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#398【ゲスト/Web3】DAOで国家を作ることはできるのか?

このnoteは2022年5月20日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

土屋:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める、土屋芳輝です。本日も昨日に引き続き、ブロックチェーンエンジニア、思想家、人権ハクティビストの落合渉悟さん、そしてフリーランス編集者で、TIDY代表の塚越雅之さんがゲストに来てくださっています。本日も編集部の寺崎さんと共にお伝えしております。落合さん、塚越さん、寺崎さん、本日もどうぞよろしくお願いします。

落合・塚越・寺崎:よろしくお願いします。

土屋:昨日は、「ブロックチェーン」「Web3」をテーマに、ざっくばらんに色々とお話をお聞きしました。まだお聞きになっていない方は、昨日の放送もぜひチェックしてみてください。そして本日はさらに踏み込んで、「DAO(ダオ)」「メタ国家」をテーマにお届けしてまいります。


DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは何か?

寺崎:はい。DAOって、最近よく聞きますよね。土屋さんも関心ありますか?

土屋:そうですね。DAOっていう言葉はよく聞くんですけども、正直、僕の中ではまだ全然DAOっていうものがどういうものかって理解できてない段階なんですけども。

寺崎:そうですよね。DAOって、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語だと“自立分散型組織”って言われるんですけども、そもそもこのDAOのもう少し詳しい解説を落合さんに聞いてみましょうか?

土屋:そうですね。ぜひ僕も知りたいところなので、教えていただいてもよろしいでしょうか。

落合:はい。かしこまりました。組織っていうものをまず頭の中でイメージしてほしいんですよ。組織ってめちゃくちゃ簡単に言うと、まず真ん中にお金が溜まっているんですよ。で、これをどう使おうかって決めるための仕組みなんですね。そこで、パッと浮かぶのは会社と国、自治体でもいいです。公共と民間とがあるじゃないですか。で、民間の組織は金がどこから来ているかって言ったら、売上とかですよね。これを偉い株主さんとかがどう使うかって決める。こういうことですね。こういう、DAOもまたあります。
DAOって中心がない組織ですから、偉い人っていう社長とかがいなくて、全員参加になっている仕組みですね。そういう利益を求めたDAOっていうのもあるんですけど、もう1個あって自治体とか国みたいな公共的なものって、お金はどこから来ているかと言うと、税金ですよね。税金を集めて、これを1人1票という仕組みで、どうやって使うかってやるのが基本的な自治体とか国とかのDAOの仕組み、こういうふうに2つに分けて考えると、よりクリアに見えてくると思います。

土屋:なるほど。なんとなくイメージはクリアになってきたんですけれども、この仕組みを使うと、どんなことにこれを応用できたりするんでしょうか?

落合:はい。基本的にはやっぱり法人っていうのは、法律を使って立てたりとか、町内会っていうのは任意団体って法律では言いますけど、それを立てたりすると、声のでかい人が勝っちゃたりとか。他にも国に縛られたルールの中でやらなきゃいけなかったりですとか、色々とちょっと古い、もうちょっとそこは上手くならないのみたいなことが多いんですよ。
DAOを使うと、もちろん法人にもいいところがあるし、自治体とか町内会にもいいとことろがあるんですけど、DAOで法人を持つ、DAOで町内会を持つっていうふうに、DAOというシステムを使って、形を真似て、機能を保管できるようにしてあげる、入れ替えることができるようにしてあげると、例えばアプリで全操作完結っていうのはもちろんのこと、町内会だとして、誰かが銀行口座を持っていないとだめですよね。田舎だったらJAバンクが町内に対して銀行口座を開設するという、ちょっと普通じゃありえない、ウルトラCをやっているんですけども、都会ではそういうことはありえないので、絶対個人に対して、法人に対して、口座を開かないといけないんですけども。誰かがお金を通帳で管理しちゃうんですよ。それって危ないことですよね。みんなのお金を貯めているのに。
だから横領の問題が発生するんですけど、DAOを使えばそういう横領とか、ありえないんですよ、基本的に。みんなで決めるっていう前提を100%信じることができる。こういう、絶対にこうとしか動きませんっていう部分を増やすことができるんですよ。だから、自分達の裁量が効く範囲というのがすごくシンプルに限定的な部分だけ自分たちの裁量で動かせるっていうふうに確信できるから、ミスが少ないし、他にも、例えば偉い人が腐敗して、権力を使って何かをいじるってことも起こりにくくなるし、そういうところもDAOのいいところですね。

DAOによって「政治参加」はどう変化するか?

土屋:例えば今だったら権力を持った偉い人が力を握っていて、一方で我々みたいな人は「そういう人たちがどうせ動かすんでしょう」って思っていた場合に、「自分は参加しなくていいや」ってなりそうなんですけども、今のDAOの説明を聞いていると、みんなが100%持っているっていうことは、それぞれがちゃんと参加していかなきゃいけないみたいな。むしろ、ちゃんと参加していくことで変えられるんだみたいなことが起こりそうな気がするんですけど、そういう理解で合っていますか?

落合:そうですね。無力感というのは縁遠い存在になります。結局は自分たちの投票結果が直で何の不純物もなく反映されていくので、だめな感じになっちゃったら、自分たちの勉強不足を痛感せざるを得ないんですよ、この仕組みだと。
だから、今は間接民主制っていう仕組みの下で僕たちはやっていますけど、どっち側の立場の人も無力感を感じていると思います。自分たちが投票した結果が全く反映されないっていう感じもあると思うんです。まともに投票したのに、政治家とか役人のズルによって、税金を無駄に使われちゃったりとか、正当なルールで僕たちが最初にこういうふうに物事を決めようねって言っていたやり方と違うやり方で物事が進んだりとかって、もうやる気をなくしちゃいますよね。そういうことは起こらなくなってくるんですよね。

塚越:つまり、落合さんがやろうとしていることって、デモとか、抗議活動とか、そういう昔からあるような権力に対する戦いじゃなくて、落合さんの開発した「Alga(アルガ)」というシステムはスマホで操作できるんですよ。ですから、みんながスマホでパッと作業するボタンを押すことで、デモとかそういうのではなくて、自分の意思をストレートにDAOに送ることが出来る。そこが非常に画期的なところなんですよ。

DAOが成立させる「メタ国家」の可能性

土屋:誰か1人の人がどうこうするとかじゃなくて、自分が送ったものがそのまま直接反映されるということなんですね。そのDAOっていうところなんですけれども、本の中でメタ国家樹立ということも書かれているんですけども、ここのところがやっぱりまだまだ理解が足りないと思うんですけど、これって実現性というのはどの程度あるものなんでしょうか?実現できるものなんでしょうか?

落合:はい。メタ国家という概念は詳しくはぜひ本を読んでほしいんですけれども、そもそもメタ国家とは何かというと、例えば町内会、マンション理事会、PTA、そして同業者組合でも何でもいいのですか、地域の草の根の自治体よりも小さい公共的な集まり、これがものすごくたくさん増えている状況をイメージしてください。なぜそれが増えるかというと、会計処理とかもいらないし、リーダーを決めなくても、そういった今まで必要としていたけど面倒くさかったものが、アプリで済むから増えるって話なんですけど。で、それがめちゃくちゃたくさん増えた時に、結構なお金がそこには溜まっています、全部を束ねると。
そのお金っていうのは、結局みんなでどう使おうか決められるお金なので国家と匹敵するぐらいの影響力が出てくるんですよ。例えば、津波が起きた時とかも、国家の対応よりもそっちの方が速く動くかもしれない。この構造っていうのがベルギーにポール・エミール・ドピュイって言う、1860年の哲学者がいて、「同じ領土の中に2つ国があれば競争していいじゃん」っていう、すごく荒っぽい論文を書いた人がいたんですけど、このメタ国家っていうのは町内会とかの集合として、もう1回考え直すなら、町内会の集合を国が潰すってあり得ないんですね。それは自分自身を食っているような構造だし、もしそんなそぶりを見せれば有権者が怒ってしまうから、国としても嫌だから。これって、同じ領土に2つ国っぽいものが存在できるっていう建付けになってくるんですよ。だから実現性って結構自然にあるよねって話を僕はしていて、便利なアプリがあればおのずとたどり着く、こんなシンプルな話はないんですよ。

寺崎:現実に、地方の自治体の住民票をブロックチェーンで管理する実験が始まっているみたいなニュースを見たことあるんですけど、実際にそういった活動に落合さんも関わっていたりするんですか?

落合:それはもちろん応援をしていますし、すごく有意義だと思うんですよ。なんですけど、地方自治法とか、地方財政法という法律が今あるんですね。しかももっと言ってしまえば、総務省が自治体というものをどういうふうにやっていくかっていうのを大体中央で握っているので、そことお話をしないことには本質的な変化は起きないというところもあり、まずは使えるものを届ける、そして道具を使っていただいた人が頭の中にDAOというもののアイデアを、「DAOのアプリを使えばこういう未来になるじゃん」っていうアイデアを、まず人々に持ってもらうことの方が優先度は高いなと思っていて。ですから、色んな考えを持っている色んな人が活動すると思うんですけど、僕は順番としてはここからだなってすごく考えてやっているんですけど、色んなことが同時多発的に起こるとは思っています。

腐敗や不正が生まれにくいブロックチェーンの技術

寺崎:国家内国家として、そういう小さな組織体の集合がDAO化していくっていうイメージの中で、そこの基盤にブロックチェーンがあるから、そういう不平とか腐敗が起こらないっていうことなんですよね?

落合:そういうことです。壊されないっていうのが大事な性質ですね。

寺崎:ちなみに、本の中でも、落合さんのプロフィールにもパブリックチェーンっていう言葉が出てくるんですけど、これってブロックチェーンとの対比で言うと、どういうことになるんでしょうか?

落合:はい。これを説明するためにはプライベートチェーンを説明した方が早いんですね。簡単に言うと、1つの信頼性の高い会社がブロックチェーンを作りました。サーバーは3個とか、7個ですみたいな。2万個ぐらいのサーバーが出たり入ったりしているんじゃなくて、7個固定です。「会社の信頼性が高いからOKでしょ?」っていうのが、プライベートチェーンで、これって簡単に言うと、お金を扱うデータベースをワンポチで簡単に作れますよっていうところに乗じて法人がお金儲けしようとやっているところなので、意外と関係のない世界だったりするんですよね。法律的にも「普通にそれって法人がやっていることじゃん」で終わっちゃうので、スマートコントラクトもないですし。法律的に考えると。ですから、パブリックチェーンっていうのは、やっぱり法律的に新規の契約の相手がいないじゃんとか、政治的にこれは潰せないじゃんって、そういう性質がないと面白くないですよね。それがパブリックチェーンです。

塚越:落合さんの戦略ってすごく面白くて、さっきも言ったように小売活動しようとか、アジテーションしようとか、そういう直接的な行動じゃなくて、もっと根深いところでDAOとか、落合さんが開発したAlgaっていうシステムを使ってもらうことで、みんなの意識を変えようっていうところが戦略なんですよ。草の根的にまず皆さんのマインドセットから変えていって、「DAOっていいよね」って思ってもらうことを落合さんは今、工事中なんですよ。そういう意味でも、すごく先見性が高いというか、戦略的なすごさがあるんですね。

寺崎:言い方が合っているかわからないけど、静かな革命みたいな感じですよね。

塚越:それ!

DAO型自治プロトコルという静かな革命

落合:そうですね。だからもう完全にサトシ・ナカモトのやり方なんですよ、これは。結局、インセンティブとしても、Algaというアプリ、DAO型自治プロトコル、Algaに参加して、地域の道路が壊れているとか、鏡がないと危ないとか、そういう問題を解決していく。参加者にもっと報奨金が払われる。だから、自治体に参加することは割に合う行為になっていくし、町内会っていうものがこの土地だと面倒くさいものではなく、儲かるものになっているらしいということで住みやすくなっていく。だったら、僕の自治体もそれをしようみたいな感じで、みんな競争的に使っていく。こういう構造を作ってしまうことによって、ある種、藻ですよ。Algaって、ラテン語で藻っていう意味なんですけど、藻が光合成をして勝手に増えていくように仕向けてしまう。僕が最初に作って、それをインターネットで公開したら、あとは手放しで勝手に増えていくっていうところが、僕の狙いですね。

寺崎:ブロックチェーンを発明したサトシ・ナカモトさんが、マイニングすることでビットコインを稼げるみたいな、そういうインセンティブを設定したように、このAlgaでもそういうインセンティブが設定されるということなんですね?

落合:そういうことです。結構サラっといっていますけど、めちゃくちゃとんでもないことを、サトシ・ナカモトと同じぐらいのことサラって言っているんですけど、面白いもんですよね。サラっと言われると、みんな、実感できないという。

土屋:そうですね(笑)。

寺崎:先ほど、無力感という言葉が出ましたけど、選挙で自分が投票した人が落ちたり、自分の怒りみたいなものが全然政治に反映されないっていうのはあったんですけど、落合さんのお話を聞いて、僕も塚越さん同様に燃えるものがあるんですよね。静かな革命というところで。

落合:これしかないですよね、道が。僕も正攻法で変えるっていうのは何回も考えたし、自治体をDAOにしたり、国をDAOにしたりっていう、もうちょっと大きい粒感のレイヤーの話もすごく考えたし、自分自身が政治家になるというパターンも考えたし。でも、Algaしかないんですよ、やり方としては。Algaに通底する、他のブロックチェーンのアプリケーションに通底する考え方、パーミッションですっていう考え方で、許可が要らない。誰の許可を得ずともみんなが使うっていうことによって、デファクトスタンダードになっていく。これがやっぱりこの時代の世の中を変えるための肝だとは思っています。

寺崎:そういう意味ではビットコインと全く同じですよね。ソースコードを公開しちゃうっていう。

落合:そうですね。

DAO型自治プロトコル「ALGA」の実像

土屋:今、Algaのお話があったんですけども、DAO型自治プロトコルということなんですが、これについてもうちょっと詳しく、どんなものなのかっていうのを解説していただいてもよろしいですか?

落合:はい。基本的には前に説明したDAOっていう、中心のない組織、お金が中心にあって、みんなの票でどう使うかを決めるっていうシステムをまず考えてもらって、次にこれを各地域ごと、各同業者組合とかごとにポコポコ生み出していけるっていう、DAOのファクトリーを想像してほしいんですね。
このDAOの1つ1つは自分たちで町内会なり、マンション理事会の会費を集めて貯めて、それをまたDeFiで運用して、年利数パーセントとかで増やしていくんですよ。使われていない、眠っている遊休資産を。意外とそういう町内会の遊休資産って1500万とか、眠っているんですよね。それを増やしていったりする中で、会費はもっと少なくてもいいよねみたいな話も出てくるんですけど。
プラス、1人1票の仕組みの中で、これはこう使おうという提案をしていく中で、誰が今投票したかってわからないんだけど、でも確かにこの町内会とか、マンション理事会に参加している人の票であるということは、暗号学的に確かである。そういう状況を作る。
これはどういうことかというと、票は確かなんだけど、声のでかい人の脅迫とかが効かない構造が作れるので、より安全で民意をちゃんと反映できる仕組みで投票をやっていける。そして投票した人にはAlgaのトークンが配られる。普通に会費とかの徴収をする時は円と同じ価値のトークンで会費とかを払ったり使ったりするんですけど、貢献した人にはポイントとしてAlgaトークンが配られて、このトークンは何に使えるかって言うと、Algaの1個1個のDAOで議決が1回通るごとに予算の0.5%を使って、このAlgaトークンをDeFiっていう分散金融プラットフォームがあるんですよ。ここからAlgaトークンを買い集めて捨ててしまう。
つまりは、世の中に存在しているAlgaの量がどんどん減っていく。これってビットコインと構造は一緒なんですよ。だからAlgaトークンは実はビットコインと同じようなトークンの性質を持つことになるんですけど。
で、それを配ることによって、Algaに参加すれば参加するほど、自分たちの町内会が潤って、自分にもメリットがあるってみんなが思うから、「よし!じゃあ、自分の町内会、自分のマンション理事会の方にもっとたくさんリワードがくるように頑張ろう」っていうふうにインセンティブがついていく。こういう全体的なDAOファクトリーがあり、そこにインセンティブがあるっていう構造全体をAlgaと呼んでいます。

塚越:Play to Earnとか、Move to Earnとか、人はインセンティブがないと動けないところがあると思うんですけど、落合さんは民主主義を改善する動きの中で、住民の方のインセンティブをちゃんと用意していて、そこは周到なんですよ。だから、全く誰にとっても悪いことはないって言うか、1番都合が悪いのは権力を持っている方かもしれませんけども(笑)。落合さん、その辺はどうなんですか?権力者だけが困るシステムなんですか?

落合:これはぜひ本読んでいただきたいんですけども、東大の内田善彦先生との対談において、絶対に失敗できない政策っていうのは、いつまでも残り続けるっていうことを2人で話をしているんですね。
これは例えばウクライナとかを今、見ていればわかりますけども、制空権、つまり飛行機、ファイタージェットがお互いにやり合って「じゃあ、この空は今こっちのチームが持っています」みたいな状況ですね。これってすごく重要なんですよ、自分の国の原理力発電所とかを守るためには。
そして今、原子力発電所と出てきましたけど、やっぱり原子力があるから膨大なエネルギーが手に入るっていう、道具から発生するアイデアに、僕たちの国の作り方とか、行動ってすごく支配される。で、これを考えた時に、そういうめちゃくちゃ便利だけど、めちゃくちゃ巨大で、もし失敗しちゃったら取り返しがつかない、やり直しが効かないものの議論するために政治家はどうしても必要になってしまう側面があるから、メタ国家っていうのは、そうじゃない政策は全部メタ国家が引き受けるから、失敗できない物だけ政治家さんがやってくれっていう状況を最初は作りに行く。
そうなると、かなり政治家さんがやるべきことって削られていますよね。政治家さんがやるべきことすらも最後はどうにかしてしまうっていうのは何十年か後の話ですね。

塚越:寺崎さん、これはすごく民主主義として一歩進んだ発想だと思いませんか?

WEB3を中心にすえた経済政策は実現するのか?

寺崎:そうですよね。現実的にも今、政府の方で、これから新しい経済政策にWeb3を中心に据えて、「DAO特区」みたいな言葉も出てきていますから、現実レベルで少し実現が進みそうな話ですよね。その辺りはどうですか?

落合: Web 3っていうのは、ただのスタートアップ的イノベーションとして、経済が発展して税収が増えるとか、若い人たちの気持ちを汲んで票が増えるとか、そういうふうに捉える限りはWeb 3ってすごく押しやすい概念だと思います。
ただ、私の本しかり、本当の進化っていうものにだんだん気づいていくにつけ、「どう御すか」の話に文脈が変わっていくと思うので、僕はそんなに期待してないです、実は。
ごく一時的に勘違いにより発生しているお祭りであって、本当は国家っていうのはもっともっと真剣に頭をひねって、なんなら僕に教えを乞うて、どうしたらいいんだって話を本気で考えなきゃいけないフェーズなんですよ、すでに。アメリカはそれはもうきっとやっている。だから、本当にこれはおままごとじゃないんですよ。真面目に考える人が少なすぎる。そうとしか僕は言えないですね。

寺崎:なるほど。

土屋:そのWeb 3を、言葉が使いやすいがために使っているっていうような感じのイメージもあるっていうことですかね?

落合:そういう向きもありますね。自由市場なので、みんなが色んなことをしたらいいと思っています。

土屋:ありがとうございます。今日も色々と聞いて、リスナーの方で興味を持った方も多いと思うんですけれども、今週末に発売予定の『僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた』に詳しく書いてあるとのことですので、ぜひ見てみてください。寺崎さんから何か一言あれば、ぜひ。

寺崎:はい。ありがとうございます。この『僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた』という本なんですけど、今日の話、昨日の話を通して聞いているリスナーの方はちょっとユニークな内容だなと思ったと思うんですけども、本もかなりユニークな内容で、見方によれば少しサイエンスフィクションとか、SFっぽい要素もあって、読む人によっては、すごく未来が明るく見えて、非常に勇気が湧く本だと思います。

土屋:塚越さんは、どうですかね?

塚越:そうですね。落合さんって、これから評価が高まっていく方だと思うんですよ。この本ってある意味、これからの日本の予言の書と言ってもいいぐらいの内容を持っているので、「これからの日本ってどうなっていくんだろう」って思っている若い人たちに、ちょっと難しい内容もあるかもしれないですけど、ぜひともトライしていただきたいなと思っております。

寺崎:塚越さん、昔に売れた本で、坂口恭平さんの『独立国家のつくりかた』ってあったと思うんですけど、ちょっと違うかもしれないけど、ざっくりあれのブロックチェーンバージョンのイメージですよね?

塚越:内容的にはちょっとレイヤーの違う話なんですけれども、彼も彼で今の閉塞感に対してああいった形でアンサーを出したんですけども、落合さんはこの2022年にやっぱり別の形で大きなアンサーを返しています。それがぎっしり詰まった本だと考えております。

寺崎:ありがとうございました。SNSの#(ハッシュタグ)は「#僕メタ」でお願いします。

土屋:「#僕メタ」ということで、書籍のURLをここに貼っておきます。

寺崎:ありがとうございます。

土屋:では最後に、落合さんからリスナーの皆さんに一言メッセージをいただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。

落合:はい。複雑な時代です。自分だけは生き残りたいって思いがちな時代です。ただ稼げばいい、優れればいい、美しくあればいい、そういうふうに責めることっていうのを考えがちな時代です。
だけど、もう3つ、考えなきゃいけないことがあって、1つは守ること。これは会社においては、バックオフィスとかもそうですし、もっと広く言えば人権を守ること、そういう何か忘れていないか、守らなきゃいけないことがあるんじゃないか、これは大事なんですよ。
さらに、思い込みっていうのがこれからすごく自分たちの首を絞めていく時代になります。この思い込みも2つあるんですよ。自分は頭がいいと思っている人ほど気をつけて欲しいんですけど、この本の中にも収録している話ですけど、論理的にこれはこうなるはずだって、強く強く考え尽くした人ほど、僕も含めてかもしれないですが、考え方に蓋がされてしまって、行動に変化が起きなくなってしまう。こういう論理的な思い込みっていうのと、ただ単に今は忙しくてとか、育児が大変でとか、病気をしていてとか、そういうことによってちょっと認知が歪んでしまう、思い込みになってしまう、2つの思い込みがこの世の中にはある。
だから、その思い込みに付け込んで情報操作したり、何かの組織に入れ込んでしまう人が、すごくたくさん今の時代にいて、ブロックチェーンの世界にもいるし、情報商材の世界にもたくさんいたりしますから、ぜひもっと柔軟に頭を使って、想像力を持って、この世の中を知ろうとして欲しいです。1つの考え方、僕の本すら1つの考え方にとらわれることなく、色んなものを吸収してほしいなと思っています。

土屋:ありがとうございます。最後はすばらしいメッセージだったと思います。ということで、落合さん、塚越さん、この度は2日間にわたって、フォレスト出版チャンネルにご出演いただき、ありがとうございました。

落合・塚越:ありがとうございました。

寺崎:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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