実は薬膳ドリンク? 「お屠蘇」で一年の始まりを迎えましょう
いよいよ1年も終わりに近づいてきて、来年の準備を始めている方もいらっしゃるかと思います。
お正月といえば、「おせち」
そして「お屠蘇(とそ)」。
独特の味わいにお好みが分かれることとと思いますが、そもそも、どうしてあのようなお酒をお正月に飲むようになったのでしょうか?
お屠蘇とは?
お屠蘇は一年の無病息災を願って飲む特別なお酒で、屠蘇散(とそさん)と呼ばれる数種類の生薬を配合したものを、日本酒やみりんに漬け込んだ薬草酒です。
古代中国の華陀(かだ)という名医が厄除けのために生薬をお酒に浸して飲んだのが始まりと言われています(この華陀先生は、現在も薬局で買える「華陀膏(かだこう)」という、水虫などに使う軟膏の生みの親でもあります)。
「屠蘇」という言葉は、諸説ありますが、「屠」の文字が「ほふる(殺す)」という意味があり、「蘇」は「よみがえる」であるので、大まかには「邪気(悪いもの)を追い払い、新たな魂を蘇らせる」といった解釈が一般的のようです。
屠蘇散に使われる生薬はメーカーによって異なりますが、一般的なものはこちらです。
一般には手に入れることが困難な材料が多くありますので、薬局等で屠蘇散を購入してみりんや日本酒に半日漬けこむこととなります。
手に入れやすい材料で自家製お屠蘇に挑戦!
先に述べたように、屠蘇散の材料を全て自分で揃えるのは困難です。
では、似たような効能をもつ一般的な食材でオリジナルの屠蘇散を作ってみてはいかがでしょうか?
下記は筆者の考えた材料一例です。
作り方
1.みかんの皮1個分を乾燥させ、手でちぎります。
2.大根1㎝ほどを皮をむかずにいちょう切りにし、ざるなどに広げて乾燥させます。
3.全ての材料をお茶パックに入れ、本みりんか日本酒、または両方を混ぜたもの300㎖に浸し、一晩寝かせます。
みりんの分量が多いほど甘味が強く、日本酒の分量が多ければすっきりとした味になります。
出来上がりの味わいは各々のお好みによるところとなりますが……市販の屠蘇散以外も試してみたいという方、いかがでしょうか?
従来のお屠蘇でも自家製アレンジお屠蘇でも、一年の始まりに無病息災を願って飲むことは変わりありませんので、今まであまりお屠蘇を飲まずにいた方も、今度のお正月にはお試しいただけたらと思います。
今年も一年、漢方・薬膳コラムをお読みいただきましてありがとうございました。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。
この記事を書いてくれた人:古橋 智子(漢方・薬膳・保存食講師)
漢方上級スタイリスト、養生薬膳アドバイザー、中国茶アドバイザー、かんぶつマエストロ。薬日本堂漢方スクール、長谷園 東京店 igamonoなどで講座を担当。20代より保存食作りに親しみ、数々のレシピを考案。素材の旬だけでなく、一人ひとりの体質や体調に合った保存食を提案したいという思いから漢方、薬膳を学ぶ。
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