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犬はお米を食べてもいいの?食べるべき?

犬の飼い主がよく質問することの一つに「犬はお米を食べても大丈夫ですか?」があります。
犬がお米を消化できるのは確かですが、それが必ずしも最良の選択というわけではありません。

つまり、犬がお米を食べられるからといって、必ずしも食べるべきだというわけではないのです。

お米は、特に消化不良の時によく犬に与えられますが、犬に必要な重要な栄養素が不足しており、あまりにも頼りすぎると健康問題を引き起こすことがあります。

ここでは、犬にお米を与えることについて知っておくべきこと、そして代わりにすべきことをすべてお伝えします。

なぜご飯は犬に良くないのか?

お米は何千年も前から栽培されている古い穀物の一つで、今でも世界中で何十億人もの人々にとって主食となっています。しかし、お米は安価で人間には簡単に準備できるものの、犬にとっては栄養価が限られています。

お米の主成分は炭水化物であり、犬の健康により重要なタンパク質、脂肪、そして微量栄養素が不足しています。

白米と比べると、玄米はぬかや胚芽が残っているため、食物繊維やマンガン、少量のビタミンB群が含まれており、健康的だと考えられています。しかし、玄米でも、動物性タンパク質や卵、葉物野菜のような栄養豊富な食材に比べると劣っています。

一方、白米は精米の過程でほとんどの栄養素が失われるため、ビタミンやミネラルが少なくなっています。時々栄養が添加されることもありますが、白米は犬の食事にほとんどメリットをもたらしません。

もし犬にもっと健康的な炭水化物源を探しているなら、さつまいもや葉物野菜の方がはるかに有益です。これらの食材はエネルギーだけでなく、犬の全体的な健康をサポートするために必要なビタミン、抗酸化物質、食物繊維も含んでいます。

例えば、さつまいもにはベータカロテンと食物繊維が豊富に含まれており、ほうれん草やケールのような野菜は、ビタミンA、C、Kに加えて、カルシウムや鉄分の豊富な供給源となります。

お米が犬のタウリンレベルに悪影響を与える可能性

お米には多くの必須栄養素が不足しているだけでなく、研究によると犬のタウリンレベルを低下させる可能性があることも示されています。
タウリンは、犬の健康な心臓機能、視力、繁殖を維持するために必要な重要なアミノ酸です。

研究によると、お米を多く含む食事、特にラム肉と組み合わせた場合、タウリンのレベルが低下し、欠乏の可能性があることがわかっています。この欠乏は特に注意が必要で、タウリン不足は犬における拡張型心筋症のような心臓の疾患と関連しています。

そのため、犬の食事にご飯を多く取り入れると、長期的には心臓の健康にリスクをもたらす可能性があります。

犬はご飯を消化できるのか?

犬にはお米を消化する生理的な能力がありますが、その過程はタンパク質や脂肪の消化とは大きく異なります。

人間は唾液中の酵素アミラーゼでお米のような炭水化物を分解し始めますが、犬はアミラーゼを膵臓でしか生成しません。つまり、犬もお米やその他の炭水化物を消化できますが、それは犬の体がエネルギーを処理する主要な方法ではないということです。

犬の祖先の食事は主に動物性タンパク質と脂肪が豊富で、これらをはるかに効率よく代謝します。そのため、お米から得られるエネルギーはあまり多くなく、頻繁に摂取すると問題を引き起こすこともあります。

下痢の犬にお米は良いのか?

多くの獣医やペットの飼い主は、下痢をしている犬にご飯と茹でた鶏肉のシンプルな食事を勧めます。しかし、ご飯は胃に優しいものの、最も効果的な選択肢ではないかもしれません。
お米は消化しやすく、短期的には便を固めるのに役立つことがありますが、消化器の健康や回復に必要な栄養素が不足しています。

お米を下痢の治療に使う問題点は、胃腸の不調の原因である炎症や細菌のバランスの崩れを解決しないことです。ご飯は、犬にとってほとんど空のカロリーを与えるだけです。さらに、ご飯は速く糖に分解されるため、特に炭水化物の消化に問題がある犬の場合、腸の健康をさらに悪化させることがあります。

下痢の犬には、カボチャのような食物繊維と栄養が豊富な食べ物を与える方が良いです。カボチャには水溶性食物繊維が豊富に含まれており、消化管内の余分な水分を吸収して便を固め、食べ物が腸を通過しやすくなります。また、ビタミンA、C、Eが豊富で、抗酸化物質も含まれており、炎症を起こした腸を落ち着かせるのに役立ちます。

もう一つの代替案として、消化器系を癒しながら水分補給を促すために特別に作られたブロスやスープを与えることが考えられます。

犬にお米を与えるリスク

お米と糖尿病のリスク

犬にお米を定期的に与えると、インスリン抵抗性が高まり、時間とともに糖尿病のリスクが増加する可能性があります。ご飯は炭水化物が多く含まれており、消化器で急速に糖に分解されるため、血糖値が頻繁に急上昇します。

最終的には、糖尿病につながる可能性があり、この病気は一生にわたる管理が必要になります。特にご飯を多く含む高炭水化物の食事は、太り気味の犬や運動不足の犬にとって危険です。これらの犬は、余分な糖を効率よく処理できないためです。

お米は糖尿病だけでなく、犬の肥満の原因にもなり、インスリン抵抗性をさらに悪化させます。肥満になると体に余計な負担がかかり、インスリンが効果的に血糖値を調整する能力が低下します。

多くの市販のドッグフード、特にドライフードには、お米がフィラー(かさ増し)として含まれており、炭水化物の負担が増えます。犬は本来、タンパク質や脂肪が豊富な食事に適しており、消化器系はご飯のような大量のデンプンを処理するように作られていません。長期的に見ると、これが糖尿病や体重増加といった慢性的な健康問題として現れることがあります。

ヒ素汚染

犬にご飯を与える際のもう一つの大きな健康問題は、ヒ素汚染のリスクです。

お米は特にヒ素を環境から吸収しやすく、洪水状態の水田で育てられるため、汚染された水が土壌に毒素を浸透させることがあります。この汚染は、主に農薬や除草剤、肥料の使用、さらには鉱業や精錬作業からの排水による広範な環境汚染が原因です。

ヒ素は有害な元素で、お米を頻繁に食べると、犬の体内に少しずつ蓄積される可能性があります。

長期間にわたってヒ素にさらされると、がんや心臓病、神経へのダメージなど、さまざまな深刻な健康問題を引き起こすことがあります。犬が少量でもヒ素を長期間摂取し続けると、これらの問題が起こる可能性があり、特にご飯を多く含む食事を常に与えている場合には注意が必要です。

犬の長期的な健康を心配している飼い主にとって、お米を避けて、より安全で栄養価の高い食材を選ぶことが賢明な選択です。

市販のドッグフードにご飯が使われる理由は?

お米が市販のドッグフードによく使われるのは、犬に大きな健康効果をもたらすからではなく、安価なフィラー(かさ増し)として商品を増量するためです。お米は安価で入手しやすく、加工が簡単なため、ペットフードメーカーが大量のフードを低コストで生産し、価格を抑えるのに適しています。

残念ながら、お米には犬が健康に過ごすために必要な多くの栄養素が不足しています。ドッグフードにご飯が含まれるのは、肉、魚、卵といった質の高いタンパク質源が不足しているのを補うために使われることが多いです。

ドッグフードに含まれるご飯の大きな問題の一つは、遺伝子組み換え作物(GMO)の使用や合成添加物の存在など、さまざまな追加の懸念が伴うことです。

市販されているご飯のほとんどは遺伝子組み換えされており、農薬や除草剤が大量に使われています。これらの化学物質は犬の腸内細菌を乱し、消化器系の問題や長期的な健康リスクを引き起こす可能性があります。

さらに、お米には犬が必要とする完全な栄養素が含まれていないため、メーカーは不足分を補うために合成ビタミン、ミネラル、アミノ酸を添加することがよくあります。しかし、これらの合成栄養素は、自然由来のものに比べて犬の体に吸収されにくく、時間が経つにつれて栄養バランスの崩れを引き起こす可能性があります。

犬は生のお米を食べても大丈夫?

生のお米は犬にとって消化できず、ほとんど栄養価を提供しません。生の米粒の硬い外皮は犬の消化器官で分解しにくく、そのため食べたご飯は消化されずに便にほぼそのままの形で現れることが多いです。

調理されたご飯とは異なり、生のご飯は加熱過程で柔らかくなったり分解されたりしないため、実際にはほとんどメリットがありません。さらに、生のご飯が消化管を通過する際、膨満感やガスなどの消化不良を引き起こすこともあります。

では、お米は犬にとって安全なのか?

結論として、犬はご飯を消化できるものの、それは決して理想的な食べ物ではありません。

ヒ素汚染のリスク、インスリン抵抗性のリスク、そしてご飯の栄養価の低さを考えると、犬に日常的に与える食べ物としては理想的とは言えません。

お米は市販のドッグフードや手作りの食事によく使われますが、ほとんど空のカロリーしか提供せず、肥満や糖尿病などの長期的な健康問題を引き起こす可能性があります。

お米の代わりに、より健康的で安全な選択肢として、栄養価の高い赤身肉、魚、野菜、果物などがあります。これらの食品は、犬が最適な健康を維持するために必要なタンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルを提供し、ご飯に関連するリスクを回避することができます。

よくある質問(FAQ)

犬にはどれくらいの量のご飯を与えても大丈夫ですか?
犬は少量のご飯を時々食べても問題ありませんが、それは食事全体のほんの一部にすべきです。ほとんどの犬にとって、血糖値を安定させるためには、ご飯よりも赤身のタンパク質や栄養価の高い野菜を優先するのが良いです。

調理したご飯は犬にとって良い食べ物ですか?
犬は白ご飯やジャスミンライスのような調理されたご飯を食べることができますが、栄養価は限られており、血糖値を上昇させる可能性があります。バスマティライスや玄米は選択肢になりますが、赤身のタンパク質が豊富なグレインフリーダイエットの方が犬にとっては健康的な選択です。

犬にとって有害な食べ物は何ですか?
チョコレート、ブドウ、玉ねぎ、などの特定の食べ物は、犬に有害な反応を引き起こし、深刻な健康問題を引き起こすことがあります。グレインフリーの食事に焦点を当てたドッグフードブランドは、これらの有害な成分を避けることが多いです。

ご飯は犬にとって消化しにくいですか?
調理されたご飯は、ほとんどの犬にとって消化しやすいですが、白ご飯を頻繁に与えるなど、ご飯に頼りすぎると、犬の胃を不調にさせたり、栄養バランスを崩すことがあります。特に糖尿病の犬は、血糖値の急上昇を防ぐためにご飯を避けるべきです。そのため、糖尿病の犬にジャスミンライスや白ご飯を食べさせるのは避けた方が良いでしょう。

今回の資料はアメリカの犬の雑誌”Dog Naturally”からです。


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