算数ドリルのレイアウト(組版)は難易度MAX
先日、小学生向けの算数ドリルが校了し、見本が仕上がりました。
こちら、タカタ先生『小学生のためのバク速!2ケタ暗算ドリル』です。
ドリルをつくったのは今回が2回めです。
1回めは、今回と同じくタカタ先生『小学生のためのバク速! 計算教室』(現在7刷!)。
当初、私はドリルの編集を舐めていました。とくにレイアウト。算数のドリルって数式が整然と並んでいますし、書き込むことが前提なので余白が多いですよね。デザインフォーマットどおりに流し込めば、それっぽくなるだろうと、なんとなく思っていました。
私はDTPもしている編集者。棒組の本だけではなく、ビジュアルにもこだわった本もレイアウトしてきました。したがって、ドリルくらい余裕、という態度だったのです。
どっこい、これがものすごいカン違い。
算数ドリルのレイアウトはメチャクチャたいへんなのです!
というのも、数式はフォーマットに流し込めば自動的にレイアウトされるわけではなく、「図版」としてつくらなければならないからです。
たとえば、「13×19=□」という問題の解を筆算で表現しようとしたとしましょう。このnote上で表現してみると……、以下のようにブサイクになってしまいます。
13
×19
――――
117
13
――――
247
行間のアキが不自然ですね。オジサンがWordでスペースを多用してレイアウトするのと同じ感覚です。(この記事はパソコンで書いていますが、スマホで見ると、形がもっと崩れているかもしれません)。
分数はどうでしょう?
1
――――
23
「1/23」というテキストを流し込めば、勝手に分数表記になるわけではありません。もちろん、InDesignには分数の機能があるのですが、書体に依存したり、分数の数に限りがあったり、Q数の調整も難しい。「1/2」だったとしても、いちいち作字しなければなりません。
小学生の算数ならまだしも、数学の複雑な数式ともなれば、地獄のような作業になるでしょう。
(数式が得意な業者さんや特別なソフトがあったりするようですが、単価が高いようなので、お願いできません)。
私はドリルをつくるにあたって、学参の専門版元さんの算数の本を買ったのですが、スッキリとした、凛としたレイアウトだと感じたものです。
その裏には、とても複雑で丁寧な作業があったことが、今ならわかります。
というわけで、何が言いたいかというと、苦労して編集したので、売れてほしいなあ、ということでした。
(編集部 い し ぐ ろ )