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なぜ、「えーっと」とが出てしまうのか?

スピーチや面接などで頻出する〈えー〉や〈あー〉。
「えー、本日はお日柄もよく、あー、ますます……」のアレです。
少し出るくらいならまったく気になりませんが、これが頻出すると耳に障ります。「えーあー人間は落とす」という面接担当者もいるほどです。
あなたの仲間や会社の中にも、〈えー〉や〈あー〉を頻出する人が1人や2人、思い浮かべているのではないでしょうか。あるいは、これを読んでいるあなたが当事者かも……。
このようなスピーチや会話に頻出する〈えー〉や〈あー〉などの無意味な言葉を「フィラー(Filler)」というそう。
「Fill」が「詰める」、「er」は「するもの」を意味する接尾辞。すなわち、「詰め物」「充填剤」「つなぎ」「緩衝材」といった意味を持つ英単語であり、単語や文節、文章の「合間に挟み込む言葉」を幅広く指すそうです。

「緊張してそう」「考えがまとまってなさそう」「自信がなさそう」「口下手そう」……。さまざまなマイナスな印象を相手に与えるこのフィラーをなくす方法はあるのでしょうか?
『スピーチや会話の「えーっと」がなくなる本』の著者でスピーチトレーナーの高津和彦氏は著書の中で次のように語ります。

「探そうと思えばいくらでも出てくるでしょう。おそらく原因の一つひとつを虱潰しにしていけば、フィラーは出なくなるのでしょうけれど、それでは膨大な時間がかかってしまうこともあり、あまり現実的ではありません」

緊張を解いたからといって考えがまとまっていなければフィラーは出るし、考えがまとまっていても緊張していたら、やはりフィラーは出る。こっちを叩けば、あっちが出てくるという、まるでもぐら叩きのようにきりなく原因に対処しなければならないということです。

「注目すべきは、その『もぐら』が出てくるメカニズムです。メカニズムさえ知ることができれば、このあとに顔を出すであろうフィラーの原因も予想でき、未然に防ぐことができるからです」

高津氏によると、フィラー発生のメカニズムは「心(感情・性格)」「思考」「声」を動力源としたものだといいます。
「心(感情・性格)」「思考」「声」の3つが同期し、安定して働いていればフィラーは出るが、このうちの1つでも不具合が発生すれば、メカニズムに不均衡が生まれ、フィラーを発生させてしまうのです。
「心(感情・性格)」「思考」「声」は、それぞれ次のように定義しています。

心(感情・性格):喜怒哀楽、驚き、不安、プレッシャー、羞恥心、あがる、自己肯定感、引っ込み思案、目立ちたがり屋などさまざまな感情や性格が支配する要素。
思考:自分の意見をまとめたり、話す内容や順番を整理する。また、言うべきこと・言うべきではないことを判断する要素。
声:発声、声量、歯切れの良さ、滑舌をコントロールする要素。

そして、フィラーが絶対出る状況というのは次のような場合とのこと。

フィラーが出る典型的な状態
心(感情・性格):
緊張している。自信がない。カッコつけようとしてしまう。
思考:話す内容が決まっていない。長い原稿を暗記している。
声:声が小さい。滑舌が悪い。1センテンスが長い。

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各要素の力にばらつきがあるために、重なりが少ない。こうしたときにフィラーが出やすい状態。

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各要素の力が全体的に小さいため、重なりがない。補完関係を築けないため、フィラーが間違いなく出る状態。

「心(感情・性格)」「思考」「声」のうち、たった1つの状態が悪いだけでフィラーが出る可能性が高まるのに、3つ全部がこのような状態であれば、確実にフィラーは出るはずです。
一方、フィラーを出さないためには、それぞれ3つの要素がどのように同期すればいいのでしょうか? つまり、フィラーが絶対に出ない状況です。

フィラーが出ない典型的な状態
心(感情・性格):
平常心を保っている。自信がある。自己肯定感が高い。
思考:話す内容が決まっている。よそ行きやお仕着せの言葉ではなく、自分の言葉で話せる。
声:短く簡潔で歯切れが良い。大きな声が出せる。滑舌がいい。

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それぞれの要素の領域が安定し、お互いが補完関係にあるため、フィラーが出にくい理想的な状態。

完璧は難しいかもしれませんが、フィラーを出さない話し方を手に入れるためには、この状態を目指すことになるそうです。
高津氏の著書『スピーチや会話の「えーっと」がなくなる本』では、「心(感情・性格)」「思考」「声」それぞれの鍛え方、トレーニング法を詳細に解説しています。

(編集部 石黒)

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