見出し画像

子どもが1歳に。中国の伝統行事「抓周」をやってみた。

  先日、次男がついに1歳になった。
中国に住んではいるけれど、長男が1歳になった時にしたこと…例えばスマッシュケーキを作って本人の好きなように食べさせたり、自宅の一角を飾って写真撮影をしたり、といった「イベント」をしたいと考え、準備を進めていた。
 そして、せっかく中国にいるのだから、中国らしい1歳の祝い方もしてみたいとも思っていた。

中国にもある、将来の職業を占う「選びとり」

 ちょうどそんな時、友人と話している中で、日本では「選び取り」と言われる慣習と同じような伝統行事が中国にもあることがわかった。
 中国では「抓周」(ジュア・ジョウ)といい、日本のそれと同じように、様々な職業をイメージさせるグッズを置いて、1歳になった子どもが最初に手に取ったもので将来どんな人になるのかを占うものだという。

 「選び取りのグッズがネットに売っているよ」ということを友人から聞き、早速インターネットで検索してみた。
 日本では最近、選び取り用のカードのセット(様々な職業のイラストが描かれたカードのセット。長男の時にはこれを使った)や、ハサミやボール、電卓といった実物そのものを使うことがあるようだが、中国では「選び取り」用のグッズがセットで売られているようだ。

ショッピングサイトで「抓周」と検索すると、出てくる出てくる…

 赤を基調としたザ・中国テイストのものもあれば、木で作られたナチュラルテイストのものまで…様々な種類がある。しかも、選び取るものが20種類前後用意されているのがスタンダードのようだ。
 「20種類の職業から占うのか…??」と少々戸惑ったが、選び取りが終わっても楽しく安全に遊べそうという観点から、木で作られたセットを220元(日本円で4400円程度)購入した。 

そして、届いた「抓周」セットは…意外にも、良いかも!!

それから数日後、届いたセットの中身がこちら。

購入した「選び取り」のグッズ。飛行機を模したものやそろばん、コンパスなどもある。下に敷いている丸いマットは別に購入した。

 「選び取り」対象になるグッズは全部で22個。こう言っては大変失礼だが、想像していたより、だいぶしっかりした作りで、物にはよるとはいえ、全体的に安っぽさはない。木でできたハーモニカに息を吹きかけると、ちゃんと音が出た。 

 選び取りグッズに同封されていたのが、「何を選びとったら、何になるか」という、いわゆる対照表だ。ええ?と思うようなグッズと職業も書いてあり、それがまたおもしろい。

同封されていた選び取りの対照表。

この木製のピストルは、表の下から二番目にある「木手枪」で、職業は「警察」。

木製のピストル=「木手枪」の職業は「警察」。

木槌に見えるこちらは、大工など建設業を連想する職業かと思いきや…
「法官锤」というらしい。対照表にある職業は「法官」で、この木槌は、裁判官がたたくハンマーを模しているようだ。

木槌に見えるが、裁判官の持つハンマーとのこと。

 日本での「選び取り」ではどんな職業がラインナップされているのだろう…。もちろん、そろばん=商人、ビジネスマンとか、コンパス=冒険家、旅行家など、日中で共通するものはあるかもしれない。でも、中国の「抓周」グッズは、様々なジャンルのかなり具体的な職業を表現していて、なんともおもしろい。
 グッズを一通り眺めながら、「これだけある中から、次男は何をとるだろうな」とワクワクした。

さて本番。次男が最初に手に取ったグッズは…??

 次男の誕生日の写真を撮影する当日。別に購入した丸いマットの上に選び取る「もの」を並べる。
 22個もあると、見ごたえがあるというか、なかなか、壮観だ。ひとつひとつに温かみとかわいらしさもあって、これならすぐにどれか手に取るだけでなく、「選び取り」が終わった後も遊んでくれそうだ。

並べたそばから、「え!!これなに!新しいおもちゃ!」と言って触ってくる長男だった…

 では、いよいよ、選び取り。グッズを丸く並べた中央に、次男を座らせる。私たち両親は、カメラやスマホをセットして、スタンバイ。
 座らせてすぐ、ぐるっと左右を見まわした次男は…自分のすぐ左手にあったものを、特に迷うこともなくすぐに、さっととった。
 それは…木べらだ。

次男が選び取ったものは…木べらだった。

 「え!?木べら?」「なんだっけそれ…何になるんだっけ??」 夫とやや騒ぎながら、前述の対照表を覗き込む。そこにあったのは、「木铲」と「美食家」の文字。

こんなにたくさんの中から次男が選び取ったのは「木铲」だった…

 美食家…びしょくか…うーん、、、「グルメ」ってことだろうか。
 幸いなことに、確かに次男は、現状で好き嫌いはなく、よく食べる。おかゆよりおかずが好きで、ブロッコリーやホウレンソウ、トマトあたりが特に好き…。
 つまり、彼はこのまま、順調に、美味しいものをよく食べる人に育っていく、ということだろう。
 「いやいやいや!!職業じゃないじゃん!!」と笑ってしまったが、これからもおいしい物をたくさん食べられる人生なのだとしたら、楽しそうだ。

 選び取りを澄ませたこのグッズたちは、私の予想通り、そのあともおもちゃとして大活躍している。
 ただ、このおもちゃに夢中になったのは次男ではなくて、長男だった。特に「木口琴」=ハーモニカがお気に入りで、プレスクールからかえってくると、なんとも言えないハーモニカの音が家に響いている…。