私と、東京という街について
東京に住むようになってもう10年以上になるけれど、生まれてから高校を卒業するまで私が暮らしたのは、殆ど過疎に近いような穏やか極まりない、言い方を替えればただ只管に退屈な地域だった。東京は果てしなく遠いというか存在しないに等しくて雑誌に乗っている素敵なお店のマップは読み飛ばしていた。
CDショップに並ぶのはランキングに入るようなものが殆どの中、高校生のわたしは一つ歳上の先輩に教えてもらった少しマイナーなあるバンドを好きになり、CDを少しずつ買っては歌詞カードの文字を追い、CD