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どんな店でも「子ども可」!?乳児との外食事情@北京

 北京へ来たころは6か月だった次男もあっという間に大きくなり、今は一日3回、離乳食を食べている。
 以前も書いたとおり、北京での離乳食作りは決して楽ではないが、幸いなことに、次男も長男と同じ「よく食べるタイプ」で、助かっている。

 ただ、一日3食必要になると出現するハードルが、外食時の店選びだ。長男が今の次男と同じ月齢だったころは日本にいたが、どんな店で外食できるか、「食べログ」で探したものだ。
 離乳食が始まっていない時や、一日1回だけの時も、もちろん下調べは必要だ。でも、毎食のように離乳食が必要になると、ただ「子連れ可か、否か」だけではなく、①乳児も食べられるものがあるかどうか②レトルト離乳食の持ち込みを許してくれる店かどうか、という観点も重要になってくる。
 当時、ショッピングモールのフードコートやファミリーレストラン、回転寿司、カフェなど、行く場所はだいたい決まっていた。

「食べログ」のページの一部。日本では「お子様連れ」の項目をいつもチェックしている。

子連れで入れない飲食店は…ない!?

 次男の離乳食が軌道にのり、一日2回食事をするようになったころ、私は夫に尋ねた。
「中国では、どういうお店は子連れOKで、どういうお店は子連れNGなんだろうね?」
 夫はしばらく考えて、答えた。
「うーん…よっぽどの高級店とか、バーみたいなところは子連れに向かないだろうけど、だいたいの飲食店は、OKなんじゃないかな」。

 いやいやいや、そんなわけないだろう。
 と、私は思った。ちょっと高級な日本料理店とか?北京ダックの店とか?コース料理が出てくる高級路線の店とか?店の雰囲気も非常に大事だろうから、子どもは遠慮してほしい、と思うはずだ。

 ところが、私の予想は外れた。
 北京に来て半年近くになるが、これまで、乳児を連れていて入店を断られたことはない。
 寿司屋(本記事冒頭の画像)、鰻屋、北京ダックなど中華料理、焼き肉、イタリアン…。そもそもそんな「高級店」に行けるわけではないし、寿司屋も鰻屋も、平日の昼間に行っただけ。もし「高級店に行ってないだけでしょ!!」と突っ込まれたら…その通りだ。

北京で食べたひつまぶし。とてもおいしかった。

 でも、どの店でも、店員はいい意味で表情一つ変えずに、当然のように座席に案内してくれ、赤ちゃん用の椅子を用意してくれる。

 ちなみに、飲食店で用意されている赤ちゃん用の椅子は(あくまでも私の体感で)7割がたイケア製のこちら。

イケアの子ども用ダイニングチェア。公式サイトではなぜか見つけられなかったが、楽天市場などでは販売されている。北京のイケアでも販売されていた。

店によっては、店内に入ってすぐの場所にこの椅子が置かれていて、私はイケアのこの椅子に、愛着さえ感じているほどだ。

泣く次男をあやす店員まで…やはり、みなさん赤ちゃん好き

 そして言わずもがな、中国のみなさんは赤ちゃんが好きなようで、大多数の店員が次男にとてもフレンドリーだ。
 入店時にだっこ紐の中で眠ってしまった次男を見ると「寝ちゃったの?」と小声で尋ねてくるし、私たち親と長男が先に食べ始めると「この子(次男)は食べないの?!食べるものあるの!?」と気にして声をかけてくる。   
 ある時は、赤ちゃん用椅子に座った次男がぐずり始めると、ウェイトレスがやってきて、次男の前で小さく踊ったり歌ったりしてくれて、私はその姿を見ながら、必死に食事をかきこんだ。

顔は隠しているが…次男は泣き止んで、あやしてくれる店員を見ていた。

離乳食の持ち込みはOK、断り不要!?

 こんな状況なので、飲食店に次男用の離乳食を持ち込むハードルはぐんと下がる。
 日本で長男の育児をしていた時には、持ち込んだ離乳食を食べさせる場合、店員に確認して断りをいれていた。日本ではそれがマナーと思われる、からだ。
 でも、中国では断りも不要のようだった。店員に何も言われることはない。私も、友人たちも、レトルトの離乳食をもちこんで、それぞれのタイミングで、子どもたちに食べさせている。

次男用のレトルトの離乳食。同じメニューを買ってしまわぬよう、写真をとるようにしている。

離乳食を持ち込んだ。思い切って、日本ではしない依頼をした


 先日、自宅から車で7、8分程度の焼き肉店へ食事に行くことになった。私は、自宅で作った離乳食を、冷凍した状態のままタッパーに詰めて保冷袋に入れ、さらに保冷剤を入れて、焼き肉店に持参してみることにした。
 身勝手なことをしたことはわかっているし、非常識だ、と言われれば、その通りだ。推奨されないとも思う。
 ただ、その時に自宅に保管している日本から持参したレトルト離乳食は残りわずかとなっていて、できれば温存しておきたかった。もちろん、断られた時のことを考えて、念のためレトルトもカバンに入れた。

 そして、私たち親と長男の食事を注文し、一通り持ってきてもらったところで、思い切って、店員にお願いした。
 「このタッパーのご飯、電子レンジで温めてもらえませんか」
 店員は即答だった。
「いいよ。どれくらいの熱さがいいの?すぐ食べるんだよね?熱々じゃない方がいいよね?」
 店員や、当時店内にいたオーナーの善意だと思う。
 でも、とてもありがたかった。レトルトの離乳食はどうしても冷たいままになってしまうが、この日は、温かい離乳食を食べさせることができた。

 先に書いておく。
 日本では、これはNGだろう。私は、日本に帰って外食する時には、こんな依頼はしない。こんな依頼をしてまで外食が必要なわけではない。それに、マナーや常識とされるものがあるから、私たち自身が快適に外食できる時も少なくない。

 これは、子ども、特に赤ちゃんへの関心が非常に高い中国ならではの価値観で、日本のそれとの違いだと、しみじみと感じている。中国と日本、どちらにも、その価値観や習慣が根付く背景や理由が、きっとあるのだと思う。  
 中国での「普通」が、日本での「普通」ではない。その逆もまたしかり。


 最後に、本題に戻りたい。
 では、中国では、子ども、特に乳児入店不可という飲食店は、どれぐらいあるのだろうか。
 これを確認するには…とりあえず、臆せず街に出かけてみるしかない。
 
 そして、語学力の無さに加え、子どもが二人いると、私単独での夜間の外出は簡単ではないのだが…もしできることなら、「子ども入店不可」の店を見つけて、こちらでできた友人たちと、行ってみたいなと思う。