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日経新聞「ヒットのクスリ」からヒット商品の発想アイデアを盗む
フォレスト出版編集部の寺崎です。
日経新聞の好きなシリーズ記事の一つに「ヒットのクスリ」というものがあります。
巷で売れている商品やサービスを紹介する記事なのですが、いつも「なるほど~」「へぇ~」と唸らされるとともに、自分もこういう視点を持って世の中を眺めてヒットを生みださないとアカンなぁと思わされます。
今日は8月2日の記事「逆張りの目線で市場創造」で紹介された3つのヒット商品について、それぞれ気になって調べてみたので、ご紹介したいと思います。
ジンズ「目が小さくならないメガネ」
メガネチェーン、ジンズは7月4日にこれまでの常識と逆張りの〝じゃないメガネ〟を発売した。その名も「目が小さくならないメガネ」(9900円)。一体どこに目を付けたのか? 近視の視力矯正用メガネは、度数が強くなるほどレンズの厚みが増して、目元が小さく見えてしまう。そこで「錯視効果」を活用したフレームデザインで、消費者の悩みの解消を狙った。
たしかに、近眼の人が眼鏡を取ったときに「あれ? そんなに目がクリクリしてたの???」と驚くことがあります。これって、とくに女性なら損をしているケースもあるかもしれません。
そんな「隠れたニーズ」はどこから得たのか気になりますが、記事にはそのことについては触れられていませんでした。近眼の方にとっては昔からあった悩みだったのでしょうか(乱視+老眼の自分にはわからなかった)。
技術的には錯視効果を応用していて、レンズが小さくなるようにフレームのサイズを設計、濃いカラーを採用することで、目が小さく見えることを軽減しているそうです。
ジンズ「目が小さくならないメガネ」
https://www.jins.com/jp/severe-myopia/
セブン&アイ・ホールディングス「豆腐スイーツバー ガトーショコラ」
セブン&アイ・ホールディングスのプライベートブランド(PB)でも「逆」を狙った商品が登場し、支持が広がっている。「豆腐スイーツバー ガトーショコラ」で、通常の豆腐バーは白いが、カカオを練り込み、見た目が黒い。セブンの取引先が豆腐バーに参入しようとしたが、競争が激しい。そこでカロリーを気にしないチョコ型のスイーツを考案。カカオと豆腐の原料の大豆の相性も良く、豆腐スイーツが誕生した。
製造メーカーは太子食品工業さんのようです。
この商品はSNS(とくにX)でバズりまくったそうで、それをきっかけに「買って食べてみた系」のWEB記事がたくさんありました。
今の時代、こうやってソーシャルメディアで話題になることもとても重要です。そのためには「意外性」が必須条件でしょう。
「豆腐」なのに「黒い」。しかも「甘い」という。
書籍の企画でも、なにか応用できそうな気がするような、しないような。
ヤッホーブルーイング「ゆっくりビアグラス」
ヤッホーブルーイングが期間限定で提供した「ゆっくりビアグラス」は超・逆張りだ。かつては「一気飲み」など、豪快に早く飲むことが酒飲みの自慢だったが、そんな姿は廃れつつある。最近はむしろ、じゃない方の「飲まない派」の存在感が増す。そこでヤッホーは適正飲酒を掲げて、公式ビアレストランで飲みづらいビアグラスを提供し、抽選による数量限定のネット販売も始めた。
これ、どんなグラスなのか、気になりますよね。
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こんな形してるんです。ちょうど砂時計のような形。
面白い!
これだと確かにグビグビと勢いよくビールが飲めなそうです。ワインのように優雅にビールを飲む提案。
これが「意外すぎる提案に応募が殺到。提供期間を延ばして、増産も検討する」とのこと。
その昔、空腹にビールをがぶ飲みすると腹を下していた20代のころ、ちびちびとビールを飲んでいたら、当時勤めていた編プロの社長に「そんなちびちびビール飲んで、何がうまいんだ!」となかば叱られ口調で言われ、ムッとした記憶が蘇りました。
お酒はご自身の好きなペースで飲みましょう。
記事のしめくくりに書かれていて、これまた「へぇ~」と思ったのが、バーモントカレーの甘口も当時「辛口」がメジャーだったカレールーの世界に「甘口」を提案して、今の不動の地位を築いたそうです。甘い「ご飯がススムキムチ」も同様の戦略。
いずれも「逆張り」の発想です。
なにか、ビジネスのヒントになりそうです。