【FONT MORE②】中華系フォント
こんにちは!株式会社 form and craft です。今回も、弊社内で実施している学びのプログラム「フォームアカデミー」について記録していきます。(アカデミーの目的や今までの活動についてはこちらをご覧ください)
「フォント強化月間」を通してベーシックな書体について学んできたので、
さらに書体について視野を広げるため番外編として「FONT MORE」と題し、社員4名に「中華系フォント」「代替フォント」「インディーフォント」「コーポレートロゴ、制定書体」についてそれぞれ解説してもらいました。
今回は「中華系フォント」についてお送りします。
中国語の文字体系について
中国語は使用される国や地域によって「繁体字」と「簡体字」の2種類に分類できます。
繁体字は台湾、香港、マカオなどで使用され歴史的にも古く、伝統的な字体です。
画数が多くてかなり複雑な字体なのですが、こちらを簡略化したものが簡体字になります。
簡体字は中国大陸のほか、シンガポールやマレーシアなどで使用されています。
1950年代の文字改革によって漢字の簡略化が推進された結果、中国を中心に広まったようです。
中華系フォントの分類について
中華系フォントは明朝体、ゴシック体と同じように、メインとして「宋朝体」、「仿宋体」、「楷書体」と「黒体」に分類できます。
上記の画像の通り宋朝体(仿宋体)は明朝体に、黒体はゴシック体に対応しています。
宋朝体と仿宋体について
宋朝体と仿宋体は名前も形状もよく似ているのですが、実は全く異なるフォントです。
宋朝体は、
・中国の「明」朝時代(1368年から1644年)に「宋」朝時代(960年から1279年)の刻本を模倣して作られた。
・木版印刷用の印刷書体である。
・ふところが狭く、重心が低い。
対して仿宋体は、
・1916年にデザインされた。
・宋朝体に欧文体の特徴を組み合わせた書体である。
・活版印刷用の印刷書体である。
・ふところが広く、重心が高い、ちょっと斜め。
仿宋体は宋朝体の発展系であることがわかりますね。
仿宋体と宋朝体の違いについては下記のサイトを参考にさせていただきました。
引用:https://zhuanlan.zhihu.com/p/66725620
フォントの開発について
中華系フォントはとても開発しづらいフォントで、様々な要因によって開発が遅れており、現在の中華系フォントの数は約2000個未満となっております。
開発がしづらい要因として以下が挙げられます。
・漢字の数が多い!
中国語はとにかく漢字の数が多く、開発に時間を要します。繁体字も含めると字体の数は1万3000種類にものぼります。
・漢字の各部分を使い回すことができない
漢字の多くは、同じの部首やつくりの並びによって一つの漢字として表すことができますが、中国語は漢字によって部首の形状が異なるため、字体ごとに部首も含めて開発しなければなりません。
・フォントの微妙なバランス調整
中国語と日本語では、それぞれの歴史的背景から漢字の形状が若干異なります。そのため日本からフォントを導入する際には、同じ漢字でも1つ1つの漢字にリデザインを要することが多くありました。例えば過去、筑紫明朝体を導入した際には、部首やつくりの並び、余白などの微妙な調整を行う必要がありました。
フォント開発会社
最後に中華系フォントの代表的な開発会社について紹介します。
・方正フォントライブラリー(中国)
中国で最初にフォントを開発した専門メーカーであり、中国最大のフォントサプライヤーです。最も有名なフォントは、マイクロソフトの依頼を受けて制作したマイクロソフトブラックです。
・ダイナフォント(台湾)
1987年に設立された世界初の楷書体メーカーです。主にデジタルフォントの開発に取り組んでおり、マイクロソフトやappleのシステムフォントを手掛けています。
・MONOTYPE(香港)
MONOTYPEは1987年創業で、1万以上のフォントを所有しています。
代表的なフォントは、中国の有名なオンラインショッピングブランド、アリババのフォントなどです。
普段あまり使用しない中華系フォントですが、世界で使用する人口割合がかなり多いため、グローバル化が進む現代においては今後必須となる可能性もあります。
いざという時に備え、今から中華系フォントについてインプットしておきたいところです!
これまでの「フォント強化月間」でご紹介した知識も活かすことができると思いますので、よかったらこちらの記事もご覧ください。
それでは、次回の投稿もお楽しみに!
text:FURUTA
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