「怒りは絶望に勝る」というターミネーター3の言葉の深い意味
フォレスト出版編集部の寺崎です。
「抵抗」
「抗(あらが)う」
この言葉を聞いて、あなたはどんな印象を持ちますか。
権力に抗う。
差別に抗う。
偏見に抗う。
これまで、われわれ人類には、時代の節目において「抵抗」してきた歴史があります。アメリカの独立戦争やフランス革命を民主主義の歴史的ルーツとして位置付けるならば、その実現理念として掲げられたのが、英・哲学者ジョン・ロックにより提唱された「抵抗権」であり「革命権」です。
そんな過去に「抗ってきた人々」の礎の上に私たちは生きています。
■■抵抗するなんてダサい■■
■■抗ってもムダという風潮■■
では、現代に生きる私たちははたして、この「抵抗権」「革命権」「反抗権」を行使できているでしょうか。
昨今の政治家の不祥事に対して。
社会のあらゆる局面における不条理に対して。
「どうせ、聞き入れてもらえない」
「言うだけムダ」
「そもそも反抗するなんてダサい」
そんな風にあきらめていないでしょうか。
怒ること、抗うことを忘れていないでしょうか。
一般的には「怒りはよくない」といわれます。
キリスト教の聖書でも「怒り」の感情は戒められるよう書かれています。
しかし、怒りを封印した先には「絶望」しかないという気がします。
イエス・キリストがなんと言おうと、怒りや悲しみをもって抗うことで、この世界は、今日よりも明日、よくなる。
そう信じることはできないでしょうか。
「怒りは絶望に勝る」
これは映画『ターミネーター3』で主人公のジョン・コナーが絶望しかけたとき、旧型ターミネーター役のアーノルド・シュワルツネッガーがジョン・コナーにかけた言葉。
そんな「抵抗することを忘れてしまった時代」に「抗って、自分らしく生きる道を探ろう」という強いメッセージが込められた新刊が出ました。
■■22年前に下された死刑判決■■
1998年(平成10年)7月25日に起きた、そののち「和歌山カレー事件」として知られる事件をご存じでしょうか。
和歌山県和歌山市園部地区で開催された夏祭りの会場で、提供されたカレーを食べた67人が吐き気や腹痛を訴えて病院に搬送され、4人が死亡した事件です
当初は食中毒だと思われていたものの、そののちの調査で毒物のヒ素が混入されていたことが判明。
事件から数か月後の10月4日に、元保険外交員・主婦の林眞須美氏が夫の林健治氏とともに逮捕されました。保険金詐欺の犯歴を理由に逮捕され、その後、殺人及び殺人未遂容疑で再逮捕、起訴。
眞須美氏は一貫して容疑を否認していますが、2002年12月11日に死刑が言い渡されました。
■■いま、この瞬間も抗い続ける■■
■■あの人に話を聴きに行った。■■
ところが、この事件に関する裁判には大きな問題があることが、のちの検証により明らかとなってきました。
【疑念点1】
直接証拠がなく、状況証拠の積み重ねだけで有罪となっている点。
【疑念点2】
そもそも犯行動機が不明瞭。
つまり、冤罪の可能性がきわめて高く、死刑が確定した林眞須美氏はいまなお無罪を主張し続けています。
一方、林夫妻のもとに生まれた4人の子どもたちは、その後どうなったか。
児童養護施設で壮絶ないじめを受け、結果的に離散。長女は2021年6月9日に自死しました。
そんななか、事件当時11歳だった長男だけが、職場や友人に身分を隠しながら、無実を訴え続ける母親と面会を続けています。
そんな彼の「抗い続けるさま」を克明に描写すべく、彼の地元である和歌山でロングインタビューを決行することにしました。
「絶望」せずに「抗い続ける」。
本書の後半は、その貴重な記録です。
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