カウンターが好き という話
選べるなら、カウンター席が好き。一人でも、二人でも。二人でカウンターが好きな理由は、真正面が恥ずかしかったり、横に二人いつもより近くに座る距離感が嫌いじゃない というのもあって。
一人だとなおさら。
人数以上の席を占拠するのに気が引けてしまうし、何よりも私はプロの仕事や仕草を見るのが大好きだから。
私は、それをずっと繰り返して身についたであろう動きや仕草の跡みたいなものがとても好き。見つけて嬉しくなってしまう。思わず見つめてしまう。
お寿司屋さんで、板前さんの飾り切りを。
ビストロで、テリーヌの仕込みを。
バーでは鮮やかなシェイカー捌きを。
(子供みたいな目で見つめてしまうらしく、よく目の前に持ってきて下さったり一口いただいてしまうことも)
右だけペダルの跡のよく付いたピアニストさんの右足の靴、矯正のワイヤーに細かい細工するときの歯医者さんの首の傾け方 とかも、その人が表れるようで。
今日、ずっと行きたかった喫茶店のとびらを開いてみた。地域では老舗で、名物マスターが亡くなられてなおロマンスグレーの奥様が丁寧に仕事をされる というお店へ。
迷わずカウンターに着席して、オーダーしたら壁一面のカップアンドソーサーから1つを選ぶ。奥様は丁寧に棚から下ろしたそのカップを洗い、豆を選び、挽いているうちにお湯を入れて器をあたためる。
ドリッパーにお湯を注ぐ仕草。
この方はこの動作を何回やってきたのかな。
桁の検討も付かないくらい、きれい。
入れるときに口角が上がるのも、とてもチャーミングな癖。
道具に、仕草に、そのお店が表れる。これは新しいものでは決して表すことが出来ない。
私はそういうものを愛してやまない。
選んだのは、裏を確認したところ私がまだ小さい頃に作られたウェッジウッド。
棚にはインペリアルポーセリン、ニッコー、柄からして砥部焼の何か 恐らくご主人と奥様が選んだ様々なカップが並ぶ。
次は、どのカップで何を飲もうかな。
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