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「オルカン一択は危険」と言われる根本理由【前編】

フォレスト出版編集部の寺崎です。
 
新NISAでいま一番売れている投資信託といえば「オルカン」です。
 
正式名称は「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」。
※「イーマクシススリム」と呼びます。
 
米国株式で運用する投資信託であるS&P500(通称・エスピー500)と並んで大人気のオルカンですが、それもそのはず。
 
この2つの商品、過去の年平均リターン率がハンパないからです。

以下『50歳ですが、いまさらNISA始めてもいいですか?』(鬼塚祐一・著)から抜粋して引用しながら、なぜ「オルカン一択」がヤバいのか、解説いたします。


オルカン・S&P500のすさまじいリターン率

 50代以降は投資をするべきでないという意見を持っている人がすすめている銘柄は、たいていS&P500オールカントリーという2つの投資信託です。確かに、50代以降の人がこれらだけを買って資産形成をするのは、あまりおすすめできません。
 S&P500とは、米国株式で運用する投資信託の1つです。
 一方、オールカントリーは、全世界の株式で運用する投資信託の1つで、オルカンと略されることがあります。どちらも長期的に見ると高いリターンが期待できる投資信託だと言われています。
 どれだけ高いリターンが得られるのかというと、次の図18をご覧ください。上がS&P500、下がオールカントリーになります。

 過去30年間のリターンを見てましょう。
 表の一番右側、30年の年平均のリターンのところをご覧ください。プラス
11%と書いてありますよね。これは、どういう意味かというと、S&P500の過去30年間の年平均リターンが11%だったということです。
 第1章で年利6%で資産が増えていったらどうなるかというシミュレーションをお見せしました。
 6%でもかなりの増え方をしていたのに、年利11%というのはすさまじい数字だと思いませんか? オールカントリーのほうを見ると、30年間で年平均8・7%と書いてあります。これもかなりすごい数字です。
 現在、多くの銀行の金利はなんと年0・002%しかありません。1年間お金を預けてもそれだけしか増えないのです。それに対して、S&P500は11%、オールカントリーは8・7%ですから、前者は銀行の金利の5500倍、後者は4
350倍ものリターンが得られる
ということになるのです。

鬼塚祐一『50歳ですが、いまさらNISA始めてもいいですか?』より

S&P500が銀行の金利の5500倍、オルカンは4350倍ものリターンって、すさまじいですね(逆に銀行金利がしょぼすぎますが)。

そうなると「オルカン、S&P500一択でしょ!」「全額突っ込め!」となるかもしれません。
 
・・・でも、ちょっと待ってください。
 
投資信託と銀行の定期預金には大きな違いがあります。
 
それは・・・投資信託には元本保証がない点
 
つまり、投資したお金が大幅に減ってしまうリスクがあるのです。増えるときはガッと増えますが、相場が暴落した場合は、元本割れを起こしてしまう可能性があります。

リーマンショックがキタ――(゚∀゚)――!!⇒60%の下落を取り戻すために必要なリターンは?

 S&P500やオールカントリーには、どれだけのリスクがあるかご存じでしょうか? 例えば、2008年にリーマンショックという金融危機がありました。
 100年に一度の金融危機と呼ばれるほど大きな危機でした。
 その当時、リーマンショックで、S&P500とオールカントリーがどれだけ下落したかというと……なんと約60%も下落してしまったのです。
 仮に、S&P500に1000万円投資していたとしたら、60%も価格が下落して
しまったので損失は600万円です。つまり、あなたの資産は400万円に減ってしまうということです。
 ではこの60%の損失を取り戻すには、どれくらいのリターンが必要だと思いますか?

「60%の損失を取り戻すんだから、60%のリターンが必要なんじゃないの?」

 このように思ったかもしれません。でも、それは大間違いです。
 実は、60%の下落を取り戻すには、60%のリターンでは足りません。
 最初に1000万円だったものが60%下落して400万円になってしまったわけですから、400万円に対して60%のリターンがあったとしても、利益は240万円にしかなりません。
 400万円に240万円の利益を足しても640万円にしかなりませんよね。全然、元の1000万円には届きません。100%のリターンがあっても400万円と利益の400万円を合わせて800万円ですから、まだ足りません。
 では、400万円を1000万円に戻すために必要なリターンは何%なのか?
 それは、なんと150%ものリターンが必要になります。
 150%で600万円の利益ですから、400万円と600万円を合わせて1 0 0
0万円です。これで、ようやく元に戻ります。
 つまり、60%の価格の下落を元に戻すには、150%のリターン、言い換えると2・5倍に増やさないといけないということです。これが理解できると、リーマンショックの60%の下落というのが、いかに大きなリスクだったのかということがお分かりになると思います。
 S&P500やオールカントリーのような商品には、こうした大きなリスクが潜んでいるのです。

鬼塚祐一『50歳ですが、いまさらNISA始めてもいいですか?』より

ここまでお読みいただいて「たしかに、オルカン、SP500の一括投資はヤバいかも」とおわかりいただけたのではないでしょうか。

じつは、さらにヤバい話があるのです。続きは後編で。

後編(5/20投稿)に続く


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