【FONT MORE③】制定書体
こんにちは！株式会社 form and craft です。今回も、弊社内で実施している学びのプログラム「フォームアカデミー」について記録していきます。（アカデミーの目的や今までの活動についてはこちらをご覧ください）
「フォント強化月間」を通してベーシックなフォントについて学んできたので、
さらにフォントについて視野を広げるため番外編として「FONT MORE」と題し、社員4名に「中華系フォント」「代替フォント」「インディーフォント」「コーポレートロゴ、制定書体」についてそれぞれ解説してもらいました。
今回は「制定書体」についてお送りします。
制定書体
制定書体とは「コーポレート・アイデンティティ（CI＝Corporate Identity）*」を構成する要素の一つで、独自の専用書体を作ることにより、企業のあらゆる活動において、一貫した印象を保持するために管理・運用されるフォントを制定書体（コーポレートフォント）と呼びます。
欧米では一般的で多くの企業が取り入れていますが、国内では日本語の漢字・ひらがな・カタカナなど文字数の多さからまだまだ壁があるようで、かな文字のみ、あるいは日本語フォントを指定するだけが現状のようです。
今回はそんな制定書体を導入している、2つの企業の事例を紹介できればと思います。
※コーポレート・アイデンティティについては、こちらの記事に詳しく書いてありますので、是非ご覧ください。
資生堂グローバルイノベーションセンター S/PARK
一つ目の「資生堂グローバルイノベーションセンター S/PARK」は、クリエイティブエージェンシーのkontrapunktが手掛けており、資生堂の「S」をモチーフにロゴや書体・ピクトグラムもオリジナルで開発しています。
ロゴや書体からは「S」の湾曲のニュアンスを取り入れてるのが分かりますよね。
施設全体で使用されている、ロゴや書体などが統一されているので施設の総合的なイメージに一貫性を与えています。
書体を統一するだけで、資生堂のコーポレートロゴから受けるイメージが、写真からでも施設の雰囲気や印象が感じられます。
Helmitage Hotel
二つ目のアメリカにある「Helmitage Hotel」は、ニューヨークにあるクリエイティブスタジオ「Mucca」が手掛けており、リニューアル前の書体はUniversity Romanを使用していました。
MuccaはHelmitage Hotelのリブランディングにあたり、「University Romanには、目立つことを恐れない文字（またはグリフ）がいくつかあり、私たちはカスタム書体を作るにあたって、実際にそのような感情に惹かれました。」と語っており、University Romanをsans serif displayの書体として再考し、すべての魅力と目新しさを保持しながら、それを現代っぽくし、ユニークなものを開発しました。
カスタム書体とは別に、ブランド変更にあたり明るい黄色を取り入れました。
歴史の背景としては、1910年にナッシュビル初の100万ドル規模のホテルとしてオープンしたハーミテージホテルは、米国で女性の参政権を勝ち取るための数十年にわたる戦いで重要な役割を果たしました。活動家や改革派がその権利を勝ち取るのに 100 年近くかかり、キャンペーンは容易ではありませんでした。しかし、1920 年 8 月 18 日、憲法修正第 19 条が最終的に批准され、すべてのアメリカ人女性に権利が与えられ、女性は男性と同様に、市民権のすべての権利と責任に値すると初めて宣言されました。
最終投票に至るまで、Helmitage Hotelには両側の赤いバラを飾った批准反対派と黄色いバラを身に着けた参政権論者の運動家でいっぱいだったらしいんですが、最後は黄色いバラを身に着けた参政権支持者がわずかな差で勝利しました。
こういった歴史の背景を知ると、色々と面白いですよね。
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今回は制定書体について紹介しました。
制定書体を取り入れることで、アイデンティティが確率され、他の企業やブランドと差別化ができます。上記の事例の写真を見ても分かる通り、施設や販促物にも入ってると、一貫した印象を与えますよね。
また、歴史の背景を知ると、ロゴや書体に込められたデザイナーの意図が分かるので、そういった視点で見るのも面白いかもしれません。
これまでの「フォント強化月間」でご紹介した知識も活かすことができると思いますので、よかったらこちらの記事もご覧ください！
https://note.com/form_and_craft/n/n47fe7bbb94f0
それでは、次回の投稿もお楽しみに！
text：GOTO