、この授乳室は、開口部が男性用/女性用トイレに入っていく通路の進行方向左手にあり、「半個室」部分だけでなく、授乳室そのものにも扉はない。また、授乳室内の椅子も、なぜか通路の方を向くように置かれている。実際に座ってみたが、どうしても、通行人の視線が気になる。

図を描いた。半個室スペースのイスに座ると、トイレに向かって歩いていく人と目が合う。

びっくりしつつオムツを替えて、「ある」物に気づく

そうか、こういう場合もあるのか…と思いながら、「半個室」を背に次男のオムツを替えていると、真横に、哺乳瓶がベビーフードを温める機械のようなものを見つけた。ただ、こういう機械は初見で、使ったこともないので、断定はできない。円形に空いている部分の大きさから推測しておそらくそうだろう、と考えた。

カウンター最奥にあるのがオムツ交換スペース。その手前に、コンセントに電源プラグが差し込まれた状態の機械があった。

「なるほど」…と思わず声が出た。
中国では、外出先で授乳したい、という需要があまりないのかもしれない。もしくは、ケープで覆っていれば問題ない、という考えかもしれない。
外出時は、授乳より哺乳瓶でミルクを飲ませる方が多いのかもしれない。
中国では水道水を飲まないため、飲料用水を持ち歩いている前提で、ミルクを温めることを最重視しているのかもしれない。

こうかもしれない、ああかもしれない。いろいろな「かもしれない」が頭の中を駆け巡った。

これはきっと、文化や習慣の違い。外出先では必ず授乳室を訪れることを決意。

少々戸惑いはしたけれど、この授乳室には視線をさえぎるものがなかった、ということを批判したいのではない。
日本にはあるものがなく、日本にはないものがある。これはきっと、赤ちゃんを連れて歩くことや育児そのものについての習慣、考え方が違うからだ。

このショッピングモールからの帰路、抱っこ紐の中で眠る次男を見ながら、私は決めた。「よし、どこへ行っても必ず授乳室を見にいこう」。
この日見た授乳室がすべてではない。日本の授乳室だって、いろいろあるのだから、中国のそれだってきっとそうだ。
「完全個室」タイプに出会うかもしれないし、日本のような施錠タイプもきっとあるだろう。日本では見たことのない、また別の新たなものが備え付けられている可能性だってある。
なんだか久しぶりに、ワクワクした。

別のショッピングモールの授乳室で見つけたおむつ交換台は、日本製のようだった。